目次
何が出題されている?
出題形式:正しいものを選択
老齢基礎年金の基本年金額に加算される振替加算に関する支給要件や金額について問われます。
最も特徴的なのは”正しい”ものを選ばせる点。
どういうわけか、このテーマはかなり昔に遡っても”正しい”ものを選べで出題されています。
5択で正しい肢を1つ選ぶわけですから、4つの誤りを判定しないといけません。
ですから一般的には「誤った」ものを選ぶより「正しい」ものを選ぶ問題は難易度が高くなるはず。
しかし、全くそんなことはありません。
ひねった内容もないので確実に得点したいところです。
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過去10回の正解となった知識
- 2020秋 加算額は受給権者(妻)の生年月日に応じて決まっている
- 2020春(模擬)(妻)自身が240カ月以上の老齢厚生年金を受給できる場合は加算されない
- 2019秋 満額の老齢基礎年金を受給できる場合でも、加算される
- 2019春 夫が障害厚生年金受給でも配偶者加給年金額の対象者(妻)に加算される
- 2018秋 加算額は受給権者(妻)の生年月日に応じて決まっている
- 2018春 (妻)自身が240カ月以上の老齢厚生年金を受給できる場合は加算されない
- 2017秋 満額の老齢基礎年金を受給できる場合でも、加算される
- 2017春 老齢基礎年金を繰下げしても振替加算は増額されない
- 2016秋 昭和41年4月2日以後生まれの者には、加算されない
- 2016春 満額の老齢基礎年金を受給できる場合でも、加算される
正解傾向を分析すると、定番の正解として3つがあります。
- 老齢基礎年金を繰下げしても振替加算は増額されない
- 満額の老齢基礎年金を受給できる場合でも、加算される
- 昭和41年4月2日以後生まれの者には、加算されない
ただ、直近ではこの定番3つに加えて、以下の3つも定番になりつつあります。
- 加算額は受給権者(妻)の生年月日に応じて決まっている
- (妻)自身が240カ月以上の老齢厚生年金を受給できる場合は加算されない
- 夫が障害厚生年金受給でも配偶者加給年金額の対象者(妻)に加算される
この6つを押さえておけば確実に得点できるはずです。
出題傾向から年金制度を考える
定番重要論点3選
老齢基礎年金を繰下げしても振替加算は増額されない
振替加算は制度上不利益を受ける方に対する、年金額の補填です。
具体的には、
任意加入の時代が長い人ほど強制加入時代(昭和61年4月以降)が短くなり、老齢基礎年金の基本年金額が少なくなる方が対象です。
より具体的には、
その時代、自分の意思で加入することを許された当時の専業主婦がターゲットです。
自分の意思で加入した方なら問題ないのですが、加入しなかった人を放っておけません。
国の勝手な都合で、途中で強制加入という制度変更を行ったからです。
そして、
その金額は65歳から通常通りに受け取ることを前提にした生年月日別による理屈上のもの。
ですので、
繰上げしたからといって早めに受け取ることはできません。
繰上げは65歳から通常通りに受け取る状況ではないからです。
そして、
繰下げしたからといって増額しません。
生年月日別で決まりきった金額だからです。
結局、
老齢基礎年金を繰上げても振替加算は65歳を待たなければいけません。
繰下げの場合は増額した老齢基礎年金が生じたタイミングで加算が始まります。
振替加算対象者が繰下げを選択すると、加算部分は増えないので繰下げの意味がなく、待っているだけ無駄となってしまいます。
このように、
繰上げも繰下げも加算部分についてはその扱いには注意する必要があります。
満額の老齢基礎年金を受給できる場合でも加算される
振替加算は、生年月日別による理屈上のもの。
当時任意で加入しなかった人を念頭においた制度ですが、任意で加入した人にも一律加算しないとおかしなことになります。

となりますから。
ですので、
仮に任意加入のおかげで老齢基礎年金の基本年金額が満額になったとしても加算します。
こうしなければ年金に対する意識の高い人がバカを見てしまうからです。
2019秋で久しぶりに正解となりました。
昭和41年4月2日以後生まれの者には、加算されない
昭和61年4月1日より、20歳以上の人は原則、国民年金に何らかの立場で強制加入することになりました。
つまり、当時20歳未満の人はその後20歳を迎えるときには強制加入の時代になっています。
強制加入できるんですから、基本年金額に加算する必要はありません。
ですので、当時20歳未満の人は振替加算の対象外となるわけです。
具体的には昭和41年4月2日に生まれた人から強制加入ということ。
その年齢に到達するのは誕生日の前日ですから、下の図のように昭和61年4月2日が20歳の誕生日の人から振替加算はないわけです。
結果、昭和41年4月2日以後生まれの人には加算無しとなります。
最近重要な追加論点3選
誰の生年月日で金額が決まるのかに注意する
以前は正解となる肢ではなかったのですが、最近では2018秋、2020秋に正解になったことがある論点。
振替加算の金額はどう決まるのか?
結論は、老齢基礎年金の受給権者である妻の生年月日で金額が決まります。
メモ
制度上は夫でも妻でも条件を満たした老齢基礎年金に加算されます。出題は妻が老齢基礎年金を受給するという設定になっています。
夫の生年月日に応じて
と誤りを作ります。
上で説明したとおり、振替加算は制度上不利益を受ける方に対する、年金額の補填。
ですので、当時の専業主婦をメインターゲットにした補填ですから、妻の生年月日で決まるわけです。
共働きに注意せよ!加算がされない条件とは?
他のすべての条件を満たしても、振替加算が加算されない条件が1つあります。
以前はこの論点は見たことがなかったのですが、2018春、2020春(模擬)で正解になっていますので触れておきましょう。
それは、妻自身が20年以上加入した老齢厚生年金を受給する場合です。
20年未満なら問題ありません。
20年厚生年金に入ると何が起こるか?
それは自身の老齢厚生年金に家族手当たる加給年金額が加算される条件を満たします。
家族手当がもらえるくらいの老齢厚生年金をもらえるんだから、振替加算はいらんでしょ!
という理由からでしょうか・・・。
ちょっと明確な理由はわかりません。
ちなみに、夫婦そろって、20年以上加入した老齢厚生年金をもらう場合は注意!
互いに老齢厚生年金に加算される配偶者加給年金額の加算は停止となり、互いに老齢基礎年金に加算される振替加算もないということになります。
年金制度は夫婦共働きには冷たいんです。
夫が障害厚生年金でもOK
振替加算で通常想定されるのは、
- 夫:年上 20年以上のサラリーマン 加給年金ありの老齢厚生年金もらってる
- 妻:年下 制度上不利益受ける専業主婦 65歳から加算
というものですが、これを
- 夫:年上 加給年金ありの障害厚生年金もらってる
- 妻:年下 制度上不利益受ける専業主婦 65歳から加算
というケースでも妻への振替加算OKとしています。
加算されない
として誤りを作ります。
ちなみに、障害厚生年金は障害を負ってしまったことによる所得保障。
ですから、厚生年金への20年以上の加入要件はありません。
今回はこれが答えになる!
ここ3回くらいで、定番3論点を敢えて正解にしない傾向が見て取れます。
3論点のうち、以下2や3は肢に並ばないという現象も生じています。
- 老齢基礎年金を繰下げしても振替加算は増額されない
- 満額の老齢基礎年金を受給できる場合でも、加算される
- 昭和41年4月2日以後生まれの者には、加算されない
少し前までなら、この3つの中から正解だったのですが・・。
ですが、2019秋でふたたび”2”が正解に。
流れが戻ってきたのでしょうか。
また、以上に加えて、以下の3論点も押さえます。
- 妻自身が240カ月以上の老齢厚生年金を受給できるなら加算なし
- 加算額は妻の生年月日に応じて決まる
- 夫が障害厚生年金受給でも加算される
そして、最後にもう1つ。
正しいものを選ぶ問題ですから、それを忘れないように!
シモムー
みんなのねんきん主任講師