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働いているから年金は要らん!給料+年金で税金は高くなる?

投稿日:2016年2月14日 更新日:

働いているから年金は要らん!給料+年金で税金は高くなる?

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どんな事例?簡単に言うと・・

老後の年金には所得税がかかります。給料をもらいながら年金を受け取ると税金が高くなるのでは?ありがちな年金と税金の誤解を解説してみます。

こんな事例を考えてみましょう

Mさんは現在勤める会社で60歳の定年を迎えました。

その後、再雇用制度を利用して同じ会社に勤めています。

65歳までは今のままでバリバリ働こうと思っているのですが1つ気がかりなことがあります。

実はMさんは61歳から老後の厚生年金をもらえる立場。

しかし、63歳になった今も年金の手続きはしていません。

気がかりというのは税金。

給料をもらいつつ、年金も受け取ることになると納める税金が増えてしまうのではないかと心配しています。

とりあえず、Mさんは年金に手を付けずにいるのですが・・。

今回の事例の何が問題なんでしょうか

公的年金は非課税が原則です。

が、老後の年金は課税されます。

逆に言うと障害年金や遺族年金は原則通りの非課税です。

では、この老後の年金。

会社勤めで給料をもらいつつ、同時に年金を受け取ると納める税金が増えてしまうのではないか。

単純に考えれば収入が増えるのでそんな疑問が生じます。

給料と年金を同時に受け取る場合、税金はどのような扱いになるかが問題となります。

解説してみましょう

今回の解説者:シモムー

シモムー

結論を先に言えば、税金がかかるかどうかはMさんの受け取る年金額次第です。

年金を請求しても必ずしも税金が高くなるとは言えません。

ここで、

年金と税金といえば、所得税の話。

住民税についても同じ問題が生じますが、ここでは所得税との関係で解説してみましょう。

所得は収入から控除額を差し引いたもの

所得税は収入の金額に直接税率を掛けるわけではありません。

収入から収入の種類に応じた控除額を差し引いた結果(=所得)に税率を掛けます。

収入 ー 控除額 = 所得 × 税率 = 所得税

この「所得」、

会社勤めで給料をもらっているなら”給与所得”

公的年金を受け取れば”雑所得”

となり、所得が違うのでそれぞれ差し引ける控除額も違っています。

公的年金にかかる雑所得は65歳未満か65歳以上かで異なる

公的年金を受け取る場合の”雑所得”を考えてみましょう。

年金収入 ー 控除額 = 雑所得

ここでいう「年金」とは公的年金のみならず、企業年金も合算して計算しないといけません。

「控除額」は年金専用のものが決まっています。

参考 国税庁 公的年金等の課税関係

また、差し引ける控除額は65歳未満か65歳以上かで違います。

65歳未満であれば最低70万円、65歳以上であれば最低120万円です。

仮に63歳の人の年金額が70万円ちょうどなら、年金からは税金はかからないことになります。

実際はどんな人でも差し引ける「基礎控除」というものが38万円分あります。

仮に単身で収入が年金しかなければ、65歳未満なら108万円、65歳以上なら158万円までなら税金はかからないことになります。

ここで、

基礎控除を含め、所得から控除できる額を「所得控除」といいます。

例えば扶養している配偶者がいれば「配偶者控除」がありますし、社会保険の保険料を納めていれば「社会保険料控除」があります。

所得控除は個人的事情を考慮してくれる控除。

各自の事情を所得控除で考慮してあげようとなります。

したがって、

各種の所得控除を差し引けるなら、上の年金額より高くても課税されないことになります。

年金に加えて給与所得があると税金はどうなるか

さて、

ここで給与所得があるとどうなるでしょう。

難しい話ではありません。

給与所得は給与所得で計算。

年金は年金で雑所得を計算。

2つの所得の合計額から所得控除を差し引いて税率を掛けるだけです。

(給与所得 + 公的年金にかかる雑所得 ー 所得控除) × 税率

給料と年金を一緒くたにして計算するわけではない。

年金は年金の枠で、給料は給料の枠で所得を計算するんです。

年金を遡って請求すると税金はどうなるか

ところで、

年金からの所得税はそもそも毎回の受け取り時に源泉徴収されます。

仮に手付かずの年金を後から請求すると所得税はどうなるでしょう。

年金は過去5年まで遡って受け取ることができます。

すると、それぞれの年の所得税も計算されて天引きされます。

各年ごとの所得税を計算した源泉徴収票も送られてきます。

Mさんの税金は高くなるか?

Mさんが税金から逃れようとするなら年金の請求を今後もしなければいいんです。

しかし、税金のためにそこまでの覚悟がありますでしょうか。

また、年金の請求をすれば必ず権利が生じた時点まで遡って計算されてしまいます。

これからは納めるけど、過去は勘弁して欲しいは通用しません。

年金を受け取ることでMさんの税金は高くなるか。

それはMさんの年金額と所得控除次第。

課税されるかどうかはわかりません。

上で説明したとおり、年金は給料とは別枠で計算するので、給料が多い少ないは関係ありません。

ここで、

年金からの税金は給与からの税金に比べてかなり優遇されています。

とすれば、

年金には課税されない可能性もかなりあります。

いずれにしても、

今後も年金を受け取るつもりが無いなら別ですが、受け取るつもりなら、今、請求手続きはやっておくべき。

そのうえで、納める税金があるなら、ルール通りに納めるより他にないです。

今回の事例まとめ

今回は年金と税金の話を解説してみました。

そもそも、

所得税は収入から色々な金額を差し引いた所得に対して、税率を掛けるもの。

そして、

雑所得に分類される年金の計算は、

年金収入 ー 控除額(最低70万円(65歳以上120万円)) = 公的年金にかかる雑所得

ここに給与所得があると、

(給与所得 + 公的年金にかかる雑所得 ー 所得控除) × 税率

給料と年金は別々に所得を計算することに注意です。

60歳台前半は働いている人も多いので年金に関して変な誤解があります。

「働いているから年金はもらわない。もらわなければ年金は将来増えるはずだ!」

→増えません。増えるのは65歳以降の年金の話です。

「給料と年金を合わせると税金が多くなるからもらわないほうが得だ!」

→別枠でそれぞれの所得を計算をするので得とはいえません。

ちなみに、

給与所得があるということは厚生年金に入るケースも出てきます。

となれば、

老後の厚生年金の手続きをすれば、年金が一部止められる可能性が出てきます。

在職老齢年金という仕組みがあるからです。

あらゆる方向に注意を払わないといけない年金は奥が深いです。


事例は実際の相談をヒントにしたフィクションです。記事中のアルファベットは実在の人物・企業名と関係ありません。記事は細心の注意を払って執筆していますが、執筆後の制度変更等により実際と異なる場合もあります。記載を信頼したことによって生じた損害等については一切責任は負えません。

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シモムー

シモムー

日本年金機構の年金相談コールセンターにて新人研修講師を担当しながら社労士試験予備校にて講師を経験。2014年より公的年金の情報を初心者目線で解説する「みんなのねんきん」サイトで情報提供を続ける。年金を事例で学ぶ「年金ケーススタディ」で全問題の作問と解説を担当。具体例やイメージで理解できる情報提供を心がけている。

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