相談事例

ギョッ?ホント?諦めていた家族手当もらえるの?

投稿日:2016年5月5日 更新日:

ギョッ?ホント?諦めていた家族手当もらえるの?

え

どんな事例?簡単に言うと・・

公務員年金の厚生年金への統合。今回はこの統合に絡んだ家族手当=加給年金について興味深い事例を解説します。諦めていた加給年金をもらえるようにするというもの。その方法とは・・。

こんな事例を考えてみましょう

H市の市役所で15年間公務員をしていたOさん。

その後、民間企業に転職して5年間厚生年金に加入していました。

現在、10歳年下で専業主婦の妻と2人暮らしです。

一方、市役所でOさんと同期だった同い年のMさん。

同じくMさんも15年間公務員をして民間企業に転職。

奇しくも同じ5年間の厚生年金加入歴があります。

偶然は重なるもので、Mさんも10歳年下で専業主婦の妻と2人暮らしです。

Oさんは平成27年9月10日に65歳を迎え、Mさんは同年10月10日に65歳を迎えました。

誕生日も1カ月しか違いがありません。


さて、老後を迎えたOさん、Mさん。

久しぶりに2人は再会し、年金の話になったのですが・・・。

なんとMさんには家族手当40万円相当が加算されているにもかかわらず、Oさんには家族手当の加算がありません。

2人はこれまでの仕事も生活条件も同じなのにOさんは納得がいきません。

何かの間違いではないか・・。

Oさんは治田社会保険労務士事務所に相談に訪れました。

今回の事例の何が問題なんでしょうか

家族手当とは、老後の厚生年金に加算される加給年金額のことです。

この加給年金額の加算は厚生年金の加入歴が原則20年以上あることが必要です。

家族側にも条件があり、65歳未満の一定の配偶者がいることも必要です。

平成27年10月からは公務員の年金が厚生年金に統合されました。

過去の公務員の期間も厚生年金の期間として評価されます。

Mさんはそれぞれの期間を合計して20年以上あるので加給年金額が加算されています。

とすれば、

Oさんにも加給年金額が加算されてしかるべき。

何が運命を分けたのか。

公務員の年金が厚生年金に統合された平成27年10月が問題となります。

解説してみましょう

今回の解説者:治田茂浩講師

201601-mr_haruta-01

今回のOさん、Mさんの状況をまとめると下図のようになります。

20160506 施行日をまたいだ一元化の加給年金_ページ_1

Oさんは15年分の公務員時代の年金(退職共済年金)と5年分の民間企業時代の年金(老齢厚生年金)とを受け取っています。

一方、

Mさんも15年分の公務員時代の年金(老齢厚生年金)と5年分の民間企業時代の年金(老齢厚生年金)とを受け取っています。

年金の内訳は同じと言えます。

違う点は、Mさんの年金は両方の年金が共に老齢厚生年金という名称になっている点です。

そして、Mさんの15年分の公務員時代の年金に加給年金額の加算がされています。

誕生日が1カ月違うだけなのに、なぜこんな違いが生じるのでしょうか。

カギは平成27年10月1日にあり

平成27年10月1日は公務員の年金が厚生年金に統合された法律の施行日です。

この施行日以降に権利が生じる場合は、公務員の期間も含めて「老齢厚生年金」として受け取ります。

逆にこの日より前は、従来の仕組みで年金の権利が生じます。

Oさんは平成27年の9月に権利が生じ、Mさんは10月に権利が生じています。

従って、

Oさんは従来の仕組みで共済年金と厚生年金の2つを受け取り、Mさんは新しい仕組みで厚生年金だけを受け取ることになったわけです。

なぜMさんだけが家族手当が加算されるか

Mさんの老齢厚生年金には家族手当として加給年金額の加算があります。

なぜなら、

公務員の期間も通算した上で20年以上の加入期間があるからです。

Mさんの年金は公務員年金が一元化した平成27年10月以降に権利が生じました。

すると、過去の公務員の期間も厚生年金の期間として評価されます。

一方、

Oさんには加給年金額の加算がありません。

平成27年10月前に権利が生じた際には公務員の期間との通算が行われなかったからです。

このままでは加給年金額の加算は諦めるよりありません。

Oさんに家族手当が加算される方法がある

実はOさんの年金に家族手当を加算させる方法があるんです。

どこかに勤めて厚生年金に入ってください

そして退職してください。

1カ月だけの加入でも構いません。

そうすれば家族手当の加算がされます。

どういうことか。

これは年金額の再計算をさせているんです。

老後の年金は一度権利が生じると、加入期間が増えなければ再度計算しなおすことはありません。

加入期間が増えるとは?

典型例は年金を受け取りながら厚生年金に加入して退職した場合

退職しないといけません。

また、退職後1カ月の空白期間がないまま再就職すると再計算はありません。

Oさんの年金改定が平成27年10月以降に行われると何が起こるか。

平成27年10月以降ですから、すなわち公務員年金との一元化がされた時代での改定となります。

すると、なんと!

以前の公務員の期間も通算したうえで、年金額の再計算が行われるんです。

再計算の結果、通算20年以上の加入期間があることが判明。

従って、

この改定のタイミングで加給年金額が加算されるというわけです。

20160506 施行日をまたいだ一元化の加給年金2

今回の事例まとめ

公務員年金の厚生年金への一元化。

この事例一つとってみても非常に難解だということがわかります。

特に、平成27年10月の施行日前後で権利が生じると、1日の違いで内容が大きく異なることが起きてきます。

一元化はされたばかりですから、制度が定着するまでにはしばらく混乱が続くでしょう。

今回の事例をまとめます。

  • 平成27年10月1日より前に生じた年金は従来の仕組み
  • 平成27年10月1日以降に生じた年金は一元化後の仕組み
  • 従来の仕組みでは公務員の期間と民間企業での厚生年金の期間は通算されなかった
  • 一元化後は両期間を通算して、加給年金額加算の要件が判定される
  • 一元化前に年金の権利が生じた場合でも、一元化後に年金改定がされれば、加給年金額が加算されることが起きてくる

引き続き、私の担当時にはちょっと難しい内容の相談事例をご紹介していく予定です。

ご期待ください。


事例は実際の相談をヒントにしたフィクションです。記事中のアルファベットは実在の人物・企業名と関係ありません。記事は細心の注意を払って執筆していますが、執筆後の制度変更等により実際と異なる場合もあります。記載を信頼したことによって生じた損害等については一切責任は負えません。

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  • この記事を書いた人
シモムー

シモムー

日本年金機構の年金相談コールセンターにて新人研修講師を担当しながら社労士試験予備校にて講師を経験。2014年より公的年金の情報を初心者目線で解説する「みんなのねんきん」サイトで情報提供を続ける。年金を事例で学ぶ「年金ケーススタディ」で全問題の作問と解説を担当。具体例やイメージで理解できる情報提供を心がけている。

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