何が出題されている?
出題形式:誤っているものを選択
社会保険制度で採用されている標準報酬全体の知識が問われます。
健康保険と共通したルールも出題されますが、厚生年金特有のルールについても注意。
定時決定や随時改定等の標準報酬月額を決定・改定するルールや標準賞与額が出題されています。
2025秋は前の”厚生年金保険の保険料(率)”のテーマと合体した出題となっていました。
今後もこの流れとなるのか、再び分裂する出題となるのか。出題形式について注意が必要です。
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合併問題の過去1回の正解となった知識
- 2025秋 定時決定による標準報酬月額は9月分から適用される
合作の出題となり、その内容はほとんど”標準報酬制度”に関するものが並んでいました。
今後は、保険料(率)は独立した問題ではなく、こちらの標準報酬制度のテーマに吸収合併される可能性が高いと思っています。
過去9回の正解となった知識
- 2025春 定時決定は4月から6月に受けた報酬で標準報酬月額が決定される
- 2024秋 標準賞与額の上限は月あたり150万円
- 2024春 養育を始めた月の前月の標準報酬月額が育児休業期間中の標準報酬月額となる
- 2023秋 随時改定は固定的賃金の変動があった月から4ヶ月目に改定される
- 2023春 定時決定による標準報酬月額は9月分から適用される
- 2022秋 標準賞与額は年3回までの賞与が対象となる
- 2022春 標準報酬月額の上限は32等級、65万円
- 2021秋 随時改定は固定的賃金の変動があった月から4ヶ月目に改定される
- 2021春 標準賞与額の上限は月あたり150万円
過去の正解の内訳は、2つに偏っています。
- 標準賞与額
- 定時決定・随時改定
合併後の出題もこれらが並んでいますので、注意して押さえます。
出題傾向から年金制度を考える
押さえるべき3つの標準賞与額の知識
1 賞与額の1,000円未満の端数切捨て
標準報酬月額は保険料と将来受け取る年金額を算出する基礎として使われるキリを良くした給与額のこと。
事務処理の正確化と簡略化を図るためにあります。
とすれば、
定期的に受け取る報酬月額と同様、ボーナスについてもキリをよくして届出することになります。
そこで登場するのが、1000円未満端数切り捨てというルール。
これを
10,000円
とか
100円
として正解を作ります。
と分析していたのですが、久しぶりに2025秋で再登場しました(正解にはならず)。
2 4カ月ごと年3回までの賞与が標準賞与額の対象
賞与というくらいですから、頻繁に支給されるものではない。
逆に、頻繁に支給されるものであれば報酬月額に組み込む。
制度はそのように考えています。
ではその境目はどこにあるか。
年3回まで支給される賞与が標準賞与額の対象となります。
4回以上の支給があるなら、報酬月額として評価。つまり、標準報酬月額の一部になります。
この肢もほぼ毎回登場。
2021春、2022秋は
3ヵ月ごとに年4回
としてこれが正解(つまり、標準賞与額ではなく標準報酬月額の一部となる)。
2022春、2023春、2023秋、2024春、2025春は正しい肢として出題がされていました。
年3回なのか年4回か支給回数をしっかり区別します。
3 標準賞与額の上限は150万円/月あたり
標準賞与額は将来受け取る年金額にも影響するので年金財政への配慮から上限が決まっています。
それは月あたりで150万円。
1カ月で複数回支給されても、150万円で打ち止めです。だから”月あたり”。
2回合わせて月150万円が上限です。
健康保険の仕組みでは年度累計で把握されるのは医療保険の別記事で解説したとおり。
数字と月あたりってところが健保との違いですね。
2021春は「180万円」として正解。当然、数字も押さえます。
2024秋は1年間の累計で150万円が上限?として正解。月あたりで考えます。
定時決定は3カ月平均で年に1回見直し
定時決定は1年に1回、4月から6月の3カ月間に実際に受けた報酬の月平均額から標準報酬月額の見直しをするイベント。
正解になる場合は、月平均の範囲を違う数字にして正解を作ります。
例えば、
6ヵ月間に受けた報酬の月平均額
としたり、2025春は
その年の4月に受けた報酬
として正解。
1ヶ月の報酬のみで1年の標準報酬月額を決めるわけではありません。
いつからいつの報酬の平均を取るかに着目して押さえます。
決定した新しい標準報酬月額はいつから適用されるのかと問われることもあります。
これは9月分から翌年8月分までということになります。
「7月分」として誤りを作りました。
全く同じ形で2023春、2025秋も正解となっています。
随時改定はいつ改定されるかに注意
上で説明した定時決定は年に1回の改定ですが、昇給などで報酬月額が大きく変わった場合は随時に改定する仕組みがあります。
2021秋には初めてこの随時改定が正解に。
仕組みとしては、
- 報酬の根幹部分(固定的賃金)の変動があり
- 変動してからの3ヶ月平均を取った報酬月額を標準報酬月額に当てはめたら2等級以上差が出た
- その翌月、つまり変動月から4ヶ月目に従来の標準報酬月額が改定される
と、時系列でいつから改定されるかをしっかり押さえます。
2023秋は変動があった翌月に即改定という点で正解になりました。
変動があってから3ヶ月の平均を見て、その翌月(4ヶ月目)に改定されますからいつから改定されるかという点に注意です。
育児休業中の標準報酬月額は?
過去10回の出題で正解になったことは1度しかないのですが、この育休中の標準報酬月額についても常連の肢となっています。
休業中ですから報酬が出ないことが多いでしょう。
すると、標準報酬月額はどう決めることになるのか?
それは、養育開始月の前月の標準報酬月額がそのまま休業中の標準報酬月額となります。
2024春で正解になった出題は、
養育開始月の前月までの3ヶ月間の報酬の平均額を基礎
というものでした。
こんな定時・随時改定のような平均はとりません。
正解となる可能性は低いですが、前月であることを押さえておきます。
まとめ
このテーマは、標準賞与額の3つを押さえておくことが大事。
- 賞与額の1,000円未満の端数切捨て
- 4カ月ごと年3回までの賞与が標準賞与額の対象
- 標準賞与額の上限は150万円/月
そして、
通勤手当は全額が標準報酬月額の対象となる
定時決定・随時改定については、
- 定時決定の対象となる報酬は4月から6月に受けたもの
- 定時決定による新しい標準報酬月額は9月分から
- 随時改定は変動月から4ヶ月目に改定
- 養育開始月の前月の標準報酬月額がそのまま育児休業中の標準報酬月額
以上を押さえておけば、いずれかが正解になるはず。
特にボーナスはこれまでの傾向から正解となる可能性が高いので数字をしっかり押さえておきましょう。




シモムー
みんなのねんきん主任講師