何が出題されている?
出題形式:誤っているものを選択
近年は出題がないのが普通だったのですが、2021秋のこと。
久しぶりに出題されたと思ったら社会保障協定と脱退一時金が合体したミックス問題となりました!
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過去15回の正解となった知識
- 2023春 社会保障協定の内容は国ごとに異なっている
- 2022秋 相手国の年金制度に加入しながら国民年金の任意加入被保険者になれる
- 2022春 脱退一時金の支給上限月数は60ヶ月
- 2021秋 厚生年金の脱退一時金の額は平均標準報酬額に支給率を乗じて得た額
- 2021春 出題なし
- 2020秋 出題なし
- 2020春(模擬)出題なし
- 2019秋 出題なし
- 2019春 出題なし
- 2018秋 出題なし
- 2018春 出題なし
- 2017秋 相手国の年金制度に加入しながら国民年金の任意加入被保険者になれる
- 2017春 出題なし
- 2016秋 出題なし
- 2016春 現在、協定を締結している国の数は20ヵ国には達していない(当時)
出題がないこともあるので過去15回まで遡って分析します。
2019年には立て続けに複数の国で協定が発効。出題がありそうだと予想したのですが出題なし。
もう出すつもりないのか?と思うようになった2021秋。
なんと社会保障協定と外国人の脱退一時金のミックス問題として登場。
以降4回連続で出題が続きましたが、この傾向が続きそうな予感です。
出題傾向から年金制度を考える
社会保障協定について
過去のよく正解となる知識を整理すると、だいたい3つのことで正解になることがわかります。
- 相手国の年金制度に加入しても国民年金の任意加入被保険者になれるか
- 全ての協定国との間で年金制度の加入期間を通算できるか
- 協定を締結している国は何カ国か
これらの知識を押さえておけば対策としては十分でしょう。
1と3が典型的な出題です。
相手国の年金制度に加入しているのに国民年金の任意加入被保険者になれるか
この協定を結ぶと原則として相手国の社会保障制度に加入し、自国の制度には加入しません。
それは二重加入を防止するためです。
海外に進出する企業にとっては二重に社会保険料を負担することは避けたいところ。
そこで、国と国との約束でどちらか片方だけを負担するよう調整しようというものです。
経済界の要請で協定を進めている側面があります。
仮に日本人が相手国の制度に加入すると、国民年金の資格を喪失するので老齢基礎年金が満額になりません。
そこで任意で加入して満額に近づけることができるわけです。
結論、相手国の年金制度に加入しながら日本の国民年金の任意加入は可能です。
社会保障を受ける国を選べないか?
二重加入を防止するという意味の社会保障協定ですから、どちらかの国の社会保障制度のみに加入することになります。
ただし自分で選択することはできません。
原則は相手国の社会保障制度に加入し、自国の社会保障制度の資格は喪失します。
ただ、例外的に5年を超えない見込みで相手国で働く場合は、そのまま自国の社会保障制度に加入し続け、相手国の社会保障制度への加入は免除されることになります。
この点で、2021秋、2022春、2022秋に出題がありました。
全ての協定国との間で年金制度の加入期間を通算できるか
イギリスと韓国、中国は通算できません。
これらの国は相手国のなんらかの事情があって加入期間を通算させない内容になっています。
日本から見ると、通算されなくてもこれらの国での加入期間は、在外邦人という理由で合算対象期間になりますから、日本の年金をもらう上では特段不利益にはならないでしょう。
このことからわかるとおり、社会保障協定はどの国でも協定内容が同じというわけではありません。
この点が2023春では正解となりました。
協定が発効している国は何カ国か
2023年3月14日現在、協定を締結(発効)している国は22ヵ国です(9月1日確認)。
厚生労働省のサイトに情報が出ているので確認しておいてください。
年金機構の社会保障協定サイトも参考になります。
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社会保障協定 日本年金機構
続きを見る
また、社会保障協定といっても、「発効」までには多くの時間がかかり、署名しただけではスタートしません。
現在、署名までが済んでいるのがイタリア。
イタリアとは2009年に署名が済んでいるのに、10年以上経っても発効に至らず・・(どうなっているんでしょう?)
ところで、
国と国との約束である「条約」の発効までの流れは教養として知っておくと良いでしょう。
以前、協定締結から発効までの経緯をブログでまとめたことがあるので参考にしてください。
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え?そうだったの!社会保障協定で誤解していた話|みんなのねんきん
シモムーみんなのねんきん主任講師 目次 どんな事例?簡単に言うと・・こんな事例を考えてみましょう今回の事例の何が問題なんでしょうか解説してみましょうそもそも社会保障協定とはなんだ署名・締結・批准・発効 ...
続きを見る
出題のされ方としては、
10カ国以上
であるとか
20カ国以上
とか
25ヵ国より少ない
という形です。
ここは単に数字を覚えておけばいいでしょう。
メモ
2023年9月1日現在、本年3月14日における発効国数は22のままでした。10月に再度確認してみます。
外国人の脱退一時金について
このテーマは「海外」という括りで出題したいのでしょうか。
2021秋に史上初の短期在留外国人のための脱退一時金の出題がありました。
以降、連続で出題が続いています。
アンダーラインを引いた箇所が出題実績がある箇所です。
もらうには
被保険者期間が6ヶ月以上あること
一つでも該当するともらえない
- 日本国籍がある
- 国民年金の被保険者である
- 老齢年金の受給資格(120ヶ月以上)を満たしている
- 日本国内に住所がある
- 障害年金等の受給権を有したことがある
- 最後に国民年金の被保険者資格を喪失した日(この日に国内に住所があるなら、住所がなくなった日)から起算して2年経過した
いくらもらえるか
国民年金の場合は、被保険者期間に応じて定額です。
厚生年金の場合は、以下の計算式で計算します。
平均標準報酬額 × 支給率
平均標準報酬額:総報酬制前の標準報酬月額は1.3倍して平均額を計算する
支給率:前年10月の保険料率 × 1/2 × 被保険者期間に応じた政令で定める数(最大60)
2022春は60を改正前の36として正解となりました。
今回はこれが答えになる!
基本知識問題の最終問題は海外関連ということでこのテーマが定着してきました。
しばらくは最終問題として君臨しそうな感じです。
まずは社会保障協定の頻出論点を押さえます。
- 相手国の年金制度に加入しても国民年金の任意加入被保険者になれる
- 原則として相手国の社会保障制度に加入するも、5年以内の一時的なら自国の社会保障制度に入ったまま
- イギリス・韓国・中国との間では加入期間を通算できない
- 2023年3月現在、協定が発効している国は22ヵ国
つぎに、脱退一時金ですが、特に数字を押さえておきます
- 6ヶ月以上の加入でもらえる
- 120ヶ月以上の受給資格期間あればもらえない
- 出国して2年経つともらえない
- 最大5年(60ヶ月分)分を計算
いつも同じような出題なのでこれらの知識を押さえておけば2点取れます。
シモムー
みんなのねんきん主任講師