どんなニュース?簡単に言うと
新型コロナウイルス感染症対策の一環として、2020 年(令和2年)5月1日に始まった国民年金保険料の臨時特例免除。この制度の2回目の紹介となる今回は、「申込書類の書き方」のポイントについて見ていきましょう。
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どんなニュース?もう少し詳しく!
申し込みには『免除申請書』と『所得の申立書』の2つが必要
新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減った自営業者やフリーランサーの方が、廃業していなくても国民年金保険料の支払いが免除される“新しい仕組み”。
これが、2020 年(令和2年)5月 1 日から開始された臨時特例免除という制度です。
この制度の基本的な仕組みについては、本サイト 2020 年(令和2年)5月9日付コラム『コロナに負けるな!! 自営業者・フリーランサーの国民年金『臨時特例免除』【制度の仕組み編】』でご紹介をしたところです。
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コロナに負けるな!! 自営業者・フリーランサーの国民年金『臨時特例免除』【制度の仕組み編】|みんなのねんきん
どんなニュース?簡単に言うと 2020 年(令和2年)5月1日、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、国民年金に新しい制度が加わりました。その名も国民年金保険料の『臨時特例免除』。今回は、開始され ...
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そこで今回は、臨時特例免除を利用するための「申込書類の書き方」を説明しましょう。
実は、臨時特例免除の申請の際には、『免除申請書』と『所得の申立書』という2種類の書類を提出する必要があります。
それぞれの正式名称は、次のとおりです。
- 『国民年金保険料免除・納付猶予申請書』
- 『簡易な所得見込額の申立書(臨時特例用)』
いずれも正式名称は長いので、本稿では『免除申請書』『所得の申立書』と呼ぶことにします。
ココがポイント!臨時特例免除を利用する際の申込書類
臨時特例免除を利用したい場合には、『免除申請書』と『所得の申立書』という2種類の
書類を提出する必要がある。
『免除申請書』は「特例認定区分」欄に「臨時特例」と書くことを忘れない
初めに、『免除申請書』の書き方のポイントを説明しましょう。
まず、『免除申請書』とは、次のような様式の書類になります。
実は、この申請書は臨時特例免除を申し込むための“専用の申請書”ではありません。
以前から使用されている“通常の免除申請書”になります。
そのため、臨時特例免除の申し込みの際は、この“通常の免除申請書”に臨時特例免除の申し込みであることを明記することがポイントです。
具体的には、まず申請書の「⑫特例認定区分」という欄の「3.その他」にマルを付けます。
さらに、「3.その他」の右側のカッコ内に「臨時特例」と記入すると、臨時特例免除の申し込みであることの意思表示をしたことになります。
以上の記入を怠ると、「“通常の保険料免除制度”の申請が行われた」という取り扱いになってしまいますので、くれぐれも忘れないように注意をしてください。
『免除申請書』の他の記入欄は、原則として“通常の保険料免除制度”の手続きをする場合と変わりありません。
ココがポイント!『免除申請書』の記入のポイント
『免除申請書』は「⑫特例認定区分」欄の「3.その他」にマルを付け、その右側のカッ
コ内に「臨時特例」と記入することを忘れない。
『所得の申立書』は本人以外の家族の情報も忘れずに記入を
次に、『所得の申立書』の書き方のポイントを説明しましょう。
『所得の申立書』とは、次のような様式の書類です。
この書類では、②、③、④の3つの欄の記入の仕方に気を付けましょう。
初めに、②の欄では、新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減ったという事実が存在することを申告します。
具体的には、チェックボックスにチェックマーク(レ)を記入することになります。
次に③の欄には、新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減った人の“氏名”を記入します。
保険料の免除を受けたい本人の氏名は、この欄の左端にある「被保険者(申請者)氏名」欄に記入します。
ただし、配偶者や世帯主も新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減ったのであれば、それぞれ「配偶者(夫または妻)氏名」欄、「世帯主氏名」欄に氏名を記入しなければなりません。
配偶者や世帯主がいない場合、配偶者や世帯主はいるけれども新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減ったわけではない場合には、それぞれの氏名欄には「なし」と記入します。
例えば、次のような記入になります。
配偶者や世帯主に関する記入は、忘れやすいので注意をしてください。
最後に④の欄には、新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減った人の“所得の見込額”を記入します。
保険料の免除を受けたい本人の“所得の見込額”は、この欄の左端にある「被保険者(申請者)の所得見込額」欄に記入します。
配偶者や世帯主も新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減ったのであれば、それぞれ「配偶者(夫または妻)の所得見込額」欄、「世帯主の所得見込額」欄に記入することになります。
ただし、配偶者や世帯主がいない場合、配偶者や世帯主はいるけれども新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減ったわけではない場合には、それぞれの欄に「なし」と記入します。
例えば、次のような記入になります。
記入する金額は、『所得の申立書』に付いている『所得見込額計算シート』を使って算出する仕組みになっています。
ココがポイント!『所得の申立書』の記入のポイント
『所得の申立書』の③、④の欄は本人だけでなく、配偶者や世帯主に関する情報も記入す
ることを忘れない。
『所得見込額計算シート』E欄の額を『所得の申立書』④欄に記入する
『所得見込額計算シート』とは、次のような書類です。
このシートには、AからEまでの5つの欄があります。
それぞれの欄に次の金額を記入することにより、『所得の申立書』の④の欄に記入する金額が計算できる仕組みになっています。
- A欄…新型コロナウイルス感染症の影響で“最も収入が少なかった月”の収入額
- B欄…A欄で記入した収入額を“12 倍”した額
- C欄…事業収入や不動産収入がある場合の必要経費の年間見込額
- D欄…給与収入や公的年金等収入がある場合の控除の年間見込額
- E欄…B欄-(C欄+D欄)の額
具体例で考えてみましょう。
例えば、飲食店を営む自営業者の方が、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた結果、2020 年(令和2年)5月の売り上げが「10 万円」しかなかったとします。
また、自営業以外の収入はないものとします。
このような場合は、まず『所得見込額計算シート』のA欄には「100,000 円」と記入します。
次にB欄には、A欄に記入した「100,000 円」を“12 倍”した金額である「1,200,000円」を記入します。
つまり、新型コロナウイルス感染症の影響で“最も収入が少なかった月”の状況が、1 年間続いたと仮定した場合の金額を記入するわけです。
さらに、C欄には“必要経費の年間見込額”を記入します。
具体的には、A欄の記入対象となった 2020 年(令和2年)5月にかかった必要経費の額を“12 倍”し、年額に換算することで求めます。
例えば、2020 年(令和2年)5月の必要経費として、店舗の賃料などが「50 万円」かかったのであれば、この「50 万円」を“12 倍”した「6,000,000 円」をC欄に記入します。
給与や年金の収入があればD欄も記入しますが、このケースでは自営業以外の収入はないとしたので、D欄は空欄のままとなります。
最後に、「B欄-(C欄+D欄)」の額をE欄に記入するのですが、前述のとおりD欄は空欄なので、「B欄-C欄」の金額を記入することになります。
つまり、自営業による“収入の年間見込額”から“必要経費の年間見込額”を差し引いた結果を、E欄に記入するわけです。
ところが、B欄の額(1,200,000 円)からC欄の額(6,000,000 円)を差し引くと、計算結果がマイナスになります。
このように計算結果がマイナスの場合には、E欄には「0円」と記入します。
E欄に記入したこの「0円」を、『所得の申立書』の④の欄に記入することになります。
今回の感染症の影響を被った自営業者やフリーランサーの皆さんは、“収入の年間見込額”から“必要経費の年間見込額”を差し引くとマイナスになるケースが非常に多いのではないでしょうか。
その他の必要事項も記入して出来上がった申込書類は、市区町村の国民年金担当窓口または年金事務所に郵送で提出すれば、手続きは完了です。
ココがポイント!『所得見込額計算シート』の使い方
自営業による収入だけの場合、『所得見込額計算シート』で“収入の年間見込額”から
“必要経費の年間見込額”を差し引いた結果を算出し、その金額を『所得の申立書』の④の欄に記入する。
今回のニュースまとめ
今回は、2020 年(令和2年)5月1日から始まった国民年金保険料の臨時特例免除について、「申込書類の書き方」を見てきました。
ポイントは次のとおりです。
- 臨時特例免除を利用したい場合には、『免除申請書』と『所得の申立書』という2種
類の書類を提出する必要がある。 - 『免除申請書』は「⑫特例認定区分」欄の「3.その他」にマルを付け、その右側の
カッコ内に「臨時特例」と記入する。 - 『所得の申立書』の③、④の欄は本人だけでなく、配偶者や世帯主に関する情報も記
入する。 - 自営業による収入だけの場合、『所得見込額計算シート』で“収入の年間見込額”から“必要経費の年間見込額”を差し引いた結果を算出し、その金額を『所得の申立書』の④の欄に記入する。
新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言は解除されたものの、現在、第2波の到来が懸念されています。
臨時特例免除の申込書類は、日本年金機構のホームページからダウンロードできますので、申し込みを検討している自営業者、フリーランサーの皆さんには、早めの手続きをお勧めします。
出典・参考にした情報源
日本年金機構ウェブサイト:
大須賀信敬
みんなのねんきん上級認定講師