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相談事例

俺の年金1カ月分はどこ行ったニャー!という月末退職の話

投稿日:2016年2月25日 更新日:

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写真の出典:left-hand

文:みんなのねんきん主任講師シモムー

どんな事例?簡単に言うと・・

”どこいったニャー”シリーズ第2弾。今回は退職した際の年金が再計算される話。月の途中で退職するのと月末で退職するのとでは1日違うだけでも大違い。どんな事態になってしまうのかを解説します。今回は少し長めですのでお風呂にでも浸かりながらご覧ください。

こんな事例を考えてみましょう

Cさんは60歳以降年金を受け取りながら(株)H商事で働いています。

H商事では厚生年金に加入しています。

Cさんの年金は厚生年金に加入している関係で全額が止められています。

退職すればこれまで加入した分を含めて金額も増えるとの説明を受け、我慢して働いていました。

そして、

定年退職を迎えた2014年4月末日。

Cさんはみんなに見送られ会社をあとにしました。

しばらくして年金額を改定するという通知を受け取ったCさん。

早速、封を開けてみると、確かに金額は以前より増えています。

ところが、

年金額を改定するのは6月分からとなっています。

「おかしいなぁ。4月の月末で辞めたから5月分からじゃないのか?」

H商事に問い合わせても、4月末日で退職した旨、年金事務所にも届け出たとのこと。

俺の年金1カ月分はどこ行ったニャー!

Cさんが年金機構に牙をむきました。

今回の事例の何が問題なんでしょうか

在職中に掛けた厚生年金は、退職することで受け取っている年金に反映されます。

年金の記録は全て月単位で処理されますから退職した翌月分から年金が増えてしかるべき。

ところが、月末に退職するとCさんのような事態がおきます。

退職後の年金額の再計算がどのようなルールになっているのかが問題となります。

解説してみましょう

シモムー

在職中に掛けた保険料は退職後に反映する仕組み

退職後に年金額を再計算する仕組み。

前提となる知識を簡単な事例で考えてみましょう。

例えば、

Aさんが63歳で老後の厚生年金の権利が生じたとします。

その時の厚生年金への加入履歴は100カ月。

100カ月分で計算された年金をAさんは受け取ります。

その後、R社に就職して再び厚生年金に加入したとしましょう。

毎月保険料を納めるわけですが、毎月年金額が再計算されるわけではありません

退職した時にまとめて再計算するという仕組みなんです。

例えば、

12カ月勤めたのちに退職したとします。

退職して初めて、112カ月の年金として計算してもらえるわけです。

退職しても1カ月間の空白が必要

ただし、この退職したあとの年金再計算は1カ月間の空白を空けよというルールになっています。

例えばAさんが12ヶ月後に退職し、その後2週間でM社に就職して再び厚生年金に加入したとします。

1カ月間の空白がありません。

この場合は連続して厚生年金に入っていると考えて年金の再計算はされないんです。

AさんはM社でも100カ月のままの年金を引き続き受け取ります。

M社を退職して、1カ月の空白ができて初めてR社とM社の期間を合わせて再計算することになります。

1カ月空白のルールを具体的に考える

では、1カ月空白のルールを具体的な日付で考えてみましょう。

この退職後の再計算のルールは

「資格を喪失した日から起算して1月を経過したとき」

に行うよと規定されています。

資格を喪失した日というのは退職した日の翌日なんです。

例:4月15日に退職した

例えば4月15日に退職したとしましょう。

4月16日に厚生年金の資格を失います。

翌月15日まで再就職しなければ、5月16日で1カ月を経過したことになります。

例:4月30日に退職した

では、4月30日の月末に退職したとしましょう。

翌日は5月1日。この日に厚生年金の資格を失います。

5月31日まで再就職しなければ、6月1日で1カ月を経過したことになります。


このように月内で退職した場合と月末で退職した場合とでは1カ月経過の月がズレることがわかります。

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(クリックで拡大)

(下に続きます)

月末退職では年金額改定が1カ月ズレる

1カ月の空白の条件はクリアーしました。

次に年金の再計算が行われます。

Cさんが退職した当時はこんなルールでした。

「資格を喪失した日から起算して1月を経過したとき」

条件クリアー↓

資格を喪失した日から起算して1月を経過した日の属する月から年金の額を改定する」

再び上の例で改定の時期を考えてみましょう。

例:4月15日に退職した

4月16日に厚生年金の資格を失い、5月16日が1カ月を経過した日。

つまり、再計算後の年金は5月分から受け取れます。

例:4月30日に退職した

5月1日に厚生年金の資格を失い、6月1日が1カ月を経過した日。

つまり、再計算後の年金は6月分から受け取れます。


このように月末で退職すると5月は在職していないにもかかわらず、再計算後(退職後)の年金は6月分からとなるんです。

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(クリックで拡大)

これでは辞めた人の立場からすれば納得できないでしょう。

一般的な感覚からしても5月分から増えると思うはず。

ご想像のとおり、このルールのお陰で年金相談ではお叱りを受けることがしょっちゅうでした。

年金額1カ月分に反映するか否か

ただし、月末退職は悪いことばかりではありません。

月末の最後まで在職していると、退職月までを含めて再計算してくれます。

逆にいうと、

月の途中で退職すると退職月は年金額に反映しません。

なぜなら月の途中で退職すると、退職月の保険料を納めなくて済むからです。

保険料を納めないなら年金に反映しないのも当然です。

公務員の年金制度と民間の年金制度が統合されて問題が解決

2015年10月。

公務員の年金制度である共済年金と民間の年金制度である厚生年金が統合されました。

それに伴い、基本的に制度の中身を厚生年金制度に揃えることにしました。

一方、例外的に共済年金の仕組みに揃えるというものもいくつかあります。

実はこの月末退職の問題、今回の統合を機に解決されたんです。

共済年金の仕組みに揃えることで。

具体的には

「資格を喪失した日から起算して1月を経過したとき」

条件クリアー↓

退職した日から起算して1月を経過した日の属する月から年金の額を改定する」

4月30日に退職すれば、1カ月を経過した日が属する月は5月30日。

したがって、月末退職でも退職月の翌月から再計算後の年金を受け取れるようになりました。

年金相談の現場を悩ます長年の問題がようやく解決されました。

今回の事例まとめ

退職後に年金額を再計算するルール。

Cさんは2015年10月以降に退職していれば、5月から再計算後の年金を受け取れました。

2014年の当時のルールではどうしようもなかったんです。

長年の懸念がようやく解決。

月内の退職でも月末の退職でも翌月分から再計算後の年金を受け取れる。

とすれば、

月末まで在職していた方が有利。

月の途中で辞めるより1カ月分多い年金なんですから。

にしても・・。

共済年金にはそもそも月末退職の不利益が生じないようなルールになっていたとは・・。

どうも釈然としない気持ちが猫に表れています。

シャー!


事例は実際の相談をヒントにしたフィクションです。記事中のアルファベットは実在の人物・企業名と関係ありません。記事は細心の注意を払って執筆していますが、執筆後の制度変更等により実際と異なる場合もあります。記載を信頼したことによって生じた損害等については一切責任は負えません。

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シモムー

シモムー

日本年金機構の年金相談コールセンターにて新人研修講師を担当しながら社労士試験予備校にて講師を経験。2014年より公的年金の情報を初心者目線で解説する「みんなのねんきん」サイトで情報提供を続ける。年金を事例で学ぶ「年金ケーススタディ」で全問題の作問と解説を担当。具体例やイメージで理解できる情報提供を心がけている。

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