「社員のマイナンバーを登録してください」が来たらここを確認せよ!|みんなのねんきん

大須賀信敬

みんなのねんきん上級認定講師

どんなニュース?簡単に言うと

2020 年(令和2年)1月上旬、日本年金機構から一部の企業に対し、マイナンバーに関する案内が送付されます。この案内は、社員のマイナンバーを日本年金機構に登録するように求めるものです。そこで、今回は日本年金機構のマイナンバー登録業務を説明します。

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どんなニュース?もう少し詳しく!

なぜ、年金機構が企業に社員のマイナンバー登録を求めるのか

初めに、日本年金機構とマイナンバーとの関係を見てみましょう。

そもそも、マイナンバー制度とは「社会保障」「税」「災害対策」の3つの分野で、異なる組織の持つ個人情報が“同一人の情報”であることを確認するためなどに設けられた仕組みです。

通称「マイナンバー法」と呼ばれる法律が 2013 年(平成 25 年)5月 24 日に成立し、2016 年(平成 28 年)1月から、行政機関が業務でマイナンバーを利用するようになります。

そのため、「社会保障」の一つである公的年金制度を実施する日本年金機構でも、当初は他の行政機関と同様に 2016 年(平成 28 年)1月から、「年金記録の適正な管理」「利便性の向上」などを目的に年金業務でマイナンバーの利用を始める予定でした。

しかしながら、2015 年(平成 27 年)5月に発生した情報漏えい問題がネックとなり、日本年金機構では 2016 年(平成 28 年)1月からのマイナンバー利用を延期することになります。

その後、日本年金機構では他の行政機関に遅れること1年、2017 年(平成 29 年)1月から年金業務の一部でのマイナンバー利用を開始します。

従って、日本年金機構がマイナンバーを業務に利用し始めたのは、今から3年ほど前のことになります。

さらに、2018 年(平成 30 年)3月からは、原則として年金関係の手続きをマイナンバーで行うようになるなど、徐々に年金業務でのマイナンバーの利用範囲が拡大されていきます。

それに伴い、日本年金機構では企業に対し、社員のマイナンバー登録を求める手続きを開始することになります。

初めて日本年金機構が企業に社員のマイナンバー登録を求める案内を発送したのが、2017年(平成 29 年)12 月。

さらに、2018 年(平成 30 年)8月に、2度目のマイナンバー登録に関する案内を企業に対して発送しています。

従って、今回が企業に対する3回目のマイナンバー登録の案内となります。

ココがポイント! 日本年金機構が企業にマイナンバーの登録を求めるようになった経緯 

2017年(平成29年)1月から、日本年金機構では年金業務の一部で、マイナンバーを利用し始めた。その後、徐々に利用範囲を拡大することとなり、それに伴い、企業に対して社員のマイナンバー登録を求めるようになった

マイナンバーの登録で『住所変更届』『氏名変更届』の提出が不要に

日本年金機構にマイナンバーが登録されると、年金機構ではマイナンバーを利用して市区町村が保有する住民票関係の情報の一部を、独自に確認できるようになります。

その結果、日本年金機構に対する手続きが一部、不要になるというメリットがあります。

具体的には、厚生年金の被保険者の場合には、転居をした場合の『住所変更届』、氏名が変わった場合の『氏名変更届』を日本年金機構に提出する必要がなくなるものです。

住所や氏名の変更の際、市区町村に届出が行われれば、その情報を日本年金機構が独自に確認できるからです。

これが、日本年金機構が業務にマイナンバーを利用する目的の一つである「利便性の向上」に当たります。

ココがポイント! 社員のマイナンバーを日本年金機構に登録した場合のメリット

厚生年金の被保険者がマイナンバーを日本年金機構に登録すると、転居をした場合の『住所変更届』、氏名が変わった場合の『氏名変更届』の日本年金機構への提出が不要になる。

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社員のマイナンバー登録が終わっていない企業にだけ案内が届く

今回、2020 年(令和2年)1月上旬に社員のマイナンバー登録の案内が送付されるのは、2019 年(令和元年)10 月5日時点で日本年金機構にマイナンバーが登録されていない被保険者が在籍する企業のみとなります。

同日時点で全ての被保険者のマイナンバーが日本年金機構に登録されている企業に対しては、今回は何の案内も届きません。

つまり、今回、マイナンバー登録の案内が届くのは、あくまで一部の企業のみということです。

また、届いた案内には、企業側に実施を求める以下の“2つの事項”が記載されています。

  1. 「日本年金機構にマイナンバーが登録されていない社員」のマイナンバーを届け出てほしい。
  2. 「日本年金機構にマイナンバーが登録されていない社員」について、現在、日本年金機構に届け出られている氏名、性別、生年月日、住所が、企業側に届け出られているものと同じかを確認してほしい。

届いた案内には、『マイナンバー未収録者一覧』という名簿が同封されています。

これは、その企業の社員のうち、日本年金機構にマイナンバーを登録していない被保険者のリストに当たります。

従って、企業側ではこのリストに掲載されている社員について、「マイナンバーの登録」と「日本年金機構に登録されている氏名等の確認」を行うことになります。

「マイナンバーの登録」には、同封の『個人番号等登録届』を使用します。

これは、日本年金機構にマイナンバーを登録する際に使用する“専用の手続き用紙”で、以下のような様式です。

(タップで拡大)

また、「日本年金機構に登録されている氏名等の確認」は、『マイナンバー未収録者一覧』に記載されている氏名、性別、生年月日、住所と、企業側が把握している情報とを照らし合わせることによって行います。

照らし合わせた結果、企業側の情報と不一致の情報がある場合には、専用の『変更届』を作成して提出することになります。

企業側の情報と完全に一致する場合には、手続きは不要です。

ただし、この確認手続きには注意点があります。

『マイナンバー未収録者一覧』に記載されている氏名等の情報は、最新の情報ではないという点です。

実は、『マイナンバー未収録者一覧』に記載されているのは、2019 年(令和元年)10 月10 日時点で日本年金機構に登録されている情報のため、約3カ月前の情報になります。

そのため、「最近、住所変更の手続きをした」などの場合は、届いた『マイナンバー未収録者一覧』にはその情報が反映していない可能性がありますので、注意が必要です。

必要書類を全て作成したら、自社を管轄する日本年金機構の事務センターに郵送で提出を行います。

提出期限は 2020 年(令和2年)2月 28 日ですので、必要書類を準備するには十分な時間があるでしょう。

ココがポイント! マイナンバー登録の案内を受け取った企業が行うこと

案内が届いたら、2020年(令和2年)2月28日までに対象の社員について、「マイナンバーの登録」と「日本年金機構に登録されている氏名等の確認」を行う。

年金機構へのマイナンバー登録は義務か?

実は、日本年金機構に社員のマイナンバーを登録しなければならない「法律上の義務」は存在しません。

従って、日本年金機構としても社員のマイナンバー登録を企業側に強制はできず、登録をしなくても罰則などのペナルティが課されることは、一切ありません。

そのため、「年金機構への登録は義務ではない」という事実を知った企業の中には、次のような考えを持つ所が出てきそうです。

「マイナンバーの登録によって利便性が向上するといっても、住所や氏名の変更時に年金機構への手続きが不要になる程度なのであれば、わざわざ年金機構にマイナンバーを登録しなくてもよいのでは?」

しかしながら、日本年金機構が年金業務にマイナンバーを利用する目的には、一部の手続きが不要になる「利便性の向上」の他にもう一つ、重要なものがあります。

「年金記録の適正な管理」です。

皆さんは、今から 13 年ほど前の 2007 年(平成 19 年)に、「年金記録問題」という大規模な社会問題が発生したことをご存知でしょうか。

国民の「年金記録」が適切に管理できていなかったことが公になり、当時、「宙に浮いた5千万件の年金記録」という言葉が連日、メディアを賑わせたものです。

年金業務を実施していた社会保険庁という行政機関が廃止に追い込まれるなど、“年金行政上の最大の不祥事”といえます。

公的年金制度に関するこのような歴史的経緯を鑑みると、日本年金機構へのマイナンバー登録が「年金記録の適正な管理」に役立つのであれば、大きな意義があるのではないかと思います。

ココがポイント! 日本年金機構へのマイナンバー登録の意義とは

日本年金機構にマイナンバーを登録することは、「年金記録を適正に管理する」という点で、大きな意義を持つと考えられる。

今回のニュースまとめ

今回は、日本年金機構のマイナンバー登録業務について、2020 年(令和2年)1月上旬に一部の企業に対して行われる「社員のマイナンバー登録の案内」の仕組みを中心に見てきました。

ポイントは次のとおりです。

  • 日本年金機構では年金業務におけるマイナンバーの利用範囲拡大に伴い、企業に対して社員のマイナンバー登録を求めるようになった。
  • 厚生年金の被保険者が日本年金機構にマイナンバーを登録すると、『住所変更届』『氏名変更届』の日本年金機構への提出が不要になる。
  • 2020 年(令和2年)1月上旬にマイナンバー登録の案内が届くのは、2019 年(令和元年)10 月5日時点で日本年金機構にマイナンバーが登録されていない被保険者が在籍する企業のみである。
  • 案内が届いた企業は、対象の社員について「マイナンバーの登録」と「日本年金機構に登録されている氏名等の確認」を行うことを求められる。
  • 日本年金機構へのマイナンバー登録は、「年金記録を適正に管理する」という点で大きな意義を持つと考えられる。

実は現在、国民年金の第3号被保険者で日本年金機構にマイナンバーが登録されていない皆さんへも、登録の案内が発送されています。

案内を受け取った皆さんは、内容をよく確認して手続きすることをお勧めします。

出典・参考にした情報源

日本年金機構ウェブサイト:

【事業主の皆さまへ】基礎年金番号とマイナンバーが紐づいていない厚生年金保険被保険者について、個人番号等登録届の提出にご協力ください。

【事業主の皆さまへ】基礎年金番号とマイナンバーが紐づいていない厚生年金保険被保険者について、個人番号等登録届の提出にご協力ください。|日本年金機構
【事業主の皆さまへ】基礎年金番号とマイナンバーが紐づいていない厚生年金保険被保険者について、個人番号等登録届の提出にご協力ください。|日本年金機構

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【事業主の皆さまへ】基礎年金番号とマイナンバーが紐づいていない厚生年金保険被保険者について、個人番号等登録届の提出にご協力ください。|日本年金機構
【事業主の皆さまへ】基礎年金番号とマイナンバーが紐づいていない厚生年金保険被保険者について、個人番号等登録届の提出にご協力ください。|日本年金機構

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みんなのねんきん上級認定講師 大須賀信敬

特定社会保険労務士(千葉県社会保険労務士会所属)。長年にわたり、公的年金・企業年金のコールセンターなどで、年金実務担当者の教育指導に当たっている。日本年金機構の2大コールセンター(ねんきんダイヤル、ねんきん加入者ダイヤル)の両方で教育指導実績を持つ唯一の社会保険労務士でもある。また、年金実務担当者に対する年金アドバイザー検定の受験指導では、満点合格者を含む多数の合格者を輩出している。

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