どんなニュース?簡単に言うと
2016年度の年金額はどうやら今年度と同じ現状維持になりそう。どんな仕組みで年金額を決めているか。鍵を握るのは2015年度から動き出した「マクロ経済スライド」。解説してみます。
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どんなニュース?もう少し詳しく!
2016年度の年金額はどうなる?
2015年度も残り3カ月。
そろそろ来年度の年金額がどう変化するか気になるところ・・。
ちょうどそんな時です。
「ムムこれは!」と思った日本経済新聞の記事をご紹介します。
年金は前年までの物価や賃金の動き次第
厚労省は毎年1月に次年度の年金額がどう変化するか発表します。
発表はまだですが、
統計の情報を見る限りでは来年度は現状維持になりそう。
毎年度の年金額は前年までの物価や賃金の動きで決まります。
それに加えて、
2015年度からは「マクロ経済スライド」(以下、マクロスライド)という仕組みで年金額が増えるのを抑えています。
年金額が増えるのを抑える「マクロ経済スライド」
マクロ経済スライドってなんでしょうか。
ちょっとその仕組を説明してみましょう。
仮に物価が前年比1.5%高まったとします。
すると、
次年度は1.5%高くした年金にする。
というわけではありません。
マクロスライドが口を出してくる。
1.5%からマクロスライド分の年金を減らす。
減額幅はおおよそ1%。
増額させることは絶対にありません。
このマクロスライドは減らすことありきのスライドなんです。
結果、今年度の年金額は前年度比0.5%増額へ。
という仕組みなんです。
2016年度の年金額は現状維持か
記事によれば、「今年1~10月の物価は単純平均で前年同期比0.9%上昇した。」とのこと。
11月、12月のデータを総合してもそんなに大きく変わることはないでしょう。
とすれば、
単純にこのプラス0.9%で考えてみると・・。
本来の増額幅は0.9%。
しかし、
マクロスライドで1%減額。
結果、前年度比▲0.1%となる。
いえ。そういうわけではありません。
マクロスライドの結果、マイナスにすることはしません。
前年度比プラスマイナスゼロのところでマイナスは終わり。
現状維持ってことになります。
2016年度は2015年度と同じ年金額になりそうです。
ちなみに、
現状維持となる2016年度のイメージはこんな感じ。
図は1カ月10万円の年金額の場合(図の左端)。
物価が0.8%上昇したものの、マクロスライドによる▲1%で99,800円になる(図の真ん中)かと思いきや、
そうはせずに前年度の10万円は保障する(図の右端)ってことです。
そもそもなんでこんなスライドをする?
そもそもこのマクロスライドは何のためにある?
それは年金財政の悪化を抑えるため。
保険料を納めて年金を支える人より年金を受け取る人の方が多い。
年金財政の収支はアンバランスな状態です。
そこで、
その収支がバランスが取れるようになるまで、増額を抑えようとする。
それがマクロスライドの働きです。
経済状況次第ですが、2年や3年で終わるものではありません。
こんな仕組みですから、プラス改定されるような経済状況でないといけない。
そうしないとマクロスライドが動き出せないから。
今は若干でもプラス改定されるような経済状況ですが、これがいつまでも続くとは思えません。
経済状況が悪くてもマクロスライドを使えるようにする。
2016年の国会で改正案が出されるはずです。
ただ、
こういう高齢者に痛みを強いる政策にはどうしても政治が修正を要求してきます。
マクロスライドがどんな形に変わるか。
全ての世代のことを考えたうえで変えるところは変えてもらわないと困ります。
今回のニュースまとめ
今回のニュースは
- 2016年度の年金額は2015年度と同じになりそう
- 物価は若干上昇しているがマクロスライドで上昇分は帳消し
- 今後のマクロ経済スライドがどう変わるか注目
年金の受け取り手は増えているのに、保険料の払い手は減っている。
収支のバランスが崩れているわけですから、収入を増やすか支出を減らすしかありません。
収入を増やすと言っても保険料はもう上げられません。
ある一定ラインでこれ以上は上げないと決まっているからです。
とすれば、「支出を減らす→年金額を減らす」ことになる。
第三の手段は、保険料を上げられないのであれば、保険料を納める人を増やすこと。
政府の一億総活躍の政策で女性や高齢者がどこまで納める人になれるか。
今後はそれが重要ってことです。
追記:2016年1月29日に厚生労働省が確定の年金額を発表しました。
こちらの記事で解説をしています。
出典・参考にした情報源
日本経済新聞
シモムー
みんなのねんきん主任講師