何が出題されている?
出題形式:誤っているものを選択
公的年金の税制というタイトルの問題なんですが、税金の計算が出題されるとかそういうことではありません。
主に出題されるのが、納めた保険料が税制上どういう所得控除になるかということ。
ちょっと前までの傾向は所得控除の種類を覚えるだけの問題でしたが・・。
最近はもう少し踏み込んだ知識が要求されるので、そこまでの対策が必要です。
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過去10回の正解となった知識
- 2023春 個人型確定拠出年金の死亡一時金は課税対象となる
- 2022秋 年金生活者支援給付金は非課税
- 2022春 未支給年金は相続税の課税対象とならない
- 2021秋 遺族給付は非課税
- 2021春 妻の確定拠出年金の掛金を夫が納めても夫の所得控除の対象にならない
- 2020秋 年金生活者支援給付金は非課税
- 2020春(模擬)妻の確定拠出年金の掛金を夫が納めても夫の所得控除の対象にならない
- 2019秋 未支給年金は相続税の課税対象とならない
- 2019春 子の国民年金を親が納めると納めた者の社会保険料控除となる
- 2018秋 確定給付企業年金の掛金は生命保険料控除となる
最近は同じものが正解にならず、バラけている印象。
未支給年金の性質に関して(赤)、本人以外が保険料(掛金)を負担するとどうなるか?(緑)、年金生活者支援給付金は非課税(橙)が複数正解となっています。
どれが正解になるかはわからない状況ですが、常連の知識を消していけば正解にはたどり着けるはず。
出題傾向から年金制度を考える
このテーマは近年、出題傾向がだいぶ変わっているのですが、かつてはよく出ていた所得控除の種類についてまずはまとめてみます。
出題される所得控除と対象となる保険料・掛金
社会保険料控除
- 国民年金基金(「生命保険料控除」「小規模企業共済等掛金控除」として誤りを作る)
- 厚生年金基金(「控除額には上限が設けられている」として誤りを作る。上限はない)
- 社会保険料控除自体に上限は無い
小規模企業共済等掛金控除
- 個人型確定拠出年金(「社会保険料控除」として誤りを作る)
- 企業型確定拠出年金
ここで注意したいのは、「小規模企業共済等掛金控除」が加入した本人の所得控除にしかならないという点。
例えば、国民年金の第3号被保険者である妻の掛金を夫が負担したからといって、夫の所得控除として夫が節税できるということにはならないんです。
逆に、
国民年金の保険料は親が代わりに納めて、親自身の所得控除となる社会保険料控除とは異なります。
”親(世帯主)にも納付義務があるから、対象になる” と覚えます。
生命保険料控除
- 確定給付企業年金(「社会保険料控除」として誤りを作る)
特に確定給付企業年金の加入者負担分は生命保険料控除というのはなかなかそういう発想に至らない。
私自身が過去に苦しめられた覚えがあります。
正誤に関係なく常連の肢になっていますから注意です。
課税・非課税の知識
障害年金・遺族年金は非課税
2018春秋では障害年金・遺族年金が非課税になるという知識が出題。
2021秋では正解になりました。
これは知っていないといけない公的年金の常識です。
年金生活者支援給付金は非課税
2020春(模擬)で、初めてこの論点が問われました。
条文上、
租税その他の公課は、年金生活者支援給付金として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。
(第33条)
とあるので、老齢・障害・遺族共通して課税無しです。
2020秋、2022秋で正解に。
「老齢」だけが課税される老齢基礎年金・老齢厚生年金とは違います。
すべての給付金が非課税の点に注意です。
確定拠出年金の給付金は課税?非課税?
2023春には、確定拠出年金の死亡一時金が課税されるか否かという初めての出題がありました。
この点、条文を確認すると、
租税その他の公課は、障害給付金として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。
(確定拠出年金法32条2項、個人型は73条で32条を準用)
となっているので、老齢給付金と死亡一時金は課税されるという結論になります。
これは難しかった。私も試験会場でかなり悩みました。
未支給年金に関する2つの知識
未支給年金は受け取った人の一時所得
公的年金の受給者が亡くなった場合の最後の年金を遺族が受け取れる仕組み。
最後の年金が”未支給年金”です。
2019春には未支給年金が一時所得として課税対象になるという知識が出ました。
2020春(模擬)、2020秋、2021春、2021秋、2023春も出ています。
私は当初、死亡に関する給付なので、「非課税ではないか?」と解釈していました。
受け取った遺族の所得として課税されるというのが税務上の取り扱いです。
未支給年金は相続税の課税対象とならない
上で説明したとおり、未支給年金は受け取った遺族本人の一時所得。
つまり、
故人の資産ではないので、相続するものではないんです。
2019秋はこの点、初の出題。
相続税の課税対象となる
なりません。
2020春も再び正解となりました。
ちなみに、故人の資産ではなく、相続するものではないので、仮に遺族が相続放棄したとしても、未支給年金の受取りはできます。
まだ出題されたことが無い知識ですが、最近の未支給年金の出題を見てみると、これも突然出そうな気がしています。
いずれにせよ、未支給年金の扱いは今後も要注意です。
今回はこれが答えになる!
まずは、上で列挙した保険料(掛金)がどの所得控除になるかの判定は確実にできるように。
つぎに、本人以外の人が保険料を負担した場合を整理しておきます。確定拠出年金における”小規模企業共済等掛金控除”は本人以外は認められません。
課税非課税の知識も注意。非課税になるものを押さえます。
- 公的年金の障害年金・遺族年金は非課税
- 年金生活者支援給付金はすべての給付金が非課税
- 確定拠出年金は障害給付金のみが非課税
最後に未支給年金の論点を押さえる。
- 未支給年金は故人の財産ではないため相続の対象にならない
- 未支給年金は受け取った遺族自身の財産として課税対象となる
これらは今後も正解にしてくる知識と考えられるので注意です。
シモムー
みんなのねんきん主任講師