何が出題されている?
出題形式:誤っているものを選択
もはや出題は消えたと思った受給権に関するこのテーマ。
2024春に突然復活しました!
今後はこれが続くと考えて対策を立てる必要があります。
このテーマは年金の受給権発生に絡んで、年金支給に関する周辺ルールが出題されます。
雑多な知識が並んでいるのですが、正解となる知識は偏っています。
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過去15回の正解となった知識
- 2024春 未支給年金は生計同一していた遺族でなければ支給されない
- 2023秋 出題なし
- 2023春 出題なし
- 2022秋 出題なし
- 2022春 出題なし
- 2021秋 出題なし
- 2021春 出題なし
- 2020秋 未支給年金の請求者の範囲は配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹・3親等内の親族
- 2020春(模擬)年金は支給すべき事由が生じた月の翌月分から権利が消滅した月分まで支給される
- 2019秋 未支給年金は生計同一していた遺族でなければ支給されない
- 2019春 未支給年金の請求者の範囲は配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹・3親等内の親族
- 2018秋 社会保険審査官に対する審査請求 処分を知った日の翌日から3カ月以内
- 2018春 年金は支給すべき事由が生じた月の翌月分から権利が消滅した月分まで支給される
- 2017秋 繰上げ支給の老齢基礎年金は請求日の属する月の翌月分から支給される
- 2017春 未支給年金の請求者の範囲は配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹・3親等内の親族
出題がないときが続いたので15回まで遡っています。
2024春に復活しましたが、やはり正解となるものは定番です。
過去の傾向を踏まえて定番を押さえておけば良いでしょう。
出題傾向から年金制度を考える
2回に1回は正解となる未支給年金
受給権者が死亡後に受け取れなかった分をその遺族が受け取る未支給年金。
年金は後払いなので、どうしても死亡後に受取れない未支給分が生じます。
厚生年金では未支給の保険給付と言いますが、中身は同じです。
平成26年の改正で3親等内の親族まで拡大されました。
ここ最近は必ず肢の一つに並んでいて、正解になる可能性も非常に高い!
まずは、
遺族の範囲をしっかり判定できるようにしておきます。
過去の正解は「兄弟姉妹」や「3親等内の親族」が抜けていて正解となっています。
登場人物の抜けがないかをしっかり押さえます。
つぎに、
生計同一要件が必要なことを理解。
生計同一とは、亡くなった年金受給者と経済的なつながりがあるということ。
メモ
実務的には住民票で同一世帯の人なのかを判断しますが、別世帯でも問題ありません。そのときはお金のやり取りの有無で判定します。
2019秋、2024春は
生計同一でなくても
受給できるという出題が。
未支給年金を受給するためには、対象の遺族であり、かつ、生計同一関係がなければいけません。
これも当然の知識として押さえます。
ただ、ほとんどは遺族の範囲で正解を作る傾向にありますから、配偶者・父母・・の順序、3親等内の親族の抜けが無いかに注意をするだけです。
年金の始まりと終わりの論点2つ
次に押さえたいのは、
いつからいつまで支給されるか。
という点。
この「いつからいつまで」はバリエーションが2つあります。
- 年金支払いにおいて「いつからいつまで」か
- 繰上げの請求をした場合に「いつから」か
しかし覚えるのは1つだけなんです。
それは
年金権発生月の翌月分から失権月の当月分まで
事例で理解してみましょう。
支給期間の例:6月6日で65歳の誕生日を迎えたら7月分から
6月6日で65歳の誕生日を迎えた。
前日の6月5日で65歳に達している。
6月5日に老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給権が生じる。
6月が年金権発生月なので、翌月の7月分から受け取ることになります。
支給期間の例:9月9日で死亡したら9月分まで
9月9日で亡くなった。
9月9日で年金の権利は消滅。
9月に失権しているので、当月の9月分までを受け取ることができます。
が、本人は亡くなっているので受け取れない。
そこで、遺族が未支給分を受け取ることになります。
繰上げの例:7月7日に繰上げ請求したら8月分から
7月7日に年金事務所で繰上げ請求した。
すると、請求したその日に繰上げによる老齢基礎年金の権利が生じた。
すると、翌月分の8月分から受け取ることになります。
ちなみに、
請求して初めて年金権が生じるのものは年金制度のなかでいくつかありますが、繰上げはこの典型的な例です。
受給権が生じるためには請求の意思表示が必要ですので、それ以前に遡ることは絶対にありません。
メモ
法定の年齢(65歳)でもらえる老齢年金は権利が生じるために「請求」は必要ありません。何もしなくても条件を満たせば年金権は生じています。ただし、”支給を開始して欲しい”という「裁定請求」は必要です。既に年金権が生じているわけですから、この場合、裁定請求が遅れれば権利が生じたところまで遡ることになります。
年金請求をした月の翌月分ではない
2020春(模擬)は”翌月”か”当月”か?という話ではなく、
裁定が行われた日の属する月の翌月分
という初の出題がありました。
上のメモでも指摘していますが、年金の権利が生じた月の翌月分からが支給の対象。
確かに、年金の支給を始めて欲しいという”裁定請求”をして、裁定がされないと年金が始まりません。
が、支給の対象はあくまで権利が生じた月の翌月分から。
読み飛ばしやすいところなので注意が必要です。
結局覚えるのは1つだけ
繰上げだろうと普通にもらうのであろうと、覚えることは1つ!
年金権発生月の翌月分から失権月の当月分まで
結局はこれだけを理解すれば乗り切れます。
一元化の影響を受けた年金裁定の主体
被用者年金一元化後の出題で特徴的な肢が登場しています。
それは、
”老齢厚生年金の権利は実施機関が裁定する”
というもの。
これまで、厚生年金の給付は”厚生労働大臣が裁定する”となっていました。
ところが、
共済年金との一元化を経て、”実施機関が裁定する”と変わりました。
この点、
国民年金は依然として”厚生労働大臣が裁定する”(国年法16条)となっています。
![シモムー](https://minna-no-nenkin.com/wp-content/uploads/2015/11/11-300x300.png)
と指摘しておいたのですが、正解にはならなかったものの、2019秋で選択肢として並んでいました。
審査請求も常連の肢だがあまり正解にならない
2018秋には社会保険審査官に対する審査請求期限について正解になりました。
処分を知った日の翌日から原則として60日以内
と出題がありましたが、これは3カ月以内ですね。
この数字の部分だけを覚えれば足ります。
今回はこれが答えになる!
![シモムー](https://minna-no-nenkin.com/wp-content/uploads/2015/11/11-300x300.png)
数年間出題がなかったので、出題されることは頭にありませんでした。
念のため、分析記事を残しておいてよかったです。
再出題の内容を見ても、これまでの出題の延長線。
正解を左右しそうな少なくとも以下の2つは頭に入れます。
- 未支給年金の請求者の範囲は配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹・3親等内の親族
- 年金は支給すべき事由が生じた月の翌月分から権利が消滅した月分まで支給される
今後は消えていくであろうテーマが他にあるので(特老厚など)、おそらくこのテーマは引き続き出題があるはず。
出題を前提に対策を立てましょう!
シモムー
みんなのねんきん主任講師