年金行政で活用が本格化!マイナンバー大地に立つ!!後編|みんなのねんきん

出典資料が発表された日:2018年2月14日

どんなニュース?簡単に言うと

2018年3月5日からマイナンバーを利用した年金手続きが変更されたとのこと。どんな変更がされ、私たちにとってどのようなメリットがあるのか。現役世代と年金受け取り世代に分けて、年金行政のマイナンバー活用を取り上げてみます。今回は年金受け取り世代を特集します。

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どんなニュース?もう少し詳しく!

厚生労働省は2018年2月14日、マイナンバー利用に関してウェブサイトに告知をしました。

※参考 年金分野でのマイナンバー制度の利用について

この2018年3月5日からは、各種手続きに関して、マイナンバーを本格的に活用するとのこと。

前回は、現役世代の手続きがどう変わるのかをご紹介しました。

年金行政で活用が本格化!マイナンバー大地に立つ!!前編|みんなのねんきん

出典資料が発表された日:2018年2月14日 どんなニュース?簡単に言うと 2018年3月5日からマイナンバーを利用した年金手続きが変更されたとのこと。どんな変更がされ、私たちにとってどのようなメリッ ...

今回は年金受け取り世代への影響についてご紹介します。

今回も厚労省発表のリーフレットを参照しながら、何が変わって、わたしたちにどういうメリットがあるのかを特集してみます。

年金請求時は原則としてマイナンバーを記載する

年金を請求する際には年金請求書にマイナンバーを記載することが原則となりました。

老齢・障害・死亡の年金どれも共通です。

出典:年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)

例えば、上の画像は遺族年金を請求する際の請求書ですが、亡くなった人と遺族と両方の記入欄が見えますね(赤枠で囲った部分)。

原則は個人番号ですが、基礎年金番号を記載するのでも良いようです。

メリットはなに?

氏名変更の届出が不要になるというメリットがあります。

現役世代の場合は氏名変更と住所変更の届出も不要になると前編では説明しました。

なぜ年金受給者は氏名変更だけで住所変更は影響ないのでしょうか。

それは、既に平成23年から住所変更の届出は原則不要となっているから。

住民票コードを利用して住基ネットの住所情報と連携する仕組みが既に動いていたからです。

住基ネットとの連携は住所変更だけでなく、死亡届の省略や現況届(毎年1回、生きているよと知らせる届出)の省略に結びつきました。

ただ、氏名変更については年金受給者特有の注意点(このあとで記載します)があったので実現していませんでした。

いずれにせよ、マイナンバー制度導入前から年金受給者の届出書類は省略が進んでいたんです。

年金請求書記入時の注意にはこうある

この点、年金請求書にはマイナンバー記入の際の注意書きがあります。

出典:年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)別紙

個人番号(マイナンバー)を記入することにより、生年月日に関する書類の添付が不要になる場合があります。また年1回の現況の確認(現況届)や住所変更の届出が不要となります。

年金請求書には生年月日を証明する書類として住民票を添付することになっていますが、それは要らなくなるということが書いてあります。

あたかも今回のマイナンバー制度のお陰で不要になったような文脈ですがそうではありません。

上で記載したとおり住基ネットの活用が以前から進んでいました。

具体的には自身の住民票コードを申告することで各種届出が省略されていたのです。

2018年3月21日追記

マイナンバーによる行政間の情報連携で住民票や課税・非課税の証明、雇用保険の被保険者情報が確認できるようになるので各添付書類が不要になるはずでした。この3月に起きた年金機構との受託業者による再委託事件で情報連携はさらに延期になるとのことです

結局、年金受給者の場合は、従来の住民票コードの記入がマイナンバーの記入になっただけとも言えます。

ただ、

注意書きにもありますが、マイナンバーを提供するにあたり、番号確認と本人確認の書類が必要。

その点は面倒。

これはマイナンバーの制度上要求されるものなので、我慢するしかありません。

年金受給者が氏名を変えることの注意点

氏名変更の届出が不要になるのは良いのですが、年金受給者特有の注意点があります。

  1. 年金証書が前の氏名のままだがどうする?
  2. 年金の振込が止まるかも!
  3. 遺族年金が終わるのでは?

氏名変更と年金証書

1については、公的な証明としても利用できるので新しい年金証書が必要。

これについては氏名が変わったことを年金機構が把握すると、受給者宛てにお知らせを送ることになります。

お知らせが届いたら、年金事務所で新しい年金証書と交換する手続きをとります。

氏名変更と年金振込

2については、金融機関の口座名義を自分で変更しないといけません。

年金機構が気を利かせて金融機関に連絡するなんてことはありませんから。

(しかし、今後金融機関の口座がマイナンバーと結びつくと、口座名義が自動で変わるなんてことがあるのかもしれませんが・・)

年金事務所からのお知らせが届き次第、速やかに口座名義を変更します。

 

氏名変更と遺族年金

遺族年金を受給している人が氏名を変更する。

それは再婚したってことでは?

再婚すれば遺族年金は氏名変更どころか、年金の権利が終了する事態。

ですので、遺族年金受給者については「遺族年金失権届」「氏名変更理由届」を同封してお知らせするとのこと。

事情に応じてどちらかを提出させるということです。

もしも氏名変更の理由が再婚ということであれば、「遺族年金失権届」を提出してもらう。

単に氏名を変更しただけなら、「氏名変更理由届」を提出してもらう。

この「氏名変更理由届」は新設された届出書類なんですが、氏名変更の理由を明らかにする書類として戸籍抄本を添付する必要があります。

そういえば、遺族年金の不正受給について以前記事にしたことを思い出しました。

なんだと?年金45年分タダで受け取った?遺族年金の払い過ぎ事件に迫る!|みんなのねんきん

どんなニュース?簡単に言うと 年金機構による遺族年金の払い過ぎが18億円という報道がされています。中には50年払い過ぎがあった事例もあるとか。今回は遺族年金の過払いの事件について、報道の中身とシモムー ...

不正受給を未然に防ぐ上でも、氏名変更時には目を光らせるというスタンスなんでしょう。

年金請求書以外の提出書類にマイナンバーは?

厚生労働省の通達を見てみると、年金請求書以外の色々な提出書類がマイナンバーに対応する形になります。

例えば、

家族手当の加算を開始して欲しいという書類とか、離婚分割をする書類とか。

リストを見る限り、ほとんど全てがマイナンバー対応になっていそうです。

また、

直接年金関係の書類とは言えませんが、扶養親族等申告書も既にマイナンバー対応になっています。

扶養親族等申告書は翌年の年金支給の際に所得税を適正に源泉徴収してもらうための申告書類。

以前こんな記事を書いたことがあります。

間もなく!年金の源泉徴収票 シモムー3大疑問に答える|みんなのねんきん

どんなニュース?簡単に言うと 日本年金機構のウェブサイトに源泉徴収票の発送に関するお知らせが出ていました。2017年は1月13日から発送とのこと。「そういえば、あんな質問がよくあったなぁ」と昔を思い出 ...

そういえば、2018年向けに提出してもらった扶養親族等申告書は例年に比べ記入方法や書式が大きく変わったので混乱が生じたようです。

原因はマイナンバー。

本人の番号のみならず、親族の分のマイナンバーも記入しなければならず、従来のハガキ形式ではスペースが足りず対応不可能だからです。

これからは年金関係の書類提出にマイナンバーは切っても切り離せないものになりそうです。

今回のニュースまとめ

今回のニュースは年金行政のマイナンバー本格利用の話でした。

  • 年金請求書には原則マイナンバーを記載する
  • マイナンバーの活用で氏名変更の届出も不要となった
  • 実は従来から年金受給者の届出書類は省略が進んでいた
  • 氏名変更に絡んで年金受給者特有の事情に注意

今回は年金受給者に関する2018年3月からのマイナンバー活用についてまとめました。

年金受給者は4000万人以上いますから、これらの人たちの届出が省略されるのは膨大な経費の節減につながります。

この記事を書きながら思い出しました。

私が年金相談のコールセンターで勤務していたときのこと。

住基ネットとの連携が本格的に始まる時でした。

年に1回出さないといけない現況届が省略されることで多くの問い合わせがあり、対応に追われたものです。

「今年から年に1回の更新のハガキは国のコンピューターでわかるようになったので要らなくなりました」

「社保庁もやるなぁ」

なんて言われたことを思い出します。

私自身もこういったことはどんどん導入すべきだよなと感動したことを覚えています。

マイナンバーで手続きが簡略化され、行政がもっと効率的になる。

こういうことはどんどん進めて欲しいと思います。

2018年3月23日追記

「社保庁もやるなぁ」と書いた直後に年金機構からの受託業者による再委託事件が起きました。まったくもってどういうことなんだよと怒りのやり場がありません。

出典・参考にした情報源

厚生労働省 年金分野でのマイナンバー制度の利用について



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シモムー

日本年金機構の年金相談コールセンターにて新人研修講師を担当しながら社労士試験予備校にて講師を経験。2014年より公的年金の情報を初心者目線で解説する「みんなのねんきん」サイトで情報提供開始。年金を事例で学ぶ「年金ケーススタディ」で全問題の作問と解説を担当。登録者数2000人超のYouTubeチャンネル「シモムーシェフの年金論点4分クッキング」では年金の論点を4分で解説中。具体例やイメージで理解できる情報提供を心がけている。2020年3月、障害年金手続き代行に特化した「みんなのねんきん社会保険労務士法人」設立。2021年6月から障害年金手続きのノウハウを提供する「障害年金カウンセラー養成講座」で講師としても活躍する。