年金ニュース

熊本地震で被災者専用コールセンター設置!年金機構の支援策とは?

投稿日:2016年4月27日 更新日:

熊本城

出典記事が発表された日:2016年4月26日 写真は熊本城

どんなニュース?簡単に言うと

大きな被害を出した熊本地震。日本年金機構は災害支援策を打ち出して被災者専用フリーダイヤルを設置しました。そこで今回は支援策の内容を個人に対するものと企業に対するものに分けて解説してみます。

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どんなニュース?もう少し詳しく!

みんなのねんきん主任講師のシモムーです。

私の好きな熊本城も地震の影響であちこち損害が生じています。

いろいろな方面から行政の支援策が打ち出されているなか、日本年金機構も災害支援策を打ち出しました。

合わせて被災者専用フリーダイヤルを設置し、被災者からの問い合わせに応じる体制を整えました。

この専用フリーダイヤルの立ち上げにはみんなのねんきん講師の大須賀信敬先生が携わっています。

そこで、今回は大須賀先生より支援策の内容をリポートしていただきます。

大須賀信敬(おおすかのぶひろ)上級認定講師

大須賀 信敬(おおすか のぶひろ) マネジメントコンサルタント 中小企業診断士 特定社会保険労務士 1級ファイナンシャルプランニング技能士(資産設計提案業務) NPO法人 日本ファイナンシャル・プラン ...

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個人と企業に対する支援策をご紹介します

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みんなのねんきん講師の大須賀(おおすか)です。

このたびは被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申し上げます。

私が立ち上げに関わった被災者専用フリーダイヤルで対応する日本年金機構の支援策について解説します。

なお、熊本県内の対面相談窓口である年金事務所はすべて業務を再開しています。

お出かけになれない方はフリーダイヤルをご活用ください。

被災者専用フリーダイヤル(0120-558-656)

月曜:午前8時30分から午後7時
火曜〜金曜:午前8時30分から午後5時30分
土日祝日:午前8時30分から午後5時30分

それでは個人に対する支援策と企業に対する支援策とをQ&A方式でご紹介していきましょう。

個人に対する支援策

Q 地震で毎月の国民年金保険料が払えない。免除してもらえないか。

A 今回の地震で家財に損害を受けた方はその損額額に応じて保険料を免除します。

【解説】

通常、国民年金の保険料は前年の所得が一定額以下の場合に申請によって免除されます。

ところが、

地震等の災害に遭われた場合は、法律の規定で保険料免除の可能性が生じます。

保険料を納付することが著しく困難である場合として天災その他の厚生労働省令で定める事由があるとき

今回の熊本地震は「天災」に該当することとなり被害の程度に応じて保険料が免除されることとなりました。

東日本大震災や阪神淡路大震災でも「天災」に該当したことがあります。

保険料の全額が免除される基準は住宅等の財産がおおむね2分の1以上の損害を受けた場合です。

申請にあたり、免除申請書の提出が必要です。

申請書には市区町村が発行する『罹災証明書』を添付するか、年金機構が用意している『被災状況届』に必要事項を記入して添付するか、いずれかの方法で被害状況を申告します。

ただし、現在、被災地は混乱しており、市区町村の『罹災証明書』の発行にはかなり時間が掛かるようです。

年金機構が用意している『被災状況届』は自分で記入して被害状況を自己申告する仕組みの用紙なので、こちらの用紙を使用して免除申請をしたほうが、免除申請手続きが早く済む可能性が高くなります。

Q 月末の保険料引き落としを止めてもらえないか。

A 口座振替の緊急停止措置を取りますが、このブログの公開時には3月分の引き落としは間に合いません。

【解説】

国民年金の保険料は翌月末日までに納める必要があります。

例えば3月分の保険料は4月末日ということになります。

口座振替の場合も同様ですが、末日が金融機関の休業日の場合は翌営業日に引き落としとなります。

2016年3月分については、2016年5月2日(月)が引き落とし日です。

既に口座振替の停止を希望する方からの申し出により、口座振替の緊急停止措置を取っています。

ただし、

このブログを公開した4月29日(祝)の時点では、ご連絡をくださっても3月分の口座振替停止は間に合いません。

ご了承ください。

Q 年金が一部止められている。地震でお金が必要なので全額受け取りたい。

A 申し出により、障害基礎年金の一部の年金で停止を解除する措置を取ります。

【解説】

年金が全部または一部が停止となっている場合、災害に遭ったとしても停止を解除することは原則ありません

例えば、老後の年金を受け取りながら厚生年金に加入して働くと年金が止まる仕組みがあります。

災害に遭われた場合でも厚生年金に加入し続けている限りは、この仕組みはそのままです。

ただし、

例外的に障害基礎年金の一部の年金で、申し出があれば停止を解除します。

障害基礎年金とは国民年金制度からの障害の年金です。

この障害基礎年金には保険料を全く納めずに受け取ることができる特殊なものがあります。

例えば、小学生の時に重度の障害を負った場合等20歳からの国民年金に加入する前の事故に対応したものです。

この特殊な障害基礎年金を受け取っている人は本人に所得がある場合に全額または一部が止められます。

通常の障害基礎年金にはこのような年金額停止の規定はありません。

特殊な障害基礎年金を受け取っている方で、かつ、所得によって年金が止められている場合に、年金停止を解除します。

これは、

震災、風水害、火災その他これらに類する災害により、・・その価格のおおむね2分の1以上である損害を受けた・・その損害を受けた月から翌年の7月まで・・支給の停止は、行わない。

という規定があるためです。

今回の災害により、平成28年4月分から平成29年7月分の年金について支給停止されないこととなります。

ただし、この規定には続きがあり注意が必要です。

それは、損害を受けた年の所得が基準を超えてしまうと、一度停止を解除された措置が無かったことになってしまう点です。

つまり、

平成28年の所得が多くなることで、平成28年4月分まで遡って年金が止められてしまうということです。

ご注意ください。

(下に続きます)

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企業に対する支援策

Q 3月分の厚生年金保険料の引き落としを止めてもらいたい

A 熊本県下の事業所の5月2日の口座振替は一律停止する措置を取っています。

【解説】

厚生年金の保険料についても国民年金の保険料と同様、翌月末日が納期限です。

また、口座振替の考え方も国民年金と同様です。

今回3月分の振替日は2016年5月2日ですが、熊本県下の事業所は一律、口座振替は行わない措置が取られています。

事業所からの依頼がなくても、今回の口座振替は行いません。

Q 地震で厚生年金の保険料が払えない。免除してもらえないか。

A 免除はできませんが、納期限の延長や納付を猶予します。

【解説】

国民年金と異なり、厚生年金には災害による保険料免除の規定がありません

そのため、納めずに済ますことはできないのですが、代わりに納期限の延長・猶予を行います。

前述のとおり、3月分以降、当面の間は口座振替が停止されたままになります。

各事業所にはかわりに納入告知書(納付書)が郵送されますので、保険料を支払える事業所は納入告知書(納付書)で納めてください。

「納期限の延長」とはたとえば、東日本大震災の際、青森県の事業所は平成23年2月分から同5月分までの保険料の納期限が「平成23年7月29日」まで延長されたなどのケースがあります。

納期限がいつまで延長されるかは今後の被災地の復興状況などを鑑みて決定し、お知らせします。

また、事業所が災害により財産に相当な損害を受け、保険料を納付することが出来ないと認められるときは、申請により「納付の猶予」を受ける仕組みもあります。

前述の「納期限の延長」は熊本県下のすべての事業所が一律に対象とされますが、「納付の猶予」は希望する事業所の申請が必要です。

申請に基づき個別に猶予の可否が判断(審査)されることになります。

「納付の猶予」については、現在、年金事務所で相談を承っています。

今回のニュースまとめ

シモムー

今回のニュースは

  • 熊本地震の災害支援策として日本年金機構が専用コールセンターを設置
  • 保険料を納める世代や企業に対しては免除や猶予の措置を実施
  • 年金を受け取る世代に対しては特殊な障害基礎年金の支給停止を解除

という内容で、大須賀先生に解説していただきました。

大須賀先生ありがとうございました。

今回の熊本地震。

学生時代に無人駅で寝泊まりしながら九州を巡ったことを思い出します。

まさか、熊本があのような災害に見舞われるとは・・。

日本はいつ地震が来てもおかしくない国なんだと改めて実感しました。

早期の復興を祈らずにはいられません。

ところで、

今回の大須賀先生のリポートの中で特殊な障害基礎年金の話がありました。

「なぜ、停止となった障害基礎年金を解除するんだろう。」

「そんな規定があるんだろうか?」

と、条文を引いてみると、法律の条文そのものにそのルールが載っていました(国民年金法36条の4)。

恥ずかしながら初めて知った次第。

年金はやはり奥が深いです。

出典・参考にした情報源

日本年金機構HP 熊本県熊本地方を震源とする地震により被害を受けられた皆様へ

誤植情報 2016年4月29日 14:58

誤植があり補正をしました。訂正してお詫びいたします。既に本文中の記載は訂正しております。

誤り:

「今回の災害により、平成28年3月分から平成29年7月分の年金について支給停止されないこととなります。」

「平成28年の所得が多くなることで、平成28年3月分まで遡って年金が止められてしまうということです。」

「3月」ではなく、正しくは「4月」です。

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大須賀先生

大須賀信敬上級認定講師

人的資源管理コンサルティングを行うコンサルティングハウスプライオ代表を務め「ヒトにかかわる法律上・法律外の経営課題解決」をテーマとした活動に取り組む。年金分野では長年にわたり公的年金・企業年金のコールセンターなど年金実務担当者の教育指導にあたる。また、数多くの年金相談・執筆経験を持つ特定社会保険労務士(千葉県社会保険労務士会所属)

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