専業主婦は急げ!年金ニュース第2号の中身とは?|みんなのねんきん

シモムー

みんなのねんきん主任講師

どんなニュース?簡単に言うと

政府広報のパンフレットで「年金ニュース」の第2号を入手しました。前回の創刊号から2カ月後に登場したものです。そんなに急いで発行されたニュースに一体何が書いてあるのか?今回は年金ニュース第2号の中身について、シモムーの視点で解説します。

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どんなニュース?もう少し詳しく!

政府広報のパンフレット「年金ニュース」。

以前、創刊号についてその中身をご紹介したことがあります。

聞いてないよ〜!年金ニュース創刊号の中身とは?|みんなのねんきん

どんなニュース?簡単に言うと 政府広報のパンフレットで「年金ニュース」の創刊号を入手しました。実は今年(2017年)の2月には既に第2号も出ていたのですが、こんなニュースが出ていたとはつゆ知らず。今回 ...

創刊号は病院内にありました。

今回の第2号は薬局で入手しました。

郵便局でも見かけたのでどうやらシニアが多く立ち寄るであろう場所に置いてあるみたいです。

ということは年金受給者向けの内容なのか?

前回創刊号は現役世代にも大いに関係がある内容だったのですが、この第2号はどうでしょう。

今回もこの政府広報のパンフレットを引用しながらじっくりその中身を解説してみます。

図解以外の画像は政府広報のパンフレットからの引用になります。

メインはやっぱりこの夏の大改正について

【みんなのねんきん】年金ニュース第2号とは

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最初に登場するのはこの夏に施行される年金受取りの期間が短縮される話。

これまで保険料を納めた期間・免除を受けた期間の合計が25年以上必要だったものが10年になりました。

法律の施行は2017年8月1日ですから今は準備段階。

そのため、手続きのための請求書が生年月日別に順次送られています。

年配の人から請求書が送られている

【みんなのねんきん】年金ニュース第2号とは

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年金記録上10年以上25年未満の方を対象に、年配の方から順に送っています。

対象者が64万人以上もいるので一気には送れないからです。

その時期が2月下旬からだったので、この年金ニュースもその時期に合わせて発行されたということですね。

ちなみに今の年金制度は昭和61年4月に大きく改められ、その当時に60歳以上の方は現行制度の対象外です。

現行制度の対象者である当時60歳未満の方、つまり大正15年4月2日以後の生まれの方を筆頭に請求書が送られています。

となると、大正15年4月1日以前の生まれの方はどうなる?

もちろん旧年金制度で受け取る人も今回の受給資格短縮は対象になります。

ですが、最後の6月下旬から7月上旬に発送されるグループに入っています。

この時期には公務員等の共済加入期間がある人たちにも発送されることになっています。

各機関に情報照会を行う必要があるためとのこと。

旧年金制度対象者も特殊な位置づけなんでしょう。

10年で受け取れるからといっても金額は期待できない

【みんなのねんきん】年金ニュース2号とは

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年金を受け取るための期間が10年に短縮されるからといっても保険料を10年納めただけでは金額は雀の涙。

パンフレットの赤字での注意書きにもあるとおり、満額を受け取るためには40年納めることが必要です。

10年そこそこでは大した金額にはなりません。

ですので、今回年金請求書が順次発送されている方も期待はできません。

ただし、厚生年金に加入したことがある人は国民年金だけの人より有利。

国民年金に上乗せされて年金がもらえるので当然です。

でもやっぱりもともとのハードルを超えられなかった状態ですからそんなに期待しない方がいいでしょうね。

予約して手続きを終わらせる

パンフレットには

「ねんきんダイヤル」で予約の上、手続きを!

とあります。

現在、年金事務所は結構この手続きで混んでいるらしいです。

しかし、慌てる必要はありません。

どんなに急いで手続きをしても初回の受取りは2017年の10月。

早く手続きしたからといって10月より早くなることはありません。

また、仮に手続きが遅くなっても大丈夫。

8月1日に権利が生じたことは変わらないわけですから、遡ってまとめて受け取れます。

振込が11月以降にずれるだけです。

世間を騒がした専業主婦の記録問題が紙面の片隅に!

【みんなのねんきん】年金ニュース第2号

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この部分は年金を増やすためにはどうするかということが書かれています。

  1. 60歳以上で任意加入すると増やせる
  2. 過去5年の未納を今から納めると増やせる
  3. 専業主婦で特殊事情の人は今から納めると減らずに済む

1は60歳までの強制期間を過ぎても納められるという仕組み。

2は保険料は2年経つと納められなくなるのですが、過去5年の未納期間に対して納められる仕組み。

ただし、2018年(平成30年)9月までの限定措置です。

3は特殊な話なので図解で解説してみましょう。

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扶養から外れたはずなのに扶養状態だった人の救済の仕組み

【みんなのねんきん】年金ニュース2号とは

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これは一体何の話なのかというと、専業主婦の年金記録問題です。

例えば、

サラリーマンの夫がいて、夫に扶養される妻がいた場合、妻は国民年金の第3号被保険者という立場です。

第3号被保険者は自分では保険料の負担をしません。

ここで、夫が会社を辞めると妻は国民年金の第1号被保険者に切り替わります。

下図のように夫が厚生年金に入っていないと、妻は第3号被保険者にはなれないからです。

【みんなのねんきん】年金ニュース2号とは

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第1号被保険者への切り替えは妻自身が行うわけですが、手続きしないとどうなるか。

下図のように第1号への切り替えがされずに記録上整合が取れない事例が多数生じていました。

【みんなのねんきん】年金ニュース2号とは

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この状態のまま、既に年金を受け取っている人もいて、大きな問題となりました。

本来なら夫が会社を辞めたあとは、自身で保険料を負担する立場のはず。

それなのに、第3号被保険者として記録が続いてしまっていたからです。

であれば、

過去に遡って記録を訂正すればいいだけじゃないかと思うかもしれません。

ところが、ここで再び問題が生じます。

過去に遡って第1号被保険者に切り替えても、保険料徴収の時効の関係で2年より前は未納になってしまいます。

このままでは将来の年金がもらえなかったり、未納期間分が減額することになります。

そこで、

このような状態に該当する人は届出をしてもらい、2年より前の期間(最大10年)について特別に保険料を納められるようにしました。

この届出措置は平成25年7月から実施されています。

届出を終えると、未納の期間に係る保険料を納められます。

ただし、保険料を納められるのは平成27年4月から平成30年3月までの3年間の臨時措置となっています。

既に残り1年という状態なので、年金ニュースにもその記載をしたのでしょう。

該当する人にはとっくに通知が送られていますので、該当者は急がないといけません。

今回のニュースまとめ

今回のニュースは

政府広報のパンフレットを引用して、年金改正に関してどんな広報をしているのか解説してみました。

要点をまとめてみると、

  • 2017年8月の年金受給資格10年に向けて順次、年金請求書が送付されている
  • 専業主婦の記録問題の救済期限は残り1年切っている

といったものでした。

後者の専業主婦の記録問題はだいぶ前の話で、このパンフレットを見るまで私もすっかり忘れていました。

2年より前の期間を納められるのは平成30年3月まで。

既に現時点で1年切っています。

思えばこの問題は当初、

「もう仕方がないから、とりあえず不整合な記録でもそのまま」

というのが厚労省の方針でした。

運用3号問題と言われています。

これがそのままだったら不公平過ぎますよね。

当時正しく手続きした人が馬鹿を見る。

しかも、

法律によるきちんとした救済策ではなく、現行制度の運用の中で無理に解決しようとしたので相当な批判が巻き起こりました。

ただでさえ、

同じ専業主婦でも夫がサラリーマンなら保険料を納めず、夫が自営業なら保険料を納めるという仕組みに不公平感があるわけで。

そもそも第3号被保険者の制度自体が根本的な問題をはらんでいるわけです。

ところで、

運用3号について調べていたら、当時の厚労省の資料があったので参考資料として載せておきます。

行政がこの問題を当初どう解決しようとしたのか、その苦悩が読み取れます(いろんな言い訳が書いてある)。

出典・参考にした情報源

Dropbox - 20110131 厚労省資料 運用3号.pdf - Simplify your life
「運用3号に関する経緯等について」

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シモムー

日本年金機構の年金相談コールセンターにて新人研修講師を担当しながら社労士試験予備校にて講師を経験。2014年より公的年金の情報を初心者目線で解説する「みんなのねんきん」サイトで情報提供開始。年金を事例で学ぶ「年金ケーススタディ」で全問題の作問と解説を担当。登録者数2000人超のYouTubeチャンネル「シモムーシェフの年金論点4分クッキング」では年金の論点を4分で解説中。具体例やイメージで理解できる情報提供を心がけている。2020年3月、障害年金手続き代行に特化した「みんなのねんきん社会保険労務士法人」設立。2021年6月から障害年金手続きのノウハウを提供する「障害年金カウンセラー養成講座」で講師としても活躍する。