どんなニュース?簡単に言うと
障害年金の審査結果が都道府県でバラつきがある。2015年の報道を受けて2016年、厚労省は審査の指針を新しくする予定です。この新しい指針で審査すると今受け取っている障害年金が止まるかもしれない。一体何が起きているのか解説してみます。
スポンサーリンク
どんなニュース?もう少し詳しく!
受け取っている障害年金が2016年以降、急に止まってしまうかもしれない。
日本経済新聞で報道がされています。
遡ること1年前。
2015年の1月頃になります。
障害年金の審査基準が地域によって異なるとの報道がありました。
審査の結果、受け取り不可という人の割合が都道府県によって最大6倍の違いがあるとのこと。
具体的には以前にこんな記事をご紹介したことがありました。
参考 障害年金もらえるか?それは住んでる場所次第です
今回はこの報道に関連して障害年金の仕組みを解説します。
2種類ある障害年金
障害年金と一口に言っても2種類あります。
国民年金制度からの障害基礎年金。
厚生年金制度からの障害厚生年金。
障害を負ってしまったらどっちがもらえるのか。
片方だけの人もいますし、両方もらえる人もいます。
鍵を握るのは障害の原因となる症状で初めて医者にかかった日にどの制度に入っていたか。
その日に自営業者だったら障害基礎年金の可能性あり。
なぜなら国民年金に入っているから。
その日にサラリーマンだったら障害基礎年金と障害厚生年金の両方可能性あり。
なぜなら厚生年金と国民年金の両方に入っているから。
このように同じ症状でもどの制度に入っていたかがもらえる年金の分かれ道となります。
障害基礎年金の審査に問題があった
このバラつきが生じるという話は障害基礎年金だけの話。
なぜでしょう。
障害厚生年金は年金機構の本部でまとめて審査している。
逆に障害基礎年金は各都道府県で審査しているから。
しかも、統一された判断基準がなかったのでバラつきが生じたとのこと。
事態を重く見た厚生労働省が新しい指針を作ることになった。
こんないきさつがあったんです。
新しい指針とは?
この指針は日常生活能力を数値化して、症状別の等級と対応表を目安としているのが特徴。
障害年金は「○○という病気だから1級」という単純なものではありません。
当の本人がその症状によってどの程度日常生活に制約を受けるかが問題となります。
その程度に応じて等級が決まっています。
障害基礎年金は1級と2級の場合に受け取れます。
障害厚生年金は3級の場合まで年金として受け取れます。
重い方から1級・2級・3級。
重いほど保障が厚くなります。
新しい審査指針では年金が止まるかも
ここまできてようやく今回の記事の話。
この新しい指針で今、障害基礎年金を受け取っている人の症状を当てはめてみた。
精神・知的・発達障害者のうち「1割にあたる約7万9千人が支給停止や支給減額になる恐れがある」とのこと。
全国の精神科医でつくる団体が推計を発表しました。
年金が止まるとはつまり、1,2級状態でなくなってしまうということ。
年金が減るとはつまり、1級の人が2級と判断されること。
団体は「障害者は大きく動揺し、症状の悪化や意欲の低下につながる」と懸念。
厚労省に柔軟な対応を求めているとのことです。
難しい問題 厚労省の対応に注目
普通、年金制度を新しくする場合は既得権に配慮します。
既に前の仕組みで権利を得た人はそのままの形で受け取れる。
新しい仕組みにする場合は、周知の期間を十分にとってから、これから権利が生じる人を対象にします。
だから、年金制度は一気に新しくすることができない。
既得権を無視できないからです。
今回の障害年金の新指針。
私はこれから受け取る人だけを対象にすればいいじゃないと思ったんですが・・・。
ことは単純ではありません。
障害年金には特殊な事情があります。
それは、一度権利が生じたあとにも数年に一度更新のための審査があるからです。
1年、3年、5年と症状によりその時期は異なります。
中には受け取り中は更新審査がないという症状もあります。
が、精神障害となると症状が変化するわけですからそうもいきません。
今後の更新審査では新しい指針での審査にならざるを得ない。
難しい問題です。
厚労省がどう対応するか、注目です。
今回のニュースまとめ
今回はこんなニュース。
- 2種類の障害年金のうち障害基礎年金の審査に問題あり
- 厚労省が新しい審査指針を予定している
- 新指針によって今受け取っている障害年金が止まるかも
年金の仕組みを改めるっていうのは本当に大変。
改めて記事を執筆しながら思いました。
年金だけが頼りという障害をお持ちの方も多いはず。
ここで、
厚労省が新しい指針を出すに至った趣旨を考えてみる。
もともと公正な仕組みでなかったものを公正な仕組みに改めるということ。
であれば、
新しい指針によって審査が公正になることを考えればやむを得ないのかもしれません。
指針の内容を見たところ、状態を数値に置き換えて平均値を出し、等級に当てはめるというのは客観的にわかりやすいと思いました。
悪いのは問題を放置してきた厚労省でしょう。
マスコミに指摘されるまでもなく、事態を把握していたはずなんですから。
厚労省の新しいガイドラインが確定したらまた皆さんに内容をご紹介いたします。
(確定したので記事を執筆しました。それがこちらです)
-
発表!新基準!精神・知的障害の認定はこう変わる!|みんなのねんきん
どんなニュース?簡単に言うと 障害年金の決定に地域差があるとの報道を受け、厚生労働省は1年以上かけて格差是正のためのガイドライン策定を進めてきました。2016年9月。ようやくこのガイドラインが動き出し ...
出典・参考にした情報源
精神障害者ら7.9万人、受給減額・停止も 年金新指針で :日本経済新聞
追記
2018年2月6日 新しいガイドラインの記事へのリンクを掲載しました
シモムー
みんなのねんきん主任講師