いよいよです! 年金分野でマイナンバー本格活用へ その添付書類要りません!|みんなのねんきん

大須賀信敬

みんなのねんきん上級認定講師

どんなニュース?簡単に言うと

2019年(令和元年)7月1日から日本年金機構ではマイナンバーの利用を本格化させ、年金の受け取り手続きの際、一部の添付書類について提出が不要になりました。今回はその内容をご紹介します。

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どんなニュース?もう少し詳しく!

マイナンバーによる情報連携がスタート

日本年金機構に対して行う公的年金に関する手続きでは、一つの手続きに多くの添付書類を用意しなければならないことがあります。

年金の手続きを行う上では、以前からこの点が大きなネックになっていました。

ところが、本年7月1日からは年金に関する手続きの際、今まで必要とされていた添付書類が不要になるケースが登場しました。

これは「マイナンバーによる情報連携」が開始されたことによるものです。

「マイナンバーによる情報連携」とは、日本年金機構と他の行政機関とが専用のコンピューターネットワークとマイナンバーを用いて、情報を“直接”確認する仕組みです。

7月からは一部の行政機関が保有する個人情報について、日本年金機構が専用のコンピューターネットワーク上で“直接”確認できるようになったため、申請者がわざわざ自分で添付書類を用意しなくても済むようになったわけです。

日本年金機構のウェブサイトに掲載されている、年金の受け取り手続きに必要な添付書類の説明を見ても、「マイナンバーをご記入いただくことで、添付を省略できます」という文章が数多く使われるようになりました。

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『住民票』『所得証明書』などが不要に

それでは、どのような添付書類が不要になったのかを見てみましょう。

老齢年金の受け取り手続きを例に、考えてみようと思います。

実は、今回の「マイナンバーによる情報連携」が始まる前から、単身者などが老齢年金の受け取り手続きを行う場合には、『戸籍抄本』や『住民票の写し』などの添付が不要になるケースがありました。

本来、『戸籍抄本』や『住民票の写し』は本人の生年月日を明らかにできる書類として提出が求められるものなのですが、手続き用紙にマイナンバーを記入することを条件に省略を認めていたものです。

加えてこの7月からは、年金の手続き用紙にマイナンバーを記入すると、次の書類の添付も省略できるようになりました。

【添付が省略できる書類①】世帯全員の住民票の写し

老齢年金は「配偶者や子供を扶養している場合」や「本人が配偶者に扶養されている場合」には、本来の年金額に“上乗せ”が行われることがあります。

この“上乗せ”を加給年金額や振替加算などといいます。

ただし、“上乗せ”のある老齢年金を受け取るためには、原則として年金を受け取る本人と対象になる家族が同居をしていることが必要になります。

この点を確認するため、今までは年金の手続き用紙に『世帯全員の住民票の写し』を添付することが求められていました。

前述のとおり、本人の生年月日を明らかにできる書類としての『住民票の写し』は、以前から省略が認められていたのですが、同居状態を確認するための『世帯全員の住民票の写し』については、省略が認められていませんでした。

しかしながら、7月からは日本年金機構が「マイナンバーによる情報連携」により、市町村が持っている住民票の情報を直接確認できるようになったため、『世帯全員の住民票の写し』の添付が不要になったものです。

【添付が省略できる書類②】収入が確認できる書類

また、老齢年金に“上乗せ”が行われるためには、扶養されている人の収入が一定額未満であることも必要とされています。

そこで、“上乗せ”のある老齢年金の手続きをする場合には、今までは年金の手続き用紙に「扶養されている人の収入が確認できる書類」として、『所得証明書』『課税(非課税)証明書』『源泉徴収票』などを添付することも求められていました。

しかしながら、7月からは日本年金機構が「マイナンバーによる情報連携」により、市町村が持っている収入に関する情報を直接確認できるようになったため、『所得証明書』などの添付も不要になったものです。

ココがポイント!「マイナンバーによる情報連携」の効果

老齢年金の受け取り手続き時に、『住民票』『所得証明書』などの添付が不要になった。

このように本年7月1日からは、“上乗せ”のある老齢年金の手続きをする場合に、市役所に赴いて『世帯全員の住民票の写し』や『所得証明書』を入手する手間などが省けることになったものです。

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省略できない書類もある

ただし、本年7月1日以降も省略が認められていない添付書類もあります。

たとえば、老齢年金の受け取り手続きでは、年金の手続き用紙にマイナンバーを記入しても、次の書類は省略できずに添付しなければなりません。

【省略できない書類①】預金通帳

老齢年金の受け取り手続きの際は、手続き用紙に年金の受け取りを希望する預金口座を記入することになります。

さらに、記入した預金口座が正しいことを証明しなければなりません。

そのため、手続き用紙の「金融機関またはゆうちょ銀行の証明」欄に金融機関で証明を受けていない場合には、手続き時に預金通帳またはキャッシュカードの実物を持参するか、コピーを添付する必要があります。

コピーを添付する場合は、預金通帳またはキャッシュカードの「金融機関名」「支店名」「口座番号」「口座名義人のカナ氏名」の全てが記載された部分をコピーして付けることが求められます。

【省略できない書類②】雇用保険被保険者証

7年以内に雇用保険に加入しながら仕事をしたことがある場合には、手続き用紙の「雇用保険被保険者番号」欄に自分の雇用保険の番号を記入しなければなりません。

さらに、記入した雇用保険の番号が正しいことを確認できる書類を用意する必要があります。

そのため、ハローワークから発行を受けた『雇用保険被保険者証の原本またはコピーを添付しなければなりません。

もしも、『雇用保険被保険者証』を無くしてしまった場合には、ハローワークで再発行を受けるなどが必要になります。

【省略できない書類③】戸籍謄本または戸籍の記載事項証明書

「配偶者や子供を扶養している場合」や「本人が配偶者に扶養されている場合」に、老齢年金に“上乗せ”が行われるためには、対象となる家族について続柄・氏名・生年月日が確認できる書類を用意する必要があります。

そのため、『戸籍謄本』または『戸籍の記載事項証明書』を添付しなければなりません。

“上乗せ”のある老齢年金を受け取りたい場合に、『世帯全員の住民票の写し』や『所得証明書』は省略が可能になりましたが、『戸籍謄本』または『戸籍の記載事項証明書』については省略が認められていないので注意が必要です。

さらには、「すでに他の年金をもらっている」「子供が障害を持っているため、年金の“上乗せ”を通常よりも長い期間払ってほしい」など、個別の事情に応じて必要になる添付書類が他にもあるのですが、これらも省略は認められていません。

日本年金機構が年金業務でマイナンバーの活用度を上げたことにより、老齢年金の手続き上は省略できる書類と省略できない書類が混在する結果となりましたので、間違えないようにしたいものです。

ココがポイント!老齢年金の手続きで省略が認められていない書類

『預金通帳』『雇用保険被保険者証』『戸籍謄本』『その他の個別の事情に応じて必要になる書類』などは省略不可。

今回のニュースまとめ

今回は、7月から始まった「マイナンバーによる情報連携」により、老齢年金の受け取り手続きの際、添付書類がどのように変わったのかを見てきました。

ポイントは次のとおりです。

  • 2019年(令和元年)7月1日から、日本年金機構では「マイナンバーによる情報連携」により、一部の行政機関が保有する個人情報をコンピューターネットワーク上で“直接”確認できるようになった。
  • 老齢年金の受給手続きの際、原則として『住民票』『所得証明書』などの書類が添付不要になった。
  • ただし、『雇用保険被保険者証』『戸籍謄本』など、添付が必要な書類も残っている

一般の方にとっては、年金の受け取り手続きは決して簡単な作業ではありません。

そのため、「マイナンバーによる情報連携」で揃える書類の数が減り、多少なりとも手続きの手間が省けるのは嬉しいことだと思います。

しかしながら、「マイナンバーによる情報連携」は万能ではありません。

たとえば、老齢年金の手続きに関して言えば、単身者であるために年金に“上乗せ”が発生しないなどのケースでは、今回の添付書類省略の恩恵を受けることはありません。

また、“上乗せ”のある年金の手続きをする場合であっても、前述のとおり省略が認められない書類も存在しています。

さらには、今回、省略の対象となった『住民票』や『所得証明書』についても、年金の受け取り手続きが遅れたなどの理由で古い『住民票』や『所得証明書』の確認が必要な場合には、添付の省略が認められないケースもあるようです。

くれぐれも、「マイナンバーによる情報連携で、年金の添付書類は“すべて”不要になった!」などと早合点しないよう、注意をしてください。

出典・参考にした情報源

日本年金機構ウェブサイト:

老齢年金を請求する方の手続き 支給開始年齢になったとき
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/rourei/seikyu/20141128.html



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みんなのねんきん上級認定講師 大須賀信敬

特定社会保険労務士(千葉県社会保険労務士会所属)。長年にわたり、公的年金・企業年金のコールセンターなどで、年金実務担当者の教育指導に当たっている。日本年金機構の2大コールセンター(ねんきんダイヤル、ねんきん加入者ダイヤル)の両方で教育指導実績を持つ唯一の社会保険労務士でもある。また、年金実務担当者に対する年金アドバイザー検定の受験指導では、満点合格者を含む多数の合格者を輩出している。