亡き祖母から教わる年金制度(第2回/全3回) 故人が受け取れなかった半端な年金。税金かかります|みんなのねんきん

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シモムー

みんなのねんきん主任講師

どんなニュース?簡単に言うと

2015年4月に祖母が他界しました。3回のシリーズで孫のシモムーが遺族年金を検証しました。更に今回は亡き祖母から教わる亡くなった時の年金についてその制度的な解説をしていきます。全3回のシリーズものの第2回です。

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どんなニュース?もう少し詳しく!

シモムー祖母が2015年4月8日に亡くなりました。

孫のシモムーが検証したこれまでのいきさつは第1話から最終話をご覧ください。

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今回から3回にわたり、亡き祖母から教わる年金制度と題してシリーズ物を始めます。

  1. 遺族年金と老後の年金 そもそもの関係は?
  2. 故人が受け取れなかった半端な年金。税金かかります ←今回はココ
  3. 時効が5年っていつから5年?

亡くなった時の年金を中心に老後の年金との関係やら制度的なことを説明していきます。

故人が受け取れなかった半端な年金は未支給の年金

まず、故人が受け取れなかった半端な年金の名前をご紹介しましょう。

これは未支給の年金といいます。

文字通り、未だ支給がされていない年金。

正確には国民年金制度では「未支給年金」

厚生年金制度では「未支給の保険給付」

と言います。

なので、振込の通知を再度見てみると、なるほどそういうタイトルになっています。

(タップで拡大)

このハガキ1枚で両方の制度に対応させるためです。

こういうもの1つ取っても年金ってわかりづらい。

役所からの通知類は法律で定められているとおりに「正確に表現する」ことしかありません。

ですので、わかりやすく伝えるという部分に配慮がかけるきらいがありますね。

年金の種類は年金コードで見分ける

この未支給の年金。

シモムー祖母が亡くなり、シモムー母は2種類の未支給の年金を受取ることになりました。

1つ目は祖母が受け取っていた遺族厚生年金の2・3・4月分。

2つ目は祖母が手を付けていなかった老齢基礎年金5年分。

種類が違うので別々のハガキでやってきたわけです。

この種類っていうのはコード番号があって、その数字を見るだけで識別できるようになっています。

先ほどのハガキを再度見てください。

(タップで拡大)

上の塗りつぶした部分の右隣りに「1150」ってありますね。

これは老後の年金の識別コード番号。

国民年金制度の老齢基礎年金も厚生年金制度の老齢厚生年金も一緒くたにして1150です。

コードにはルールがあって、遺族年金の場合はこれとは違う番号です。

最初の「1」で始まると現行制度による年金を意味します。

これが「0」で始まると旧制度による年金です。

って、年金コードの話をするとどんどん脱線してしまうので別の機会にしましょう。

未支給の年金には2種類ある

話を戻して2種類の未支給の年金。

1つ目の種類はオーソドックスなもの。

それは年金を受け取っていた人が亡くなった場合に生じるもの

年金は後払いで、かつ、亡くなった月分まで権利が生じる。

ですので必ず半端が生じます。

そんなわけで、年金の死亡届は未支給の年金の請求書と一体化しています。

なるほどね。

2つ目の種類は必ず生じるものではありません。

年金の手続きをしていなかった今回の祖母のケース。

本来受け取る人はもういない。

だから、遺族が受け取るわけです。

また、

年金の記録が亡くなった後に見つかり統合された結果として差額がもらえるケース。

これも同じ。

数年前に大騒ぎになった年金の記録問題。

故人の記録が見つかった場合は2つ目の未支給の年金で対応するわけです。

 

未支給の年金を受け取るには2つの条件がある

次にこの未支給の年金をもらうための条件を説明しましょう。

2つあります。

  1. 3親等内の遺族である
  2. 故人と生計を同じくしていた遺族である

2の生計を同じくしていたというのは、要は「一緒に暮らしていた」ということ。

ところが。

母は祖母とは別居していましたから、字面通りに考えると生計を同じくしていない。

このような場合はその遺族が「定期的な訪問をしていた」とか「仕送りをしていた」とかの事情があれば「同じくしていた」と認められます。

ただし、その事情を第三者に証明してもらう必要があります。

祖母は介護の施設にいましたのでその施設の人に依頼すれば証明がもらえたはず。

このように、

同居していれば問題なし。

別居の場合は「生計を同じくしていた」という条件で手間がかかります。

相続を放棄したら受け取りできない?

話がそれますが、よくある相談として「相続放棄をしたけどこれは受け取って大丈夫か?」

というものがあります。

未支給の年金はすなわち、故人の受け取れなかった財産を代わりに受け取るもの。

とすれば相続放棄したら無理なのか?

大丈夫。

未支給の年金は請求する遺族の名義で初めて生じるものですから、遺産ではありません。

相続を放棄しようが関係ありません。

気持よく受け取ってください。

未支給の年金には税金がかかる

最後に税金の話。

この未支給の年金は一時所得として税金がかかります。

一時所得は50万円の特別控除額があるのでそれを超えると課税される。

※参考 国税庁ホームページ No.1490 一時所得

母は合計で200数十万円の未支給の年金を受け取っていますから申告しないとマズイ。

母が「え?そうなの?」とイヤな顔をしたのは言うまでもありません。

ちなみに遺族年金や障害年金は非課税です。

非課税ですので申告の必要がありません。

私は駆け出しの頃、こう思っていました。

「この未支給の年金も亡くなった場合に受け取るので非課税なんだろう」

そうではありません。

ご丁寧にハガキの裏面にも「一時所得です」と書いてあるじゃあないですか。

課税されます。間違いありません。

ところで、

課税されない未支給の年金っていうのもある。

故人の年金の記録が見つかって差額が支払われる場合は非課税になるんだそうで。

この場合、悪いのは行政機関の方ですから税は取らないってことなんでしょう。

ややこしいです。

今回のニュースまとめ

今回はこんな話でした。

  • 未支給の年金は2種類。必ず生じるものと生前全く受け取っていなかったもの。
  • 同居していれば手続きはスムーズ。別居だと手間がかかる。
  • 一時所得として税金がかかるので申告が必要

年金の法律には

「租税その他の公課は、・・・(略)・・・課することができない」

ってなっています。

にもかかわらず、その例外によって課税されるものがほとんど。

私は年金相談の仕事をして、ようやく税金との関わりを理解することができました。

他の例えば、雇用保険からもらえるお金なんかは非課税が徹底されているのでむしろわかりやすい。

非課税ならばもっと年金はわかりやすくなるって思うんですが・・。

さて、次回はシモムー母が受け取った祖母の老齢基礎年金5年分。いつからの5年分なのか。時効の考え方を解説していきましょう。

出典・参考にした情報源

ありません



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シモムー

日本年金機構の年金相談コールセンターにて新人研修講師を担当しながら社労士試験予備校にて講師を経験。2014年より公的年金の情報を初心者目線で解説する「みんなのねんきん」サイトで情報提供開始。登録者数2000人超のYouTubeチャンネル「シモムーシェフの年金論点4分クッキング」では年金の論点を4分で解説中。具体例やイメージで理解できる情報提供を心がけている。2020年3月、障害年金手続き代行に特化した「みんなのねんきん社会保険労務士法人」設立。2021年6月から障害年金手続きのノウハウを提供する「障害年金カウンセラー養成講座」で講師としても活躍する。

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