どんな事例?簡単に言うと・・
決定された年金額と振込額の年間合計との間に差が生じることがあります。どんな理由で差が生じるのか。その解決策が2016年2月の振込の際に実施されました。解説してみましょう。
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こんな事例を考えてみましょう
Mさんは(株)Oで長年働き、現在は200万円の老齢厚生年金を受け取っています。
2カ月に1回振込みされるMさんの年金額は333,333円。
2015年のある日、古い預金通帳を整理していたところ、ふと疑問に思いました。
「333,333円・・。振込額を合計して200万円になるかな?」
しかし、古い通帳に印字された金額(2014年2月から12月まで)を合計してみても2円足りません。
俺の2円はどこ行ったニャー!
Mさんが年金機構に牙をむきました。
今回の事例の何が問題なんでしょうか
年金は決定した年金額を2カ月に1回ずつ受け取っていきます。
つまり、年金額を6で割った金額が1回の受取額。
端数処理の関係で、6倍しても元の金額よりも数円足りないことが起きてくる。
実際に決定された年金額に例え数円でも足りないのはおかしいのではないか、という問題が生じます。
解説してみましょう
年金は2カ月に1回、2カ月分を受け取る仕組み
公的年金は決定した年金額を年に1回まとめて受け取るわけではありません。
2カ月に1回、前月までの2カ月分を受け取る仕組みになっています。
例えば、4月に受け取るのは2月、3月分。
6月は4月、5月分。
という具合。
2カ月分ですので決定した年金額を6で割ると1回の受け取り額となります。
実際は一定額以上の年金額で課税されますし、65歳以上になると介護保険料を始めとした社会保険料が天引きされます。
話を単純にするためにそれがなかったとしましょう。
端数は切り捨てるというルール
Mさんの年金額200万円を6で割る。
確かに、333,333.3333…円となってしまいます。
このような場合は、1円未満の端数を切り捨てるというルールになっています。
すると、333,333円が1回の受取額となり、それを6倍しても200万円に2円足りません。
1,999,998円ですので。
別途2円を追加で払うのがスジじゃないか。
残念ながらそれはありません。
法律で決まっているのでどうしようもない仕組みなんですと説明するしかなかったんです。
公務員の年金制度と民間の年金制度が統合されて問題が解決
2015年10月。
公務員の年金制度である共済年金と民間の年金制度である厚生年金が統合されました。
それに伴い、基本的に制度の中身を厚生年金制度に揃えることにしました。
一方、例外的に共済年金の仕組みに揃えるというものもいくつかあります。
実はこの端数処理の問題、今回の統合を機に解決されたんです。
共済年金の仕組みに揃えることで。
具体的には年度末の最後の支払い(2月)の時に足りない数円を上乗せして年金機構が払ってくれます。
メモ
詳しい年金機構の端数処理のルールは以下のコラムでまとめています。
-
【解決済み】謎は解けた!年金受け取り時の端数処理 1円で悩んだその理由とは|みんなのねんきん
どんな事例?簡単に言うと・・ 年金の受け取り時には端数を切り捨てるというルールがあります。切り捨てた端数は合計して2月に加算されることになっています。ただ、端数が延々と続く場合に1円の違いが出ることが ...
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2016年2月が解決後の最初の振込。
振込の通知書にも追加支払い分の欄が新たにでき、長年の問題がようやく解決されました。
今回の事例まとめ
年金は分割払い。
年6回の2カ月分を受け取るルールです。
その時の端数処理は1円未満を切り捨てるというもの。
端数処理の結果、本来の年金額に数円足りない事態が生じることがあります。
それを解決するのが年度の最後に足りない数円を別途加算するということ。
長年の懸念がようやく解決。
にしても・・。
共済年金にはそもそも不利益が生じないようなルールになっていたとは・・。
どうも釈然としない気持ちが猫に表れています。
シャー!
事例は実際の相談をヒントにしたフィクションです。記事中のアルファベットは実在の人物・企業名と関係ありません。記事は細心の注意を払って執筆していますが、執筆後の制度変更等により実際と異なる場合もあります。記載を信頼したことによって生じた損害等については一切責任は負えません。
シモムー
みんなのねんきん主任講師