相談事例

始まった短時間労働者への社会保険拡大!こんなときはどうする?

投稿日:2016年10月3日 更新日:

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どんな事例?簡単に言うと・・

2016年10月から拡大したパートタイマーへの社会保険。いざ運用が始まると様々な疑問が生じるものです。日本年金機構が発表しているQ&A集から、よくありそうなものをピックアップしてより詳しく、パートタイマーへの社会保険拡大を考えてみます。

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こんな事例を考えてみましょう

東京都内某所。

「最後尾」と書かれたプラカードを持った人の前に多くの人が列を作っています。

なんと、シモムーへの相談者が列をなしているではないですか。

相談者の5人はこう言っています。

私は10月前から社会保険に入っていますが、週に2日の勤務なので今回の改正の条件に当てはまらないんです。10月以降も続けて入れますか?

(Aさん)

私は契約上は週に18時間の勤務になっています。ただ、忙しい時は週に20時間いくこともあります。私も社会保険に入りますか?

(Bさん)

1年契約の契約社員の私はまだ1年も働いていません。契約更新の可能性はあるのですが、1年経ってみないと本当に更新されるかはわからないんです。こんな私でも社会保険に入りますか?

(Cさん)

交通費や家族手当を入れると月額88,000円以上いきますが、これらを含めなければ88,000円に足りません。私は社会保険に入れますか?

(Dさん)

私は仕事をしながら社会人大学院で学んでいます。学生なので社会保険に入らなくていいですよね?

(Eさん)

さて、シモムーはどう答えるのでしょうか。

今回の事例の何が問題なんでしょうか

2016年10月から短時間労働者(パートタイマー)の社会保険加入の範囲が広がりました。

以前にも記事でまとめたことがあります。

パートタイマーも社会保険に入る!2016年秋からハードルが低くなるその内容とは?

出典記事が発表された日:2016年5月16日 目次1 どんなニュース?簡単に言うと2 どんなニュース?もう少し詳しく!2.1 2つのステップで考える社会保険の加入2.2 条件が緩くなる会社は規模の大き ...

簡単にパートタイマーが社会保険に入る条件をまとめると・・

  1. 1週間の労働時間1ヵ月の労働日数が同じ職場の正社員と比べて4分の3以上であると加入する
  2. 「1」でなくても、以下の5つを満たすなら加入する
  • 1週間の労働時間が20時間以上
  • 1年以上雇われる見込み
  • 月額賃金88,000円以上
  • 学生でない
  • 500人を超える(501人以上)の企業に勤めている

今回の改正により、「1」を明確にして、「2」を新たに作りました。

ただ、細かく条件を考えると、

賃金には交通費も含まれるのか?

社会人大学院生だけど学生だから入らないのか?

という実務レベルの細かなことが問題となります。

参考にした日本年金機構のQ&Aの中から、よくありそうな疑問をピックアップ。

今回の改正内容をちょっとだけ深く考えてみます。

解説してみましょう

今回の解説者:シモムー

シモムー

今回は私、シモムーが解説します。

2016年10月からの改正に向けて、500人超えの企業には個別に行政から連絡が行きました。

ですので、対象企業は既に準備が終わっているはず。

そこで、

パートタイマーの方々の立場で、今後疑問に思うであろうことに限定してQ&Aをご紹介します。

10月より前から加入しているならいきなり終了はない

私は10月前から社会保険に入っていますが、週に1日の勤務なので今回の改正の条件に当てはまらないんです。10月以降も続けて入れますか?

回答:

心配ご無用。続けて入れますよ。

解説:

10月より前のパートタイマー加入の基準は結構あいまいだったんです。

”労働時間と労働日数が4分の3以上”という条件がありましたが、働き方や仕事の内容を「総合的に勘案」して入る入らないを決めていたからです。

実は私も週1日の勤務で社会保険に入っていたことがあるんですよ。

Aさんは10月からの改正で基準には該当しなくなりますが、いきなり社会保険は終わりとはなりません。

10月以降も引き続き同じ会社に勤めている間は加入が認められます。

こうしなければ、本人の意思に関係なく社会保険から保障を受ける権利が奪われてしまうからです。

(下に続きます)

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現実の労働時間が20時間以上が続くなら入ることになる

私は契約上は週に18時間の勤務になっています。ただ、忙しい時は週に20時間いくこともあります。私も社会保険に入りますか?

回答:

20時間以上の労働が続くなら入ることになりますよ。

解説:

2016年10月からは社会保険加入の曖昧さをなくし、判断基準を明確化・客観化することになりました。

具体的には就業規則や各自の契約内容で判断することになっています。

すると、

Bさんの雇用契約は週に18時間ということなので原則として加入しません。

例外として、

実際の労働時間が直近2カ月で20時間以上あり、この状態が続くことが見込まれる場合は、実際の労働時間が週20時間以上となった月の3カ月目に加入します。

  こういった場合は実態に合わせようということですね。

契約更新の見込みがあるなら1年以上雇用継続の見込みあり

1年契約の契約社員の私はまだ1年も働いていません。契約更新の可能性はあるのですが、1年経ってみないと本当に更新されるかはわからないんです。こんな私でも社会保険に入りますか?

回答:

今後契約更新の可能性があるか、Cさんと同じ状況の人が更新後1年以上雇用された実績があるなら入りますよ。

解説:

期間を定めた雇用契約は、通常は期間満了と同時にその契約は終了します。

とすれば、Cさんは加入できないのが原則です。

ところが、以下のどちらかに該当するなら「1年以上の雇用継続見込みあり」と判断します。

1 就業規則や雇用契約に更新の可能性があることを定めている

2 同じ会社の同じ契約社員が更新によって1年以上雇用された実績がある

ここも客観的な資料や実績で加入の基準を考えようという意図が見えますね。

最低賃金法の考え方と同じ賃金の基準

交通費や家族手当を入れると月額88,000円以上いきますが、これらを含めなければ88,000円に足りません。私は社会保険に入れますか?

回答:

Dさんの場合は賃金の条件を満たせませんね。ですので社会保険には入りません。

解説:

原則として月額88,000円は基本給と諸手当で判断します。

ただし、次の4つは除外することになっています。

1 結婚手当等の臨時に支払われる賃金

2 ボーナス等の1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金

3 時間外や休日・深夜労働に対して支払われる賃金

4 最低賃金法で算入しないこととしている賃金(精皆勤手当、通勤手当、家族手当)

Dさんの場合、交通費や家族手当は「4」に該当するので88,000円の要件は満たせないことになります。

どうやら賃金の考え方は「4」にもありますが、最低賃金法の考え方を当てはめているようです。「1」から「3」についても最低賃金には含めないことになっています。

最低賃金で働くパートタイマーもいますから、賃金の考え方を一緒にしているんでしょう。

ただ、面白いことに、

これらを除外して社会保険に入ることになっても、社会保険に登録する賃金(標準報酬月額)を考える時にはこれらを含めて報酬月額を算定します。

本業が学生なら加入しない

私は仕事をしながら社会人大学院で学んでいます。学生なので社会保険に入らなくていいですよね?

回答:

いいわけ無いですよ。仕事をしているならそちらで社会保険に入ることになります。

解説:

学生でなければ社会保険に加入しないことになっています。

しかし、これはあくまで本業が学生の場合の話です。

そうでない、例えば定時制の学校や社会人大学院に通う方は学生であるからといって加入しないことにはなりません。

これは雇用保険でも同じ考え方をとっています。

今回の事例まとめ

パートタイマーでも社会保険に入る5つの加入条件

  • 1週間の労働時間が20時間以上
  • 1年以上雇われる見込み
  • 月額賃金88,000円以上
  • 学生でない
  • 500人を超える(501人以上)の企業に勤めている

労働者本人に関係する最初の4つの条件について、こんな場合は?というものを取り上げてみました。

Q&Aをじっくり眺めてみると、

  • 曖昧だった基準を明確化・客観化する
  • 他の法律と考え方を揃える

という意図が見えます。

賃金については最低賃金法が、週20時間の考え方や学生の考え方は雇用保険法が意識されています。

他にもQ&Aにはいろんなことが載っていますので、興味があればソースにあたってみてください。

それでもわからないければ、その時は年金事務所に確認ですね。

出典・参考にした情報源

平成28年10月より短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大が始まります。|日本年金機構
大変なのは人事総務担当の方々

 


事例は実際の相談をヒントにしたフィクションです。記事中のアルファベットは実在の人物・企業名と関係ありません。記事は細心の注意を払って執筆していますが、執筆後の制度変更等により実際と異なる場合もあります。記載を信頼したことによって生じた損害等については一切責任は負えません。

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シモムー

シモムー

日本年金機構の年金相談コールセンターにて新人研修講師を担当しながら社労士試験予備校にて講師を経験。2014年より公的年金の情報を初心者目線で解説する「みんなのねんきん」サイトで情報提供を続ける。年金を事例で学ぶ「年金ケーススタディ」で全問題の作問と解説を担当。具体例やイメージで理解できる情報提供を心がけている。

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