他人の成績見たくない?確定拠出年金の運用結果お見せします!(1回/全3回)|みんなのねんきん

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シモムー

みんなのねんきん主任講師

どんな事例?簡単に言うと・・

今話題の確定拠出年金。実際に加入している人の運用成績を見たくないですか?今回は確定拠出年金歴5年のある人にご協力いただいて、その運用成績を見ながら、3回に渡り具体的な制度の解説していきます。今回は制度の概要と掛金・手数料の話を中心にいってみます。

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こんな事例を考えてみましょう

Hさんは専業主婦をしており、国民年金の第3号被保険者として夫に扶養されてます。

高校の同級生のOさんは公務員をしており、厚生年金に加入しています。

たまに食事をするHさんとOさん。

今日は老後のお金の話題になりました。

チャーミー
チャーミー
ねぇ、確定拠出年金って知ってる?私ちょっと興味があってさ・・。
モモ
モモ
知ってる知ってる。なんかうちの職場で最近、確定拠出年金のセミナーあったわよ。
チャーミー
チャーミー
来年の1月から私たちも入れるらしいから、新聞とか雑誌とか特集が載っているけど、なんかイマイチ抽象的なのよね。
モモ
モモ
そうよね。なんかもうちょっと、実際に入っている人の運用成績を見せて欲しいとかって思うわね。
チャーミー
チャーミー
結局、運用は自己責任なわけでしょ。私たち運用の素人がうまくいくかしらね。

偶然にも同じお店で食事をしていたシモムー。

食事を終えて、レジに向かう途中HOさんの脇を通りました。

その時のこと。

お客さんから分析を依頼されていた「確定拠出年金 資産残高のお知らせ」が2人のテーブルにヒラリと落ちてしまいました。

チャーミー
チャーミー
え?なにこのすごいタイミング
モモ
モモ
まるでマンガよね、マンガ
チャーミー
チャーミー
それより、ちょっとこの金額見なさいよッ!!

シモムーは気づかないまま、レジで会計をしています。

今回の事例の何が問題なんでしょうか

何はともあれ、シモムーの情報の管理の仕方が大問題です。

というのは、脇に置いて。

2017年1月から加入者の範囲が拡大する確定拠出年金。

「有利だから絶対に入るべき」というような論調で新聞や雑誌で特集を目にします。

抽象的に説明されてもわかりません。

問題なのは、実際に加入している人はどんな運用成績なのか、利用者の姿が見えないところ。

そこで、

ある人の運用成績を一例としてご紹介するのが今回の記事なんです。

解説してみましょう

今回は私、シモムーが解説します。

実際はお客さんの資料を落とすなんてことはありませんのでご容赦を。

空想上のファンタジーの話だと思ってください。

さて、確定拠出年金が「有利有利」と騒がれています。

その中身は「節税になる」というものばかり。

「ちょ、待てよ」

問題は自己責任のもと、自身の手で運用がうまくいくかどうか、本質部分はそこにあります。

確定拠出年金は自分で運用するのが本質

制度の創設は2001年ですから今から15年も前の話。

今大騒ぎする理由は、対象者が拡大されたから。

節税ももちろん魅力的ですが、本質部分を見落としてはいけません。

それは運用結果は自己責任であること。

だから、自分で情報を集めて運用に関する知識を身につけないといけない。

人任せではだめなんです。

そこで、実際に加入している人の成績が気になりますよね。

今回はある人の運用成績をご紹介しながら、確定拠出年金を3回に分けて解説していきます。

第1回の今回は「掛金と手数料」がメインとなります。

行ってみましょう。

ある人はどんな人?

ある人なんですが、仮にPさんとしておきましょうか。

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(タップで拡大)

この基本情報からいくつかのことがわかります。

  • Pさんは個人型の確定拠出年金に加入している
  • 「基準日」をもとに2015年1年間の成績表を作っている
  • Pさんは損保ジャパン日本興亜DC証券株式会社を通じて加入している

個人型以外の型があるのか?

確定拠出年金は個人型と企業型にわかれています。

「企業型」は企業が設立するもので、その企業に勤めていなければ加入はできません。

Pさんは国民年金の第1号被保険者で、会社勤めではありません。

ですから「個人型」に入っているわけです。

今回の確定拠出年金の改正はこの「個人型」の対象者が拡大するので大きく騒がれているんです。

運営管理機関ってなに?

個人型の確定拠出年金は国民年金基金連合会が実施しています。

ただ、加入者の記録管理や、運用商品の情報提供は民間の金融機関が請け負っています。

この金融機関が上の表にも出ている「運営管理機関」なわけです。

運営管理機関であれば、好きな会社を選べばいいのですが、サービスや手数料に違いがあるのでよく調べて加入することが必要です。

成績表は何度も届く?

運営管理機関は毎年少なくとも1回、資産額を加入者に通知することが義務付けられています。

Pさんの通知は基準日から年が明けた2016年1月に届きました。

Pさんの運営管理機関は年に1度だけの通知です。

掛金は加入の立場で異なる

Pさんの限度額は68,000円

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(タップで拡大)

Pさんは月額35,000円の掛金を納めています。

年間で420,000円となりました。

この掛金はPさんの場合、月額5,000円から68,000円で自分で決められます。

専業主婦であるHさんの場合は、月額23,000円が限度です。

公務員のOさんの場合は、月額12,000円が限度です。

立場によって掛け金の限度が異なります。

以前の記事が参考になるのでみてみてください。

おまたせ!確定拠出年金の改正法成立!え?私も入れるの?|みんなのねんきん

どんなニュース?簡単に言うと 2016年5月24日に確定拠出年金法を改正する法律案が可決しました。施行されるのは2017年1月1日。大きく変わるのは加入できる人が公的年金加入者全員になったこと。詳しい ...

 

どれくらい節税になるのか

Pさんが納めた420,000円は、全額所得から控除されます。

つまり、この金額分は税金がかからないことになります。

具体的に、いくら得するのか?

仮にPさんの年収が500万円・年間の所得が150万円だとして所得税・住民税の合計税率15%で税金の計算をしてみると・・、

確定拠出年金入らないPさん:225,000円

月額35,000円で入ったPさん:162,000円

節税額:▲63,000円

となります。

確かに大きな節税となりますね。

所得が多い人ほど、掛金を増やすことで節税の恩恵を受けられます。

ということは・・・。

税金をそもそも納めていないであろう専業主婦のHさんにはこのメリットはありません。

公務員のOさんは掛金の限度額が最大でも年間で144,000円ですから、劇的に節税になるとは言えないでしょう。

手数料がバカにならない

確定拠出年金は銀行の口座と違い、資産を預けるだけで管理手数料がかかります。

これがデメリットです。

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(タップで拡大)

Pさんの手数料の一部を画像にしました。

運営管理機関のみならず、国民年金基金連合会やらいろんなところに手数料を払います。

年間では5,892円の手数料が運用結果とは関係なく徴収されました。

年間6000円弱の手数料はどうやら平均的な金額みたいです。

なかには運営管理機関分の手数料は無料のSBI証券やスルガ銀行といったところもあります(記事執筆時現在)。

運営管理機関をどこにするかは手数料も判断のポイントになりますね。

今回の事例まとめ

今回の事例をまとめると以下のとおり。

  • 確定拠出年金に入ると年に1回は成績通知が送られてくる
  • 掛金の限度額は加入の立場で異なる
  • 所得が多い人ほど、掛金を増やすことで節税の恩恵を受けられる
  • 運用結果に関係なく資産管理の手数料が掛かる

自己責任が押し付けられる確定拠出年金。

確かに税制上のメリットがあるものの、全ての人に恩恵が及ぶかというとそうでもない

もともと税金を納める必要の無い人にメリットは無さそう。

むしろ、運用結果に関係なく取られる手数料がバカになりません

実はPさんは5年間確定拠出年金に加入し、手数料の累計は27,406円になっています。

まぁ、節税の効果がそれを上回っているので目をつぶれる額ですが、あまり納得はいきません。

さて、次回はPさんの運用がどうなったか、年間の成績を発表しましょう!

これで、運用がマイナスになろうものなら、「銀行に預けた方がマシだ」ともなりかねません。

Pさんの運命やいかに。

次回に続きます。

出典・参考にした情報源

Pさんの資産残高の通知 「確定拠出年金 資産残高のお知らせ」損保ジャパン日本興亜DC証券株式会社発行


事例は実際の相談をヒントにしたフィクションです。記事中のアルファベットは実在の人物・企業名と関係ありません。記事は細心の注意を払って執筆していますが、執筆後の制度変更等により実際と異なる場合もあります。記載を信頼したことによって生じた損害等については一切責任は負えません。



最後までコラムをお読みいただきありがとうございました

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シモムー

日本年金機構の年金相談コールセンターにて新人研修講師を担当しながら社労士試験予備校にて講師を経験。2014年より公的年金の情報を初心者目線で解説する「みんなのねんきん」サイトで情報提供開始。登録者数2000人超のYouTubeチャンネル「シモムーシェフの年金論点4分クッキング」では年金の論点を4分で解説中。具体例やイメージで理解できる情報提供を心がけている。2020年3月、障害年金手続き代行に特化した「みんなのねんきん社会保険労務士法人」設立。2021年6月から障害年金手続きのノウハウを提供する「障害年金カウンセラー養成講座」で講師としても活躍する。

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