【2024秋最新版】年アド3級 技能応用 老齢基礎年金の年金額 3つの手順と5つのポイント|みんなのねんきん

2019年3月26日

シモムー

みんなのねんきん主任講師

過去の出題傾向からシモムーの感想

前半はポイントを押さえ、手順通りに消去していけばあっという間に答えに辿り着く問題。

技能応用1に比べると格段に簡単です。

計算式の正誤を答えるだけですし。

後半は繰上げ・繰下げの知識ですが、基本知識問題の延長です。

この2問は絶対に得点したい、いや、得点できる問題です。

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ここ注目!ここがポイントだ!

前半:老齢基礎年金の年金額の計算式は3つの手順で考える

計算式が並んでいる問題でまず最初に念頭に置きたいこと。

効率よく解答できないか

ということ。

闇雲に先頭から事例を読み込んで、選択肢を上から順に検証していくやり方ではいけません。

どんな試験でも時間との戦いになります。

特に2022秋からは30分の試験時間の短縮で1秒も無駄にはできません。

普段から無駄が無いような解き方をするクセをつけてください。

さて、

この問題では3つの手順で考えます。

  1. 20歳前から厚生年金に加入しているか確認
  2. 平成21年3月4月をまたいだ加入履歴を把握する
  3. 国庫負担割合を確認する

この問題は確実に平成21年の3月から4月をまたいで免除の期間になっている事例が登場します。

この期間が保険料納付済期間だったら面白くもなんともないからです。

具体的に2022秋問題を元に手順を確認します(問題文は載せられませんので各自で確認してください)。

手順1 20歳前から厚生年金に加入しているか確認

まず、20歳に達した月に着目します。

おそらく、

20歳をまたいで厚生年金に加入

という事例になっているはず。

保険料納付済期間は20歳以上60歳未満の期間に限定して評価されます。

とすれば、

20歳をまたいだ厚生年金加入の全ての期間は保険料納付済期間になりません

事例の登場人物の生年に20を足して確認。すると「昭和58年」。

案の定、「昭和56年」から加入していますから、厚生年金の期間全てが保険料納付済みになりません。

とすれば、保険料納付済期間「267ヵ月」としている(1)(2)が消えます。

手順2 平成21年3月4月をまたいだ加入履歴を把握する

「平成18年7月~平成25年6月」は案の定「保険料半額免除期間」となっています。

この期間を

  • 平成18年7月から平成21年3月
  • 平成21年4月から平成25年6月

に分解しなければいけません。

分解できているのは(2)(4)(5)ですが、既に(2)は消えているので残りは(4)(5)。

2択になったら、どの部分が違うかを確認します。

国庫負担の数字に違いがあることがわかります。

手順3 国庫負担割合を検証

4分の1免除期間(114ヶ月)を

8分の7とするか(4)

8分の5とするか(5)

の選択となります。

ちなみに、国庫負担の割合は暗記する必要はありません。

私がやっている試験現場で思い出すテクニックを披露します。

解法テク6 年金アドバイザー試験のための老齢基礎年金の国庫負担割合を5秒で思い出す方法|みんなのねんきん

どんなテクニック? 老齢基礎年金の計算では多段階免除における国庫負担割合を暗記しておく必要があります。 変な分数をどう暗記するか。 私は2級の最初の受験時には図を書いて面積を塗りつぶしたり、今考えると ...

結局、

8分の7(H21年4月〜)

が正解となり、選択肢(5)が消えました。

残ったのが(4)でこれが正解となります。

CBT試験との違い

CBT試験では年金額の計算式の選択ではなく、年金額の計算結果を選択させる問題になっています。

おそらくですが、分数の複雑な計算式が表示できないという理由があると考えられます。

したがって、

CBT試験を受験する場合は67歳以下(新規裁定者)の老齢基礎年金の満額(令和6年度:816,000円)を覚えておく必要があります。

後半:追納・任意加入・繰上げ・繰下げのポイント

この問題は誤っているものの選択問題しか出ていません。

そう考えると気が楽です。

確実におかしいものを1つ探すだけなので。

過去の肢をみてみましょう。

過去10回の正解となった知識

  • 2024春 少なくとも66歳まで待機しなければ繰下げできない
  • 2023秋 老齢基礎年金の受給権者になると追納できない
  • 2023春 繰下げによる具体的な増額率
  • 2022秋 昭和27年4月2日以降生まれは75歳まで繰下げできる
  • 2022春 厚生年金の被保険者期間が240月以上なければ加給年金の加算は無い
  • 2021秋 特老厚受給中でも国民年金の任意加入は可能
  • 2021春 老齢基礎年金の受給権者になると追納できない
  • 2020秋 繰上げによる具体的な減額率
  • 2020春(模擬)少なくとも66歳まで待機しなければ繰下げできない
  • 2019秋 繰上げによる具体的な減額率

正解に関係なく、出題されるテーマを検証してみると

  • 2024春 追納、繰下げ、加給年金要件
  • 2023秋 追納、繰下げ、加給年金要件
  • 2023春 追納繰上げ、加給年金要件、繰下げ
  • 2022秋 全てが繰下げ
  • 2022春 追納繰上げ、加給年金要件、繰下げ
  • 2021秋 追納、繰下げ、加給年金要件、任意加入
  • 2021春 追納、繰下げ、加給年金要件
  • 2020秋 追納繰上げ、加給年金要件、繰下げ
  • 2020春(模擬)全てが繰下げ
  • 2019秋 追納繰上げ、繰下げ、任意加入

この10年では計3回、全て繰下げで攻めてきました。

ただ基本的には、追納繰上げ、繰下げ、加給年金要件、任意加入に関する知識が圧倒的。

これらの論点をしっかり押さえていきます。

出題5分野をワンポイントで解説

出題5分野の制度的知識をワンポイントで解説してみましょう。

  1. 保険料の追納:当時の免除期間が今から10年内か
  2. 繰上げ:請求月から65歳に達する月の前月までが繰上げの月数
  3. 国民年金への任意加入:特別支給の老齢厚生年金受給中でも国民年金の任意加入可能
  4. 繰下げ:65歳に達する月から申出月の前月までが繰下げの月数
  5. 加給年金要件:厚生年金の加入が240カ月以上あることを事例で確認

1 保険料の追納

免除期間が10年内にあるかどうかを確認するだけです。

「すべて」の期間追納できるのかどうかを図を書いて判定します。

ちなみに、問題文中には「今から」という曖昧な表現になっているんですが、受験している月現在で追納申込をしたと仮定して判断すれば良いです。

2021春、2023秋は10年内にある免除期間であっても、追納するときに65歳を過ぎていたら追納はできません

なぜなら、追納は”老齢基礎年金の受給権者は除く”と条文に書いてあるからです。

今後も出題が予想されるので追納の時期が65歳前なのかを確認です。

2 繰上げ

月数カウントを慎重に

繰上げはその月数カウントが重要。

65歳に達する月の”前月”というのがポイントです。

参考までに私の覚え方を紹介しておきます。

解法テク5 何カ月繰上げ?何カ月繰下げ?年金アドバイザー試験のための右脳的覚え方|みんなのねんきん

どんなテクニック? 平成30年3月3日に65歳になる人が平成28年6月6日に老齢基礎年金を繰り上げる。 さぁ、一体何カ月繰り上がるのでしょうか。 同じく 平成30年3月3日に65歳になった人が平成32 ...

出題は、”令和○年○月に繰上げした場合”というような感じで、月数を実際にカウントしないと減額率が判明しません。

繰上げ請求月から65歳に達する月の前月までを注意深く月数カウントするようにします。

減額率0.4%か0.5%か

2022年4月からの改正で、繰上げの減額率が0.4%へと変更されました。

ただ、0.4%で計算する人は、2022年4月以降に60歳に達する人。

つまり、昭和 37年4月2日以降生まれの人が対象になります。

問題の登場人物の生年月日に注意です。

3 国民年金への任意加入

特老厚受給中であっても、国民年金の任意加入は可能です。

ただし、

国民年金の強制加入中の場合は任意での加入ができません。

特老厚受給中で国民年金に強制加入する人は誰ですか?

第1号と第3号は強制期間が終了していますので、強制加入するのは第2号被保険者のみ。

厚生年金の被保険者になっていたら国民年金の任意加入はできないことに注意です。

定期的に正解になっており、2021秋に久しぶりに正解となりました。

4 繰下げ

月数カウントは繰上げと同じ

65歳に達する月から申出月の前月までが繰下げの月数。

2020春(模擬)、2019春、2021秋、2023春、2024春で月数をカウントさせる問題が出ています。

繰上げで紹介しました私の覚え方、”新幹線の図”で対応します。

66歳まで待機せよ

繰下げを希望して、65歳時に年金請求をしなかった場合、最低でも66歳までは待たないといけません。

65歳6か月

から繰下げ受給できると出題があり、これが誤りとして正解。

2020春(模擬)、2021春、2023秋、2024春では、より実務的に何年何月からできるか?という切り口でした。

とにかく、受給権が生じてから1年待たないといけないことを頭に入れます。

繰下げ年齢の上限

2022年4月からの改正で、繰下げ年齢の上限が75歳へと引き上げられました。

ただ、上限が75歳になる方は、2022年4月以降に70歳に達する人。

つまり、昭和 27年4月2日以降生まれの人が対象になります。

繰上げ0.4%対象者の10歳年上の人と覚えるとわかりやすいかもしれません。

75歳過ぎて繰下げ申し出するとどうなる?

75歳繰下げが可能が人が、例えば78歳で繰下げ申し出をすると、75歳に達した日に繰下げがあったとみなす扱いになります。

つまり、10年間繰下げ待機してマックスまで増額したものを3年遡ってまとめて受給し、今後も増額した年金を受給することになります。

かつては、遡って受給することができなかったのですが、改正されて不利益が生じないようになっています。

2022秋は75歳繰下げが可能な人なので72歳で繰下げ申出しても「70歳」まで遡ることはなく、その点で正解となりました。

5 加給年金の要件

老齢基礎年金の問題なので、老齢厚生年金の知識が出るのは意外ですが、出題があります。

加給年金の加算は厚生年金の被保険者期間が240カ月いっているかどうかを確認します。

出題はイヤらしいことに、加算時期については正しいことを言っています。

例えば、2022春の場合、

令和8年11月分から(略)加算される

たしかに、65歳に達した月の翌月分から加算が開始するからです。

ところが、

そもそも厚生年金の被保険者期間が240カ月に達していません。

シモムー
シモムー
そっちかよ!

と突っ込みたくなります。

最近の技能応用問題の傾向として、

一見、正しいことが書いてあるが、事例に即したら別の視点で間違っている

という出題のされ方が目につきます。

応用問題ですから、事例に即すのが当たり前ですが、うっかり間違えそうになりますから気をつけます。

まとめます

前半は老齢基礎年金の計算問題。

計算式の羅列から正解を選ぶ問題の意識はただ1つ。

効率よく無駄なく解答できないか。

これが大事です。

前半は3手を考える。

  1. 20歳前から厚生年金に加入しているか確認
  2. 平成21年3月4月をまたいだ加入履歴を把握する
  3. 国庫負担割合を確認する

後半は追納・繰上げ繰下げの問題。

  1. 追納:当時の免除が今から10年内、老基受給権者は追納不可能
  2. 繰上げ:請求月から65歳に達する月の前月までが繰上げの月数、0.4%対象者は昭和37年4月2日以降生まれ
  3. 任意加入:特別支給の老齢厚生年金受給中でも国民年金の任意加入可能
  4. 繰下げ:65歳に達する月から申出月の前月までが繰下げの月数、繰下げ75歳対象者は昭和27年4月2日以降生まれ
  5. 加給年金要件:厚生年金の加入が240カ月以上あることを事例で確認

5つの知識がわかっているだけで、正解にたどり着けるはずです。



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