講師のシモムーが試験合格者にインタビューする企画。みんなのねんきんのサービス利用者を対象になぜ合格できたのかを対談形式でお届けします。2017年vol.2は労働組合の専従職員として勤務する近森拡充さんにお越しいただきました。インタビューは2017年11月の発表直後。今回は後編です。
前編はこちらです。
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合格者に会いたい!2017年社労士試験 vol.2 近森拡充さん 前編|みんなのねんきん
講師のシモムーが試験合格者にインタビューする企画。みんなのねんきんのサービス利用者を対象になぜ合格できたのかを対談形式でお届けします。2017年vol.2は労働組合の専従職員として勤務する近森拡充さん ...
どんな勉強をしてきたか
論点を意識する = 何が問われているのかを意識する
近森 受験1回目の去年(2016年)は独学、2回目の今年(2017年)は通学もできる受験予備校を利用しました。
予備校は基本的には教材が届いて自分で講義を聴くという勉強ですが、短期間の講座があったり、講師に相談したりということができました。
近森 単にやみくもにやっているだけだった感じです。
講義についていけず、付け焼き刃的に試験に臨みました。
仕事柄、労基法や安衛法まではわかりますが、労災や年金はイメージができなかったというか・・。
「給付基礎日額」「加重」「併合認定」「基準障害」とか言われても初学者には難解ですよね。
また、過去問も十分やれませんでしたし、講義についていくだけで精一杯でした。
近森 はい。加えて、受験予備校の先生に気軽に相談できたことが大きかったです。
例えば、どんな講座を取るべきか相談したり、具体的な勉強方法のアドバイスを受けました。
近森 問題を解く時はその肢が誤っている場合は、なぜ誤りなのかを書き出すようにしていました。
択一式は単に◯か×かだけを確認するのではなく、問われている論点を確認し、書き出すということです。
選択式は最初は選択肢を見ないで自力で言葉を埋めていくようにしました。
近森 私は3回くらい回しましたが、単に過去問をたくさん回せば合格できる時代ではないと思っています。
近森 あとは繰り返しになりますが、すき間時間を活用することを意識しました。
平日の「朝」「昼休み」「仕事場から家にかえるまで」のすき間ですね。
講義のペースに遅れないよう深夜に勉強することもありましたが、深夜は効率が悪かったです。
土日はその分、集中して時間を確保して勉強しました。
近森 自分の予備校の模試の他に、他のところの模試もやってみたましたが、いくつも受ける必要はないかなと思います。
見直しも試験を受けた直後と本試験の直前に振り返るくらいしかできませんでしたし。
また、模擬試験もそうですが、直前期にやるべき問題集は絞りました。
近森 選択式は択一式の延長線だと思います。
ですので、勉強の方法に関してはそれほど大きく違わないと思います。
近森 論点を意識する = 何が問われているのかを意識するのが大事だと思います。
誤りの肢だったら正しい知識を確認し、正しい肢だったら何を論点にしているのかを確認しました。
何が問題なのかを把握してその知識を押さえていくというのは択一・選択共通だと思います。
近森 必死になってゴロ合わせで暗記することはあまりなかったですね。
もちろん雇用保険の特定受給資格者の所定給付日数とか暗記すべき箇所は多少ありましたけど。
それよりも制度の背景にあるもの(沿革、趣旨等)を勉強・理解することのほうが大事だと思います。
社労士試験は科目や類似の項目が多いので暗記だけじゃ対応できないと思います。
だから、制度を理解することに重点を置くべきです。
受験1年目はそれができていなかったと感じます。
受験生時代全般で苦労したこと
勉強時間をどう確保するか
近森 勉強時間の確保ですね。
合格するためには一定の勉強時間を確保しないといけないです。
まとまった時間は土日しかなかったですし。
あとは、勉強方法を相談する人がいたのは良かったです。
独学だとその点で苦労すると思います。
受験予備校はせっかくお金を払っているのでそういう活用をすべきだと思います。
また、職場には話していなかったので「ちょっと近森付き合い悪いんじゃないの?」と思われていたかもしれないのがつらかったですね(笑)
年金ケーススタディはどう役に立ったか
近森 ケースタの事例が今年の試験でピンポイントで直接役に立ったというのはなかったですが、事例を通じて制度全体がよりはっきりわかるようになったという実感はあります。
(注:「ケースタ」とはみんなのねんきん勉強会「年金ケーススタディ」の略称です)
「ああ、こういうことを言っているんだ」とつながったような。
例えば、
在職老齢年金と雇用保険の継続給付は別々に勉強しますが、現実の事例ではセットで考えますし、そういった点でなるほどなと。
他には被保険者資格の得喪を具体的に事例で考えるとか、合算対象期間を事例で月数カウントするとかはテキストの知識とつながって役立ちました。
繰上げ繰下げはもっと単純だと思っていたのですが、事例で勉強するとこんなに深いのかという印象です。
事例問題を通して制度を理解するというのは大事だと思います。
注:検定試験とは年金計算ワークショップ「年金トライアル」のことで、年金ケーススタディの出題範囲を参考にして作問しています
近森 そうですね。ケースタは年金実務で知らないといけないことが事例で学べるので是非とも色々な人にやってもらいたいです。
これから資格を活かしてどういう展望を描いているか
整理したインデックスを今後に活かす
近森 開業することは今は考えていなくて、労働組合で働く勤務社労士を考えています。
社労士になることで、外部で横のつながりももてるかなと期待しています。
年金に限らずいろいろな勉強会にも参加したいですね。
日々の業務で社会保険に関して質問を受けることがあるので的確にアドバイスできればと思います。
試験勉強を通じて、労働保険・社会保険制度のインデックスができたと思っています。
近森 はい。あとの細かいことは整理できたインデックスに従って自分で調べられると思っています。
他の受験生に何か一言
制度の背景事情を考えた勉強をすべき
近森 社労士試験は科目が多くて大変だと思います。ですが、暗記重視はおすすめしません。
極力、制度を理解することを心掛けるのが大事です。
この仕組みがなぜあるのかという部分。
その点で、テキストを読み込むことも大事だと思います。
あとは、問題は解ければいいので、深入りし過ぎないことも大事だと思います。
徴収法の二元適用で「国に準ずる事業」というのがありますが、「これって具体的になんだ?」とか出てきますよね。その時にこうしたものに拘らないということです。
そこは講師が「深く入る必要がない」と言ったらそれに従うということですね。
近森 受験予備校を利用している人は徹底的に使い倒すべきだと思います。
あとは、苦手科目を作らないようにするのも大事です。
近森 ただ、科目の中でも苦手なところとそうでないところはあります。
私の場合、例えば労働基準法の「就業規則」は得意でも「労働時間の変形制」になると苦手意識があったり。
ただ全体としては苦手科目というのはなかったです。
そのためには各科目の中でもまずは得意分野を固めるというのもひとつのやり方だと思います。
最後に、繰り返しになりますが、暗記に走らず制度の背景事情を考えた勉強をすべきですね。
後編まとめ
後半で印象に残ったのは以下の3つ。
- 個々の問題で何が問われているかその論点を意識する
- 苦手科目を作らない
- 暗記に走らず制度の背景事情を考えた勉強をする
インタビューをしていて特にハッとしたのが、近森さんの「インデックスができた」という一言です。
専門家を認定する国家試験で勉強する目的はその分野を「体系的に理解する」ことだと思うんです。
それができれば、結果的に合格につながります。
私は受験生時代、年金が好きだったので「年金だけ高得点取れれば合格させてよ」なんて思っていました。
だから、そんなことを考えているうちは合格できなかったわけです。
社会保険制度全体をみると、年金は「働くこと」ともつながっています。
年金単体だけ勉強しても、結局は年金を本当にわかったことにはなりません。
今更ながらそれに気付かされました。
だからこそ、近森さんの苦手科目を作らないというのが腑に落ちました。
ちなみに、
社労士試験合格後も近森さんは年金ケーススタディで勉強を続けられています。
年金を勉強し続ける同志として、これから大いに活躍して欲しいと感じました。