年アド3級各問分析

年アド3級基本23 遺族基礎年金 胎児が来るか、猶予が来るか

投稿日:2019年5月7日 更新日:

シモムー

みんなのねんきん主任講師

メモ

この記事は2019年秋向けのものです

何が出題されている?

出題形式:誤っているものを選択

遺族基礎年金自体がシンプルでわかりやすいことが影響しているのか、この問題はややマニアックなところを突いてくる内容になっています。

例えば亡くなった後に胎児が出生した場合。

また、健常者の子が後から障害を負った場合。

もちろん現実に起きる可能性はあるものの頻繁に耳にする内容ではありません。

私の年金相談の経験でも遭遇したことが無いので、銀行の窓口担当の人がここまで詳しく知っておく必要はないんじゃないかと思うんですけどね。

まさに試験のための知識が出るといったところでしょうか。

過去10回の正解となった知識

  • 2019春 胎児が出生した場合は遺族基礎年金の対象となる子となる
  • 2018秋 配偶者が受給する場合の年齢要件はない
  • 2018春 納付猶予制度の適用を受けている期間中の死亡でも対象となる
  • 2017秋 胎児が出生した場合は出生月の翌月分から支給され、死亡時まで遡らない
  • 2017春 納付猶予制度の適用を受けている期間中の死亡でも対象となる
  • 2016秋 胎児が出生した場合は出生月の翌月分から支給され、死亡時まで遡らない
  • 2016春 納付猶予制度の適用を受けている期間中の死亡でも対象となる
  • 2015秋 年金額は納付実績にかかわらず一定額である
  • 2015春 胎児が出生した場合は出生月の翌月分から支給され、死亡時まで遡らない
  • 2014秋 年金額は納付実績にかかわらず一定額である
  • 2014春 胎児が出生した場合は出生月の翌月分から支給され、死亡時まで遡らない

2015秋までは交互の知識が正解となっていました。

  • 春 胎児が出生した場合は出生月の翌月分から支給され、死亡時まで遡らない
  • 秋 年金額は納付実績にかかわらず一定額である

ところが、2016春からは

納付猶予制度の適用を受けている期間中の死亡でも対象となる

という知識が割り込んできて、

  • 春 納付猶予制度の適用を受けている期間中の死亡でも対象となる
  • 秋 胎児が出生した場合は出生月の翌月分から支給され、死亡時まで遡らない

というルールに変化しています。

なかなかおもしろい傾向を示していたのですが、2018秋はまた違ったものが正解に。

こういうものは困ります。

出題傾向から年金制度を考える

これまで交互に正解とされてきた2つの知識に新たに加わった納付猶予に関する知識、年齢要件に関する知識を解説してみましょう。

胎児が出生した時点で年金権が生じる

胎児が出生したというのはそもそも何が問題なのか。

それは死亡時には子がいないということ。

子がいなければ誰も遺族基礎年金をもらえません。

”いやいや、お腹の中に子がいるじゃないか”

と思うかもしれません。

が、お腹の子は民法上は”人”ではありません。”人”で無ければ様々な権利を享受できません。

ですのでこの原則を貫くとたまたま胎児だったというだけで残された遺族が保護されない。

そこで、

そのような子は死亡当時に生計維持していたとみなすことにして、”人”となった出生時に年金の権利が生じることにしているわけです。(そして、権利が生じたらその翌月分から支給開始)

年金が遡れるのは権利が生じたところまで。

ですので、子が存在しない死亡時まで遡ることはありません

例えば、サラリーマンの夫が亡くなった場合、

遺族厚生年金は子の有無に関係なく妻に生じますから、遺族厚生年金だけが先行して権利が生じることになります。

そして、胎児が出生したと同時に妻と子のそれぞれに遺族基礎年金が生じます(下図の上段)。

夫が亡くなったところまで遡らないわけですね。

胎児が出生すると年金の対象者となる

(クリックで拡大)

下段はおまけです。

65歳で老齢厚生年金が生じた際に、胎児がいた場合、先行して配偶者分の加給年金額が加算されて、その後に子供分の加給年金額が加算。

ですので、高さが途中で高くなっている。

という図です。

老齢と遺族年金は権利が生じた当時の家族の状況を保障します。

その当時にいない人に関してはその後に家族になっても対象にしないわけですが、胎児だけは例外にしています。

では、障害年金は?

障害年金だけは権利が生じたあとでも、家族が増えさえすれば加算の対象になりますから、権利が生じた際の胎児のことは考える必要ないですね。

(下に続きます)

納付の実績に関係なく、一定の年金額が保障される

遺族基礎年金は母子家庭や父子家庭、孤児を保護するという趣旨。

そのため、亡くなった人に滞納が多かったとしても、年金額は一定(老齢基礎年金の満額)にして生活保障になるようにしている。

ただし、きちんと納めていなければ、年金をもらうための条件を満たせない可能性があります。

死亡日の前日における納付要件を判定されますから。

条件を満たしたならば、”金額”はまともな保障になるようにしているわけです。

保険料が猶予されていても被保険者であることに変わりはない

遺族基礎年金が支給されるのは大きくわけて2つ

  • 被保険者が死亡した
  • 老齢基礎年金の受給権者が死亡した

被保険者は年金制度加入中なわけですから、当然保障を受けられます。

ただ、

国民年金の第1号被保険者の場合は、被保険者であっても、

  1. 保険料を納めている
  2. 保険料を免除・猶予されている
  3. 保険料を滞納している

という3つのパターンがありえます。

これら3つのパターンどれに当てはまっても、被保険者であることに変わりはないので”被保険者死亡”という条件は満たせます。

(もちろん、これまでの加入期間のなかで3の期間が多ければ保険料納付要件でハネられてしまいますけど)

出題では、50歳未満の納付猶予制度を使っている時に死亡したらNGという出題がされます。

そんなことはないですね。

配偶者が受給する場合は年齢問わず

2018秋にはこの点が正解になったので整理しておきます。

2019春も肢の一つとして並んでいました。

さて、

遺族基礎年金は子のある配偶者または子が受給できます。

ここにおける”配偶者”は夫でも妻でも良いのですが、年齢要件はありません。

配偶者でも”夫”の場合は55歳以上であることの年齢要件がありますが、それは遺族厚生年金の話です。

遺族基礎年金は旧法時代の母子年金が起源であり、福祉的な要素が強いので夫であっても(配偶者でありさえすれば)年齢を問わないと理解しています。

今回はこれが答えになる!

正解のサイクルがわかっているおもしろ問題だったんです・・。

  • 春 納付猶予制度の適用を受けている期間中の死亡でも対象となる
  • 秋 胎児が出生した場合は出生月の翌月分から支給され、死亡時まで遡らない

そこで前回は、

シモムー
春は”納付猶予制度”

と予想したのですが惨敗。

今度の2019秋試験はどうかと考えると、2回連続で胎児の論点が正解になるとは思えません。

しばらく正解になっていない2つに注意。

  • 年金額は納付実績にかかわらず一定額である
  • 納付猶予制度の適用を受けている期間中の死亡でも対象となる

胎児の論点以外が正解になりそうだと予想しておきます。

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