過去の出題傾向からシモムーの感想
難問です。正しいものの個数を答えないといけないからです。
私の中では技能応用問題の中で2番目の難しさです(1番は技能応用の最初の問題)。
実はホントに苦手にしている問題でして、20回以上受験していている現在もたまにミスしてしまいます。
ですから1肢1肢を神経を研ぎ澄ましての検証が欠かせません。
当然のことながら時間が掛かります。
それでいて肢の正誤を1つ間違えたらこの問題全体が不正解。
時間が掛かる割にはリスクが大きく、コスパが圧倒的に悪いです。
個数問題の難しさを覚悟して丁寧に検証することが求められます。
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ここ注目!ここがポイントだ!
難問は後回しが鉄則
こういった時間がかかる問題はいきなり最初に解かない。
飛ばして後回しにすることが大事です。
順番通りに解けなんて注意事項に書いてないです。
他の問題を終えて時間と心の余裕ができてから取り組むのがミスをしないための鉄則です。
「取り組むときに時間がなくなっていたらどうするんですか?」
いーーんです。
時間かけてやっても間違う可能性があるんですから、同じ間違えるならラクして間違えた方が良い!
「難問は頭がクリアーなうちに最初に取り組むのが鉄則」
なんて言う人がいたら、試験対策を全くわかっていない素人です。
難問は後回し
これが私が毎回結果を出し続けるスタンスです。
試験時間2時間ですからコスパの悪い問題への対応力が問われます。
前半:在職老齢年金のポイントは「賞与」だ!
賞与の支給時期がハッキリわかる図解をする
この問題のポイントは何と言っても賞与にあります。
いつもらった賞与なのか
図に起こしながら正確に把握をしていきます。
私の図解のルールをまとめてみたので参照してください。
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解法テク7 年金アドバイザー試験のためのミスしないための在職老齢年金の図の起こし方|みんなのねんきん
どんなテクニック? 在老問題で正解を導くために絶対に外せないこと。 それは図を正確に書いて賞与がいつ支払われたかを把握することです。 私がこれまで長年の受験経験から培った これなら間違えない 図の起こ ...
賞与の上限に注意
2019秋と2020春(模擬)は賞与が上限を振り切っている設定で出題がされています。
つまり、
支給された賞与は標準賞与額に変換した上で総報酬月額相当額を算出しますが、そこで引掛けを作っているわけです。
これまで出題されたのは、「180万円」。
これを上限である”150万円”に変換しないといけません。
180万円の場合も12で割ると、割り切れるので何の不信感も持たずに引っかかってしまうわけです。
被保険者期間中の賞与でなければ対象にならない
2020秋はこれまで見たこともない意地悪な設定で出題がありました。
前職を退職後、1ヶ月程度の空白期間があり、その後再就職しているというもの。
この空白期間は被保険者期間ではないため、仮に賞与が支給されていてもカウントしてはいけません。
2022秋、2023秋、2024秋も似たような設定で出題がありました。
低在老なら長期加入特例で出る
低在老の状況で出題される場合、”長期加入特例”の状況で出題されるのが普通です。
念のため、長期加入特例は、厚生年金の被保険者期間が528ヶ月(44年)以上で特老厚を受給すると、報酬比例部分と一緒に定額部分、加給年金も支給される特例です。
ただし、忘れてはいけません。
厚生年金保険の被保険者でないこと
が要求されます。
この点、このテーマの問題は在職老齢年金。
厚生年金の被保険者になっているからこそ、在職老齢年金が問題になるわけです。
特例に該当する人が厚年被保険者になったらその瞬間、報酬賞与の金額に関係なく、定額部分は全額停止です。
もちろん加給年金額の加算もありません。
とすれば、基本月額で引っ掛けを作るのが必定。
選択肢に載っている基本月額は間違っている可能性が高いと思って検証します。
高在老の出題で気をつけたいこと
2020秋、2021秋、2022春、2023秋、2024秋は高在老の計算問題でした。
継続雇用の時代を反映して、今後は高在老の設定がスタンダードになるかもしれません。
気をつけたいことを列挙します。
- 基本月額は報酬比例額だけで考える(「加」が入る加算は除くと覚える)
- 48万円(毎年度変わるため2024年度は50万円)を超えたら超えた額の半分が停止
- 報酬比例額が全額停止にならなければ加給年金は全額加算
その他のボーナスの注意点は低在老と同じです。
後半:雇用保険からの給付金問題
過去10回のこれまで正解になった知識を分析してみます
- 2024秋 高年齢求職者給付金 離職前6ヶ月間の賃金を基礎とする
- 2024春 継続給付 60歳到達時の賃金と比較して75%未満の賃金なら支給される
- 2023秋 高年齢求職者給付金 基本手当日額の計算の基礎に賞与は入らない
- 2023春 継続給付 60歳到達時の賃金と比較して75%未満の賃金なら支給される
- 2022秋 継続給付 賃金と基本給付金の合計額の上限額は40万円未満
- 2022春 高年齢求職者給付金 基本手当日額の計算の基礎に賞与は入らない
- 2021秋 高年齢求職者給付金 給付額は基本手当日額の50日分である
- 2021春 継続給付 基本給付金受給による年金停止額
- 2020秋 高年齢求職者給付金 給付額は基本手当日額の50日分である
- 2020春(模擬)継続給付 基本給付金は65歳到達月まで支給される
最近の出題から、高在老の場合は、高年齢求職者給付金がセットになっています。
雇用継続給付(基本給付金)のよくある正解3つ
最初に高年齢雇用継続基本給付金(”基本給付金”と略します)の正解を分析します。
よく正解となるのは次の3つ。
- 75%未満の賃金なら支給される
- 基本給付金は65歳到達月まで支給される
- 基本給付金の額、受給による年金停止額
1は「61%未満」として誤りを作ります。
75%未満であればちょこっとでも支給され、61%未満だと最大の給付率となります。
2は「70歳」として誤りを作ります。
3は以下の知識を知っているかの引っ掛けです。
- 雇用継続給付金は賃金×15%
- 年金停止は標準報酬月額×6%
賃金を使うか、標準報酬月額を使うか、見極めはそこだけです。
同じ給料でも、
雇用保険は「賃金」を使い、厚生年金は「報酬→標準報酬月額」を使うので、取り違えると答えが変わります。
試験では給与月額と標準報酬月額を必ずズラした金額にしますから、注意してください。
また、賃金と基本給付金の合計には上限があるという出題もあります。
支給限度額というものです。
もし、上限に引っかかってしまうと、上限から賃金を引いた差額が基本給付金となり、賃金の15%分ではなくなってしまいます。
2019秋は「標準報酬月額」と基本給付金の合計に上限ありとの出題。
合計するのは”賃金”ですので使われている言葉にも注意です。
え?15%の受給ではない?
2022秋は史上初、賃金×15%で受給しないケースが出ました。2023春も同様です。
継続給付は賃金が60歳到達時賃金と比較して75%未満であれば受給でき、さらに61%未満となると最大の給付率15%となります。
75%未満から61%までの間は15%未満の細かい給付率となり、これは覚えられないのでいつも最大の15%となる問題だったのです。
ところが、2022秋は賃金低下率65.8%と最大給付率15%にならないケースが出たのです。
継続給付が出た場合は、まず、賃金が61%未満となっているか、そこを確認する必要があります。
ちなみに、賃金が61%未満でなければ、停止となる年金額も標準報酬月額の6%とはなりません。
この点も注意です。
高年齢求職者給付金のまとめ
以下の要素でこの給付金をまとめてみます。
- 条件:離職前の1年間に通算して6ヶ月以上の被保険者期間がある
- 金額:基本手当日額の50日分(被保険者期間1年未満は30日)、基本手当日額の計算の基礎に賞与は入らない
- 期間:1度きりの一時金で受取り、要件満たせば再受給可能
- 調整:老齢厚生年金との調整はない
これまでの出題は”金額”で正解を作るケースが多数。50日分は要暗記です。
2022春、2023秋は基本手当日額の計算式が正解になりました。年金ではなく、雇用保険法の知識なので難解だったはず。
基本手当の日額は離職直近6ヶ月から1ヶ月平均の賃金を計算するのですが、賞与は入りません。
2024秋は6ヶ月を「3ヶ月」として出題。
辞める直近半年の賃金で算出します。
今後も高在老の出題なら、この高年齢求職者給付金がセットになるはずなので、過去の出題実績は確実に押さえます。
まとめます
コスパの低いこの問題。
個数問題は近道がないので、丁寧に解くしか方法はありません。
心構えは1つ。
最初に解かない!後回し!
在老のポイントは5つ。
- 賞与の支給時期がハッキリわかる図解をする
- 標準賞与額の上限150万円に注意する
- その賞与は被保険者期間中に支給されているか?退職のタイミングに注意
- 停止額か受給月額かをハッキリさせよ
- 低在老も高在老も基本月額に注意(含まれないものを把握せよ)
基本給付金のポイントは4つ。
- 60歳到達時の賃金と比較して61%未満となっているか?なっていなければ以下の15%・6%は無関係
- 基本給付金の額:賃金×15%(61%未満の低下の場合)
- 基本給付金支給期限:65歳到達月まで
- 基本給付金受給による年金の停止:標準報酬月額×6%(61%未満の低下の場合)
高年齢求職者給付金なら4要素に注意
- 条件:離職前の1年間に通算して6ヶ月以上の被保険者期間がある
- 金額:基本手当日額の50日分、基本手当日額の計算の基礎に賞与は入らない
- 期間:一時金で受給、要件満たせば再受給可能
- 調整:老齢厚生年金との調整はない
どうも私はこのテーマは苦手なんです。
2級でも後回しにしますし。
悔しいことに2018秋、2020秋、2021秋、2023秋はじっくり考えたのにミス。
どんな人にも相性の悪いテーマがあると思います。
そういったものはあとで時間を作って、ゆっくり落ち着いて解くことが鉄則です。
シモムー
みんなのねんきん主任講師