【2024秋最新版】年アド3級 技能応用 経過的な繰上げ支給の老齢厚生年金 3手で詰める計算式の消去のコツ|みんなのねんきん

2018年10月23日

シモムー

みんなのねんきん主任講師

過去の出題傾向からシモムーの感想

特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分を繰上げるという話です。

しかし、難しい話ではありません。

ポイントになるのは経過的加算の扱い

図を交えながら計算のポイントを解説していきます。

名前が長いので”繰上げ老厚”と表記します。

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ここ注目!ここがポイントだ!

繰上げ老厚の事例はいつもだいたい同じ

よく出る出題形式は”計算式の選択”問題。

正しくない箇所を消去していけばいいだけ。

また、

2022年4月から繰上げ時の減額率が0.4%と変わりました。

数字が変わる人は昭和37年4月2日以降の生まれの人。

2022秋、2023秋は「昭和36年」生まれの人で0.5%で計算しなければいけない人による引っ掛け問題でした。

生年月日に注意です。

繰上げ老厚の考え方を理解する

架空の事例を作ってみましたのでこの内容に沿って解説していきましょう。

事例

X子さん(昭和37年4月5日生まれ 女性 63歳から報酬比例額の支給開始)

加給年金加算の対象となる夫(昭和40年8月19日生まれ)と2人暮らし。

60歳に達した日に定年退職して繰上げ請求。当時の年金見込額は次のとおりだった。

  • 63歳からの報酬比例部分が1,200,000円
  • 65歳からの老齢基礎年金は780,000円
  • 経過的加算300円

設問

Xさんは60歳0か月で老齢厚生年金を繰上げ請求しているが、1年間に受給できた老齢厚生年金の年金額はいくらか?

解説

【みんなのねんきん】経過的な繰上げ支給の老齢厚生年金の考え方

(タップで拡大)

まず、Xさんは報酬比例部分相当の老齢厚生年金(A)を本来であれば63歳から受け取ることになります。

(B)の経過的加算と(C)の老齢基礎年金、加給年金額の加算は65歳からとなります。

そして、

この繰上げは本来の支給開始年齢に達するまでに請求しないといけません。

このケースでは63歳に達するまでに請求すること。

誤りの作り方は、

65歳に達するまでに

という形がお決まりのパターンです。

いつまでに請求できるか判定できるようにします。

報酬比例部分は繰上げた月数で減額

(A)は本来63歳から支給されるところ、60歳0カ月で繰上げたため、36カ月繰上げた減額率で計算します。

報酬比例部分(A)の減額分:1,200,000円 × 36カ月 × 0.4% = 172,800円

昭和37年4月2日以降の生まれなので以下、0.4%を使います。0.5%なのか0.4%なのか、生年月日に注意してください。

経過的加算も繰上げの対象となるが見た目の減額はない

経過的加算(B)も併せて繰上げ時から支給されます。

(B)は本来65歳から支給されるところ、60歳0カ月から繰り上げるため、60カ月繰上げた減額率で計算します。

経過的加算(B)の減額分:300円 × 60カ月 × 0.4% = 72円

ここで、ポイントになるのは、経過的加算です。

経過的加算は見た目そのままの金額が加算されるが、繰上げによる減額の影響は受けている

ことになります。

ここが大きなポイントです。

正解

60歳からの報酬比例部分(A):1,200,000円

60歳からの経過的加算(B):300円

(A)と(B)の減額合計:172,800円 + 72円 = 172,872円

繰上げ後の老齢厚生年金:1,200,000円 + 300円 ー 172,872円 = 1,027,428円

計算式の引掛けは3つ

以上の考え方をもとに計算式の引掛けポイントはこの3つです。

  1. 減額率は0.5%か0.4%か
  2. 経過的加算の加算がない
  3. 繰上げの月数が異なっている

1は繰り返しになりますが昭和37年4月2日以降の生まれかどうか、この判定だけで0.4%か0.5%か分かれます。

2も繰り返しますが、経過的加算は繰上げによる減額の影響を受けますが、見た目は加算があるので、加算が無いものは即消去。

このテーマは報酬比例部分が60歳代前半で少しでも貰える人の繰上げ。

とすれば、3は報酬比例部分の繰上げ月数と経過的加算の繰上げ月数は同じになるわけがない

まとめましょう。手順としては

  1. 生年月日の判定で0.4%か0.5%かいずれかを消去
  2. 経過的加算の加算が無いものは消去
  3. カッコ内の繰上げ月数が同じものは消去

以上の3手で詰めます。

老齢基礎年金の繰上げのポイントはたった1つ

老齢厚生年金を繰上げた場合、老齢基礎年金の年金額はいくら?という出題もあります。

上と同じ事例で解説してみましょう。

設問

Xさんは60歳0か月で老齢厚生年金を繰上げ請求しているが、1年間に受給できた老齢基礎年金の年金額はいくらか?

解説

報酬比例部分(A)を本来の支給開始年齢より前に繰り上げた場合は老齢基礎年金(C)も必ずセットで繰上げる必要があります。

それを知っていれば簡単。

この場合の(C)は60歳時に繰上げ請求する処理します。

正解

老齢基礎年金(C):780,000円 ー(780,000円 × 0.4% × 60カ月)= 592,800円

中途半端な月の繰上げに注意する

かつては、「60歳に達した月に繰上げた場合」という具合に、パッと見て、”あぁ、60カ月繰上げね”という出題でした。

今は計算しないと繰上げた月数がわからないような問題となっています。

例えば、”令和○○年12月中に請求した”という形です。

面倒ですが、繰上げた月数を確実にカウントできるようにしないといけません。

今後もこの形での出題が標準になるはずですから、正確に思い出せるようにしてください。例の新幹線の図です。

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繰上げ後の注意

繰上げ請求後の注意として、以下の知識が出題されています。

  1. 加給年金額の加算は65歳になってから
  2. 繰上げ請求後65歳になる前に初診日がある傷病でも障害基礎年金は受給不可能
  3. 繰上げ請求後に厚生年金の被保険者になると繰上げ老厚も在職老齢年金の調整対象になる
  4. 繰上げ請求後65歳からの老齢厚生年金は繰下げできない

単に正誤判定するだけですから確実に押さえておきます。

2023秋は4で正解となりました。

2022春は1で正解となりましたが、夫は年上なのでそもそも加算は無いという正解でした。

加算される時期が問われているかと思いきや、実は問題はそこではないという他のテーマでも見る最近のひっかけです。

まとめます

経過的な繰上げ支給の老齢厚生年金と老齢基礎年金。

前提として2つのテクニックをマスターしておいてください。

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そのうえで、以下の2つのポイントを意識して計算式に対応できるようにしてください。

  • 老厚のポイント:繰上げによる減額分には経過的加算の減額を含んでいるが、経過的加算自体の見た目の減額はない
  • 老基のポイント:老厚の繰上げ請求と同時に請求しなければならない

計算式の正解を導く手順としては

  1. 生年月日の判定で0.4%か0.5%かいずれかを消去
  2. 経過的加算の加算が無いものは消去
  3. カッコ内の繰上げ月数が同じものは消去

以上の3手。

考え方さえわかっていれば難しくはないはずです。



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