何が出題されている?
出題形式:誤っているものを選択
厚生年金の被保険者になるかならないか。
主に2つの視点で出題がされます。
- 社長は被保険者になるのか
- 短期間雇用の場合はいつから被保険者になるか
5つの肢のうち、この2つの知識に関係したものは3から4肢にものぼり、これらが理解できれば必ず得点できる問題です。
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過去10回の正解となった知識
- 2024春 臨時的事業の事業所に継続して6カ月を超えて使用される見込みの者は当初から被保険者になる
- 2023秋 短時間労働者が常時雇用者の週の所定労働時間・月の所定労働日数の4分の3以上となると被保険者となる
- 2023春 2ヶ月を超えて使用される見込みであれば最初から被保険者となる
- 2022秋 個人事業所の事業主は被保険者にならない
- 2022春 適用事業所に使用される70歳以上の者は被保険者にならない
- 2021秋 法人事業所の代表者は被保険者になる
- 2021春 臨時的事業の事業所に継続して6カ月を超えて使用される見込みの者は当初から被保険者になる
- 2020秋 賃金月額が8.8万円以上あると短時間労働者も被保険者
- 2020春(模擬) 法人事業所の代表者は被保険者になる
- 2019秋 臨時的事業の事業所に継続して6カ月を超えて使用される見込みの者は当初から被保険者になる
正解となった知識を分析すると、
- 社長は被保険者になるのか
- 短期間雇用の場合はいつから被保険者になるか
- 短時間労働者の被保険者要件
となっており、3つの論点を押さえれば得点できます。
出題傾向から年金制度を考える
- 社長は被保険者になるのか
- 短期間雇用の場合はいつから被保険者になるか
- 短時間労働者への適用拡大の要件
3つの知識を整理していきましょう。
社長は社長でも個人経営か法人経営かで異なる
個人事業の社長は被保険者になりません
社長は事業主なんですから労働者を保護する厚生年金の趣旨に合いません。
従業員が5人だろうと10人だろうと100人だろうと、なれないものはなれない。
逆に法人の社長はどうでしょう。
大丈夫。被保険者になります。
あくまで事業の主体は法的に認められた人たる”法人”です。
社長はそこの代表者に過ぎない。
また、
労働の対償として(厳密には労働者ではないのですが)、社長はその法人から報酬を受け取ります。
従って、被保険者になるという解釈をされています。
2020春(模擬)、2021秋、2022秋はこの知識が正解となりました。
2018秋、2019春秋、2021春、2022春、2023春は正解では無いものの、肢の1つとして登場しています。
この社長に関する知識は定番ですので確実に押さえます。
短期間で働く労働者のポイント
短期間での雇用の場合、いつから厚生年金の被保険者になるか。
最初から?
途中から?
厚生年金制度ではそもそも、臨時で働く労働者を保護の対象にしません。
長期で働くわけではない者は保護に値しないという考え方です。
老後の年金が長期に渡って保険料を拠出した結果として受け取るものであることを考えると、対象外にするのも理解できます。
では、そもそも臨時で働くことを想定した短期間雇用者が結果的に長く働くとどうなるか。
そこで問題になるのが”いつから”被保険者になるかということ。
以下の2つの場合を整理です。
- 2カ月以内の期間を定めて使用される→延長して働くことになった→約束の期間を超えたところから被保険者
- 臨時的事業所に使用される→でも、最初から6カ月を超えて働く見込み→当初から被保険者
実は短期間雇用に関するものはこの2つしか出ていませんでした。
ところが、2022春では史上初
日々雇入れられる者→延長して働くことになった→1ヶ月を超えたところから被保険者
という知識が出題されました。銀行窓口担当者がここまで理解する必要あるのか?と疑問に思いますが、出題されたものは仕方なし。念のため頭にいれておきます。
2023秋で再び出題がありました。
2022年10月施行の改正
上のポイントで指摘したとおり、2ヶ月以内の期間を定めて働く場合、最初から延長することがわかっていても、約束の期間を超えたところからしか被保険者になれませんでした。
そこで、
2ヶ月以内の契約 最初から超える見込みなら最初から加入する
という改正が行われました。
つまり、契約によっては最初から厚生年金の被保険者になるケースもあるので注意です。
早速、2022秋に肢の一つとして登場。
2023春は正解に。2023秋、2024春も引き続き登場しています。
短時間労働者の加入要件
特定適用事業所の場合
短時間労働者が社会保険に加入するためには以下の4つの要件を全て満たす必要があります。
数字に注意して1つ1つ理解です。
例えば、
2020秋は「9.8万円」として誤りとなっています。
”4”は2024年10月から100人から50人と範囲が拡大されたのでこの点も注意です。
- 週の所定労働時間20時間以上
- 賃金月額8.8万円以上
- 学生でない
- 常時50人を超える被保険者を使用する企業(特定適用事業所)に勤めている
特定適用事業所でない場合
上のケースは従業員の規模がある程度大きい企業の場合です。
それでは、50人以下の企業で短時間労働者は絶対に社会保険に入らないかといったらそんなことはありません。
常時雇用されている労働者と比較して週の労働時間、月の労働日数が4分の3以上になってくると社会保険に入ることとなっています。
2023秋で初めて登場。2024春も並んでいました。
被保険者の年齢要件・国籍要件
厚生年金の被保険者になれるのは70歳に達するまでです。
2019春、2022春では、
65歳以上の者は、被保険者とならない
として正解になりました。
2021秋では、
国籍にかかわらず
として出題。
当然、国籍は関係なく被保険者になります。
法律又は会計事務所の改正
2022年10月改正には適用事業所についてもう1つ改正があります。
法律又は会計事務所が常時5人以上の従業員を雇う場合は強制的に社会保険に入る事業所になる
というもの。
もともと法律会計関係の事務所は従業員の人数に関係なく適用事業所にならなかったのですが、これを改正したというもの。
2024春で初めて登場しました。
ただし、
事務所の所長である個人事業主は上で解説したとおり、被保険者にはなりません。
常時5人以上の従業員を雇うならその従業員は社会保険に入ることになりますが、依然として個人事業主は被保険者にならないのです。
混乱しないよう注意です。
今回はこれが答えになる!
- 事業主は被保険者になるのか
- 短期間労働者の場合はいつから被保険者になるか
- 短時間労働者はどのような場合に被保険者になるか
この3つは外せない。
社長のポイントは2つ
- 個人事業の社長はどんなに従業員がいても被保険者にならない
- 法人の社長は被保険者になる
短期間雇用の場合は2つ。
- 2カ月以内の期間で約束したなら、その約束期間が過ぎたところから被保険者になる。最初から2ヶ月超の見込みなら最初から
- 臨時的事業の場合は当初から6カ月を超える見込みなら当初から被保険者になる
短時間労働者の場合は、
- 4要件の数字に着目
- 全ての要件を満たさないと加入できない
- 特定適用事業所でなければ正社員の4分の3以上の働き方なら加入
社長、短期間雇用、短時間労働者
この3つを押さえておけば攻略できるので敢えて予想せずにどれが並んでいても正誤を判定できるようにしておきます。
シモムー
みんなのねんきん主任講師