出典記事が発表された日:2016年03月31日
どんなニュース?簡単に言うと
平成28年度が幕を明けました。今年度の年金額が一体いくらになるのか、毎年度の改定の結果を解説します。今回は国民年金について。納める保険料ともらえる年金額をみていきます。
スポンサーリンク
どんなニュース?もう少し詳しく!
平成28年度が始まりました。
新年度、明けましておめでとうございます。
年金の世界ではこの4月を境に色々な年金上の金額が変わります。
納める保険料の金額が変わりますし、受け取る年金額が変わります。
受け取る年金額については、以前の記事で「2016年度は年金額が据え置き」ということはお伝えしました。
-
2016年度の年金額は現状維持で確定!|みんなのねんきん
どんなニュース?簡単に言うと 2016年度の年金額は2015年度と同じで確定しました。どんな仕組みで年金額を決めているか。物価と賃金の関係によるその仕組みを解説してみます。 どんなニュース?もう少し詳 ...
では具体的にいくらなんだ?ということを国民年金と厚生年金の2回に分けてお伝えしていきます。
今回は国民年金に関する金額を「納める」「もらう」に分けてみていきます。
国民年金の金額 「納める」
国民年金の保険料は670円アップ
国民年金の保険料を納めるのは自営業者等の第1号被保険者です。
その第1号被保険者が納める保険料は月額16,260円。
2015年度と比べて670円もアップします。
うわーって感じですね。
そもそも、
国民年金の保険料は元々決まっている金額に保険料改定率なるものを掛けて出します。
元々決まっている金額とはこうです(金額は月額)。
平成25年度 | 15,820円 |
平成26年度 | 16,100円 |
平成27年度 | 16,380円 |
平成28年度 | 16,660円 |
平成29年度以降 | 16,900円 |
この表の金額で以上。ならわかりやすいのですが、ここ最近の物価や賃金の動きを反映させます。
具体的に今年度の保険料改定率は
平成27年度の保険料改定率(0.952)に平成26年の物価変動率(1.027)×実質賃金変動率(平成23年度から平成25年度の平均0.998)
で、出てきます。ちょっと難しいですね。物価の動きと賃金の動きが反映されるというのがわかると思います。
すると、≒0.976。
これを上の元々決まっている平成28年度の金額16,660円に掛けます。
16,660円×0.976 ≒ 16,260円/月
これが平成28年度の国民年金の保険料ってことになります。
ちなみに、
平成27年の物価変動率が1.008、つまり0.8%アップと比較すれば、26年(1.027)はだいぶ物価が上昇したんですね。
平成27年度の保険料改定率が0.952なのに今年度は0.976と上昇。
670円アップは物価上昇に大きな原因がありそうです。
まとめて先に納めると安くなる
保険料は翌月末日までに毎月納めるのが原則。
ところが、まとめて先に納めるとその分割引価格になります。
現金納付 | 割引額 | 口座振替 | 割引額 | |
毎月納付 | 16,260円 | なし | 現金納付と同じ | なし |
6カ月前納 | 96,770円 | 790円 | 96,450円 | 1,110円 |
1年前納 | 191,660円 | 3,460円 | 191,030円 | 4,090円 |
2年前納 | なし | 377,310円 | 15,690円 |
表にあるとおり、口座振替にして前倒しの期間が長いほど有利なんですね。
また、口座振替で納める場合は事前に手続きが必要です。
4月1日現在、2年前納・1年前納・上半期(4月分から9月分)の6カ月前納の申込みは既に間に合いません。
毎年2月末日で締め切ってしまうから。
下半期(10月分から翌年3月分)の6カ月前納のみ間に合います。2016年8月31日までです。
後から納めると割高になる
後から納める「追納」についても毎年度金額が変わるのでご紹介します。
追納は過去に保険料の免除や猶予を受けた期間に対して、10年前まで遡って納めることができる仕組みです。
この仕組を使えば、老後の国民年金の減額を防ぐことができます。
平成28年度中に追納する場合は平成18年度までの期間が対象となります。
また、追納する場合は加算額を併せて納めないといけません。
ただ、加算がされるのは平成25年度の月分以前になります。
平成26年度と27年度については、当時の額面のまま納めれば良いということです。
付加保険料は変わらない
国民年金の保険料にプラスして保険料を付加的に納めると、将来の年金額が増えます。
これを付加年金といいます。
付加年金をもらうためには付加保険料を納めないといけません。
月額400円です。
この付加保険料は年度によって変わりません。
どんなに本体の保険料が上がっても下がっても400円のまま。
分かりやすくていいですね。
この付加保険料も前納すれば割引価格になりますよ。
国民年金の金額 「もらう」
国民年金制度からもらえる3つの年金
国民年金制度からもらえる年金は基本的に3つ。
- 老後の年金=老齢基礎年金
- 障害時の年金=障害基礎年金
- 死亡時の年金=遺族基礎年金
これらの年金は「基本の年金額」と「加算額」の2つで構成されています。
基本の年金額は約78万円
基本となる本体の年金額はこんな計算式になっています。
780,900円×改定率
780,900円って何?この中途半端な金額。
この金額は平成16年の改正で決められた金額です。
決められたというよりも、たまたま改正の時にその金額になっていたというのが正しいかも。
今の年金制度が作られた昭和60年当時の年額600,000円から改定を繰り返し、平成16年時にはこの金額にたどり着いたいきさつがあります。
この年額780,900円に毎年度物価や賃金の指標をもとにした改定率を掛けるわけです。
物価を使うのか賃金を使うのかは以前の記事で解説したとおり。
具体的に平成28年度の改定率は
平成27年度の改定率(0.999)×物価 or 賃金
で出します。
今年度は例外的に前年度から据え置きなので、0.999×1となり、改定率は0.999。
結果、780,900円 × 0.999 ≒ 780,100円となります(100円未満の端数は四捨五入)。
ちなみに以前の記事でも書きましたが、ここから更にマクロ経済スライドによって年金額が減らされます。
ただ、年金額がプラスの改定にならないと発動しないので今年度は関係ありません。
この基本の年金額780,100円が老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金の本体部分となります。
子供がいると加算される
障害基礎年金と遺族基礎年金には子供がいると加算がされます。
この加算額も本体の年金額と同様、決まった金額に改定率を掛け算します。
224,700円×改定率
224,700円 × 0.999 ≒ 224,500円(100円未満の端数は四捨五入)となります。
配偶者がいると振替加算がある
老齢基礎年金だけには配偶者がいた場合に振替加算なる加算額があります。
これは経過的に加算するもので、いずれ全ての人がもらえなくなります。
子の加算と同様の224,700円を基準に生年月日によって金額が違います。
ちなみに、この振替加算は1円未満の端数を四捨五入して決定することになっています。
付加年金も金額は不変
月額400円の不変の付加保険料を納めると、
200円×納めた月数
の付加年金がもらえます。この金額は年額ですからね。
改定率をかけたり、マクロ経済スライドで減額することもありません。
わかりやすくて最高。
全てがこんな仕組みだったらありがたいんですけどね。
今回のニュースまとめ
今回のニュースは
- 国民年金制度で納める金額はいくら
- 国民年金制度でもらう金額はいくら
という内容でまとめてみました。
納める保険料は毎年度決まった金額に保険料改定率を掛ける。
もらう年金額は780,900円に改定率を掛ける。
要はこれだけのことなんです。
平成28年度の数字をまとめると以下のとおり。
- 国民年金の保険料額:月額16,260円
- 付加保険料:月額400円
- 基礎年金の基本の年金額:年額780,100円
- 子の加算:年額224,500円
- 付加年金:年額200円×納付月数
昨年度と同じっていうのはありがたい。
毎年変化するってやめて欲しいっていうのが私のホンネです。
覚えられないので。
1点、昨年度と違うのは端数処理の仕組みが変わったことに注意です。
これまでの年金額は最後に金額を確定させる時に100円未満は四捨五入で処理するルールでした。
ところが、1円未満を四捨五入にすることとなりました。
昨年度と計算式は同じなんですが、最後の端数処理によって年金額が若干変わりますからご注意ください。
さて、次回は厚生年金に関する金額をみていきましょう。
出典・参考にした情報源
厚生労働省発表資料、日本年金機構HPより
2016年5月29日追記
追納額について追記しました。
シモムー
みんなのねんきん主任講師