どんなニュース?簡単に言うと
毎年6月は新年度の年金が初めて振り込まれる月。合わせて関連の書類が届くことになっています。今回はこの時期に送られる通知の特徴や注意点を解説します。今回は通知の中身で注意すべき視点でまとめました。
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どんなニュース?もう少し詳しく!
前回紹介した6月に届く年金の通知。
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知ってます?6月に届く年金の通知書 これ何?いつ?誰に?編|みんなのねんきん
どんなニュース?簡単に言うと 毎年6月は新年度の年金が初めて振り込まれる月。合わせて関連の書類が届くことになっています。今回はこの時期に送られる通知の特徴や注意点を解説します。今回は通知が送られる理由 ...
今回は、通知の内容に踏み込んで中身の注意点を解説していきます。
具体的には、
- 年金額改定通知書の記載事項
- 年金振込通知書の記載事項
- 年金支払における端数処理の注意点
について。いってみましょう。
多くの場合は合体したハガキ形式で届く
年金の受給権が1つの方には、ハガキ形式になります。
その年金が6月15日に振込がある方には、振込通知書も記載された一体型のハガキで届きます。
2面を開く形です。下記の見本を参照してください。
ちなみに、
よくあるのが、このハガキの紙とのりの質が良くないので、開く途中で破けるのです。
また湿気ていると、確実に破れます。
破れた場合はどうするか・・・再発行が可能です。安心してください。
(再発行の注意は次回の記事で解説します)
年金額改定通知書に書かれていること
基本額
改定後の年金額が記載されます。基礎年金、厚生年金とも総額になります。
年金の種類により年金額に各種加算金等があればその額も含んだ総額です。
国民年金と厚生年金保険と項目がそれぞれ別に記載されています。
例えば、
年金の種類:障害基礎・障害厚生
年金コード:1350
障害基礎年金と障害厚生年金の2つの年金権あり
この場合は、
国民年金の箇所は障害基礎年金の金額
厚生年金保険の箇所は障害厚生年金の金額
となります。
いずれの年金額の記載であっても、改定後の金額が記載されています。
改定前(3月までの年金額)は記載されていませんから、いくらからいくらに変更になったかはこの通知ではわからないです。
支給停止額
基本額のうち、制度によりその年金の一部または全額が支給停止になっている場合に記載されます。
支給停止となる理由は多岐にわたりますので、この通知だけでは、停止額の理由はわかりません。
停止額に記載があると、「なんで支給停止だぁ」とお怒りになります。
理由がわからないのでお怒りになるのももっともだと思います。
年金額
基本額から停止額を差引いた、実際に支給される年金額です。
4月分からの年金の支給はこの金額で計算されます。
6月15日の支給は4・5月分の2ヶ月分ですから、年金額を6で割った額を受け取ります(円未満は切り捨てます)。
振込通知書に書かれていること
年金支払額
まずは、6月に届くわけですから左列に6月15日からの振込額が記載されています。
原則は、翌年4月の支払までの記載になります。
図では3列に分かれて記載されています。
これは、2015年度から3列になりました。
ここからわかることは、既に6月の時点であと2回、振込金額が変わる可能性が判明しているということです。
3列になった大きな原因は端数処理の仕組みが変わった関係なんです。
ややこしい端数処理の話
振り込まれる年金は、円未満があった場合は、その金額を切捨てます。
6回分の支払いで切り捨てた総額が1円以上ある場合は、翌年2月の支払でその分を加算します。
ただし、
端数の総額が1円に足りない部分は切り捨てられ、この分の補填はありません。
具体例で見ましょう。
例えば年額100万円の年金が決定されているとして、
年金額:100万円 ÷ 6 = 166,666.666・・円 ≒ 2月以外 166,666円
切り捨て総額:0.66・・円 × 6 = 3.99・・円 → 2月のみ 166,669円
切り捨て総額の「.99・・」の部分が、切り捨てのため補填が無いということです。
これは平成27年10月からの共済年金との一元化で改正されたものです。
2月の支払で円未満の加算がない場合は右端の列が全て*****でつぶされる記載になります。
そして、またまたややこしいのですが、
国民年金と厚生年金の両年金を受け取る場合、各年金額ごとに6で割って円未満が生じたらその額を切り捨てます。
制度が違うので別々に端数処理をするってことです。
すると、何が起きるか?
例えば、2つのA・B年金がそれぞれ50万だった場合。
AB各年金:50万円 ÷ 6 = 83,333・・円 ≒ 2月以外 83,333円
0.33円 × 6 = 1.98・・円 → 2月は83,334円
年間合計:各499,999円
AB合計受取額:999,998円
仮にAB合計で端数処理すると
100万円 ÷ 6 = 166,666.666・・円 ≒ 2月以外 166,666円
0.66円 × 6 = 3.99・・円 → 2月は166,669円
年間合計:999,999円
合算して端数処理するより切り捨てる額が1円多くなりました。
が、制度が違うので仕方ありません。
こんなこともあるわけです。
さて、結局のところ、
年金額改定通知書の年金額とぴったり同じ額が支払われる人と端数処理の関係で誤差が生じる人とが混在することになります。
これって不公平?といっても、制度としては仕方のないことなのです。
なお、
2月の年金支払が何らかの理由(停止、差止、保留等)でなかった場合は、端数分の支給はありません。
3月以降にずらして加算することもしません。
何としてでも2月の受取りはしないといけないですね。
メモ
このコラムを書いたのち、年金支給時の端数処理は年金機構のコンピューターで一定のルールで処理をしていることが判明しました。以下のコラムを参考にしてください。
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【解決済み】謎は解けた!年金受け取り時の端数処理 1円で悩んだその理由とは|みんなのねんきん
どんな事例?簡単に言うと・・ 年金の受け取り時には端数を切り捨てるというルールがあります。切り捨てた端数は合計して2月に加算されることになっています。ただ、端数が延々と続く場合に1円の違いが出ることが ...
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介護保険料等の記載
これは、65歳以上の受給者の場合で、年金から介護保険料を天引きするということです。
天引きを”特別徴収”といって、本人に代わって年金から徴収して、受給者の住所地の役所(介護保険の保険者)に支払うものです。
この制度は、受給者の住所地(原則は住民票の所在地)から、日本年金機構に特別徴収の依頼があった場合に行われます。
といっても、介護保険料はほとんどの方から特別徴収します。
また、
市町村が運営する国民健康保険の保険料(税)や原則75歳以上で後期高齢者医療制度の保険料も特別徴収します。
これらも介護保険と同様、各制度からの依頼に基づいて特別徴収します。
さらに、
特別徴収は社会保険の保険料だけではありません。
住民税の特別徴収もあります。
個人住民税の箇所に記載がある場合は、年金額のみの所得を基にして徴収すべき住民税が記載されます。
年金以外にも所得がある場合は、別途、役所から住民税の請求がされます。
振込通知書が再び届く場合
振込通知書に翌年4月15日までの金額の記載がない場合は、これから先、年金額が変更される予定があるということ。
その金額変更のタイミングがくる前の支給分までしか記載されません。
変更後の年金額をもとにした年金支給の前には、再度、振込通知書が届くことになります。
今回のニュースまとめ
今回のニュースは、
この6月に届く、年金額改定通知書と年金振込通知書について
- 年金額改定通知書の記載事項
- 年金振込通知書の記載事項
- 年金支払における端数処理の注意点
をまとめてみました。
これでも、ざっくりとした説明ですが、主なポイントだけなんです。
振込通知書に関することは実務上とてもややこしいものです。
ここまで記載した内容以外にも多岐にわたる制度が絡んできます。
年金実務が一筋縄でいかないのは、年金そのものが難しいというよりも、その年金に付随する各種制度や事務処理等がとても面倒だということです。
次回は、これら通知の再発行の注意点とここまで取り上げなかった雑多な無駄話を執筆予定です。
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知ってます?6月に届く年金の通知書 再発行と雑学編|みんなのねんきん
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シモムー
みんなのねんきん主任講師