年金ニュース

振替加算の支給漏れ原因をあの講師が詳しく分析してみた 第1回/全4回

投稿日:2017年11月9日 更新日:

出典資料が発表された日:2017年9月13日

どんなニュース?簡単に言うと

振替加算の支給漏れ事件が報道されたのは2017年9月のこと。あれから2カ月。今月11月には未払い分が支払われます。今回は支給漏れの原因について厚生労働省発表の資料からより詳しい原因をあの講師が分析する第1回です。

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どんなニュース?もう少し詳しく!

みんなのねんきん主任講師のシモムーです。

振替加算の支給漏れの報道があったのは9月。

早いもので今月11月には未払い分が支払われます。

この点、プレスリリースがあった時点で速報を記事でまとめたことがありました。

振替加算で600億円の支給漏れが発覚!急いで調べてみた

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振替加算で600億円の支給漏れが発覚!続けて調べてみた

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これらの記事では敢えて支給漏れの詳しい分析はしませんでした。

今回は、未払い分が支給されるこのタイミングで事件を詳しく分析することにしました。

と言っても、分析は年金実務に相当詳しくないと無理。

(ダメだ・・。私では荷が重い・・)

そこで、適任の方を探したところ・・。

年金行政での相談実務経験約10年の人が身近にいました!

みんなのねんきん上級認定講師の藤田先生が。

以下、大変長い分析になりましたので4回に分けて記事としました。

第1回は「日本年金機構と共済組合との情報連携が不十分」「システム処理に原因がある」について。

行ってみましょう。

最初に前提条件から

シモムー
藤田先生、ご無沙汰しています。今回は振替加算の支給漏れの分析よろしくお願いします。

 

藤田 ようシモ!最近、音沙汰無いと思ったらいきなり無茶振りだろう。

シモムー
すみませんでした。ちょっと忙しかったもので・・。手土産にこのような黄金色の饅頭をお持ちしておりますのでどうぞお納めください。

 

藤田 お主もワルよのぉ・・。では一つ、やってみるか。


みなさま。こんにちは。

みんなのねんきん上級認定講師の藤田です。

今回は、厚生労働省の発表資料にある「振替加算の総点検とその対応について」を基にして加算漏れが発生した経緯を説明します。

なお、厚生労働省の資料の内容は、一般的にはわかりにくいこともあるので、できるだけ簡潔に説明します。

資料には図解の部分もありますので、参考にしてください。

※参考 振替加算の総点検とその対応について

また、これから取り上げる事例の全てにおいて、

  • 夫:厚生年金、共済組合期間のいずれかが原則として20年以上ある
  • 妻:夫に生計維持されている、障害年金の権利はない、妻の厚生年金・共済組合期間が20年未満である
  • 平成27年10月の厚生年金と共済年金の一元化前の事象である

という前提で解説します。夫と妻が逆の場合も同じです。

事例1 日本年金機構と共済組合との情報連携が不十分

日本年金機構(以下「機構」)と共済組合(以下、「共済」)においては、お互いの情報を交換することになっています。

共済の年金情報は「共済組合データベース」に収録され、その情報を基に妻の老齢基礎年金に振替加算をシステム的に加算することになっていました。

振替加算を受ける妻の老齢基礎年金の情報には、夫に加給年金に関する情報が収録されていることがシステム的な加算の条件です。

今回の加算漏れの事象は、共済組合データベースに

  • 加給年金の加算情報がない
  • 加給年金加算の情報があっても加算終了の情報がない

という場合に起きています。

このような場合、手作業による個別の確認作業が必要です。

データベースの補正作業がされないままで支給漏れに至ったのがこの事例。

資料によれば対象者5.3万人、260億円の支給漏れということで最も多い支給漏れの原因となっています。

(下に続きます)

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事例2 システム処理に原因がある その1

  • 妻60歳で自身の厚生年金の支給決定がされた
  • その時、夫63歳で共済から年金を受給している
  • 夫は65歳から加給年金が加算される予定なので、現時点で加給年金はない

このような場合には、妻の年金記録には自動的に「夫に加給年金なし」と登録されます。

その後、夫は65歳になり、共済からの年金に加給年金が加算されました。

さらに、妻が65歳になって加算が終了したとします。

共済組合データベースで夫の加給年金の加算終了がわかった場合、機構のシステムは個別確認のためのリストを出力します。

なぜでしょう。

妻の年金記録には「夫加給年金なし」なのに、共済組合データベースは「夫加給年金終了」となっており、システムが「なんか矛盾してない?」となるからです。

したがって、リストを基に個別に手作業で確認し、振替加算の加算処理を行います。

仮に、夫が共済出身者でなければこのようなことは起きません。

例えば、夫が民間企業にしか勤めたことがなく、機構からのみの年金を受け取っていたとしましょう。

最初、妻の記録には「夫加給年金なし」と登録されても、あとから夫の加給年金の加算がわかると、「夫加給年金あり」と自動切り替えがされます。

その後に妻が65歳になれば、自動的に振替加算が加算されます。

夫が共済の年金受給者の場合は、その自動切り替えシステムがないのです。

このため出力されたリストで個別確認が必要となり、結果、支給漏れが生じました。

事例2 システム処理に原因がある その2

  • 夫:機構と共済から年金を受給している
  • 夫の機構からの年金に加給年金が加算されている
  • 妻:65歳になったので老齢基礎年金を受け取る

この場合、夫の加給年金は機構から支給されているので、自動連携がされそうです。

ところが、共済からの年金もある場合は、自動的に加算処理ができないという仕組みなんです。

この場合もリスト出力で個別確認をして加算処理をしていました。

このリスト対応に漏れがあり、本来加算すべき処理がされていないケースがありました。

結果、事例2の場合は対象者3.6万人、支給漏れ122億円となっています。

第2回に続きます

シモムー
こんな個別対応してたら支給漏れが生じるのは当たり前じゃないですか!

 

藤田 共済年金と機構の年金はもともと制度が別々だったから仕方がない面もある。

シモムー
にしても、納得いかないっす。
シモムー
ところで、藤田先生。まだ続きそうですか?

 

藤田 まだまだ続くよ。

シモムー
え〜大変長くなりそうなので、第2回に続きます。お楽しみに。

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藤田上級認定講師

藤田上級認定講師

日本年金機構の相談現場で10年以上研修講師を担当。見た目は派手だが実力は折り紙付。研修により指導した者の数は延べ1000人以上にのぼる

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