何が出題されている?
出題形式:誤っているものを選択
2020春(模擬)から毎回連続で出題中。
基本知識問題の最終盤に位置する定番のテーマとなりました。
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過去9回の正解となった知識
- 2024春 遺族給付金:遺族基礎年金受給者に支給される
- 2023秋 老齢給付金:4分の1免除期間以外の免除期間に対応する給付金の単価は同じである
- 2023春 老齢給付金:老齢厚生年金を繰下げ待機中でも老齢基礎年金を受給中なら支給される
- 2022秋 老齢給付金:老齢厚生年金を受給していても老齢基礎年金を受給中なら支給される
- 2022春 老齢給付金:老齢厚生年金を繰下げ待機中でも老齢基礎年金を受給中なら支給される
- 2021秋 遺族給付金:世帯全員の市町村民税非課税要件は無い
- 2021春 老齢給付金:世帯全員が市町村民税非課税でなければ支給されない
- 2020秋 老齢給付金:65歳未満では支給されない
- 2020春(模擬) 老齢給付金:定額給付ではなく、保険料納付済期間・保険料免除期間によって金額が変わる
- これ以前は出題なし
その内容を分析すると
- 老齢給付金の支給対象者 2肢
- 老齢給付金の支給額
- 障害給付金の支給対象者・支給額
- 遺族給付金の支給対象者・支給額
となっています。
初出題から数年が経過したのでようやく同じものが正解として登場するようになりました(赤字)。
分野としては老齢が3つ、障害・遺族が各1。つまり、3・1・1の出題が固まっています。
(2022春は総合的なものが1肢ありましたが、2・1・1でほとんど同じでした)
この配分で対策を立てていきましょう。
出題傾向から年金制度を考える
老齢給付金
支給対象者
まず、
老齢給付金は老齢基礎年金の受給者が支給を受けられます。
ここでいう「受給者」とは条文によると、
老齢基礎年金の受給権者であって当該老齢基礎年金を受ける権利について同法第十六条の規定による裁定の請求をしたもの
(出典:年金生活者支援給付金の支給に関する法律 第2条第1項)
となっており、老齢基礎年金の権利が生じて、かつ、裁定の請求(年金の支給を開始してほしいという請求)をして現に年金の決定を受けている人に限定しています。
とすれば、
繰下げ受給を希望して待機している人はまだ裁定請求をしていないので、この給付金の対象となりません。
この点、2021秋で出題がありました。
2022春、2023春、2023秋は
老齢厚生年金を繰下げ待機中の場合、
2022秋は
老齢厚生年金を受給している者は、
支給されない という出題でしたが、あくまで老齢基礎年金を受給していればOKです。
それでは逆に、
老齢基礎年金を繰上げた場合はどうでしょうか?
以下に要件を示す通り、「65歳以上」でなければ支給されないので、繰上げてもすぐには支給されないこととなります。
つぎに、
老齢基礎年金の受給者でもあっても全ての受給者が一律にもらえるものではありません。
具体的な対象者は老齢基礎年金の受給者で以下の3つを満たす人です。
- 前年の年金収入+所得額が所得基準額以下
- 世帯全員が市町村民税非課税
- 65歳以上
2020春(模擬)では2と3が出ました。
2021春は2について、「同一世帯の者の所得にかかわらず」という出題で誤り。
2022春、2023春、2023秋、2024春は2について、そのまま正しい肢として出題。
今後もこの中から繰り返し出題されることが予想されます。
老齢給付金の額
支給額は一律固定の金額ではありません。
月額5,000円を給付基準額とし、保険料納付済期間と保険料免除期間によって、人により異なります。
メモ
月額5,000円は法律に直接書かれている金額です。全国消費者物価指数をもとにして政令で改定することになっています。令和6年度は5,310円と読み替えることになっており、障害給付金・遺族給付金の給付基準額も同じです。
2020春(模擬)はこの点で、
定額の月額5,000円である
として、誤りとなりました。
つぎに、
2022秋、2023春、2023秋、2024春は計算式を理解しているかどうかの出題がありました。
ここで、老齢給付金の計算式は
- 納付済期間分:5,310円 × 納付済期間 ÷ 480
- 免除期間分:11,333円 × 免除期間 ÷ 480
1と2を合算したものとなります(免除期間分は昭和31年4月2日以後生まれ:67歳以下)
メモ
免除期間分の単価は令和6年度は67歳以下と68歳以上と2通りに分かれます。68歳以上の方は11,301円となります(これまでの出題から金額を厳密に覚える必要はありません)。
式を見ると、”2”の免除期間分の方が単価が高いのがわかります。
仮に1と2に同じ期間を当てはめると、保険料納付済期間よりも免除期間の方が単価が高いので”2”の方が高くなる、というのが2022秋の出題。
2023春は同じ期間において、半額免除期間と4分の1免除期間ではどちらが高くなるか?という出題でした。
4分の1免除期間のみは11,333円を5,666円に読み替えるため、半額免除期間の方が高くなる という結論です。
似たような出題で2023秋は半額免除期間と4分の3免除期間は後者が高くなるという出題で正解となりました(誤り:同じである)。
2024春も同じく半顔免除と4分の3免除の比較が出題されています。
数字を覚える必要はありませんが、計算式の中身と4分の1免除期間に注意します。
障害給付金・遺族給付金
支給対象者
まず、
支給対象者は老齢給付金と同じく全員一律ではありません。
具体的には以下のとおり。
- 障害基礎年金、遺族基礎年金の受給者
- 前年の所得額が扶養親族の数に応じて政令で定められた金額以下である(障害・遺族どちらも同じ)
つまり、老齢給付金と同じく本人の所得が一定水準より高いともらえないというものです。
ただ、所得の基準は老齢給付金とは異なります。その点2020秋で出題がありました。
メモ
対象になるための所得額の基準は、政令によれば、4,721,000円(扶養親族無しの場合)となっています。この金額も覚える必要はないでしょう。
2021秋は遺族給付金について、
世帯全員の市町村民税が非課税であることが必要
という出題がありました。
それは老齢給付金だけの要件であり、この障害給付金・遺族給付金には市町村民税非課税の要件は無いことに注意です。
2023秋にはちょっとひねった出題で
中高齢寡婦加算が加算された遺族厚生年金の受給者には支給されない
というもの。
遺族厚生年金と遺族基礎年金は併給されますが、中高齢寡婦加算が加算されているということは、遺族基礎年金が失権しているか、もともと遺族基礎年金がないかを意味します。
とすれば、遺族厚生年金を受給しているだけでは遺族給付金は支給対象外となります。
これは難易度が高いものの面白い出題でした。
2024春はこの点、「支給される」として誤りで正解に。遺族基礎年金受給者が対象になることを押さえます。
障害給付金の額
月額5,000円の給付基準額は老齢給付金と同じです。
ただ、等級による違いが。
1級になると基準額の1.25倍となります。障害年金と同じですね。
メモ
令和6年度の給付基準額は月額5,310円なので、1級は6,638円です。
遺族給付金の額
月額5,000円の給付基準額は老齢給付金と同じです。
子が受給する場合は複数人が受給する場合があるので頭数で割った金額をそれぞれが受け取ります。
ただし、遺族基礎年金の場合は本体額に子の加算を考えた上で頭数で割りますが、この給付金では子の加算という考え方がありません。
子の加算という概念なしで、単純に給付基準額を子の数で割るということで、その点が2020秋に出題がありました。
今回はこれが答えになる!
3・1・1で出題がされていますが、圧倒的に最初の3:老齢給付金の論点で正解を作る傾向にあります。
まずは、徹底的に老齢給付金の支給対象者と給付額のルールを押さえます。
障害と遺族はほとんど論点が無いので過去問で出題されたものだけを確認しておけば良いです。
シモムー
みんなのねんきん主任講師