どんな事例?簡単に言うと・・
以前、私に届いた「ねんきん定期便」を分析したコラムを書きました。それによれば、現時点で老後の年金をもらうと仮定した場合、恐ろしいほど低額であることが発覚。年金を増やすために今できる有効な手段は追納です。ということで、やってみたら簡単にできたのでみなさんとその方法についてシェアします。
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こんな事例を考えてみましょう
私のねんきん定期便を分析したのが以下のコラム。
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生涯で3度しか来ない年金通知が来たので中身を検証してみたら・・ 中編|みんなのねんきん
どんな事例?簡単に言うと・・ 毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」。2020年6月は私のもとにいつもと違う定期便が届きました。今回は節目年齢で届いた「ねんきん定期便」を題材にその中身の検証をしてみます。 ...
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このまま手を打たないと、私の老後の年金は危機的な状況。
そこで、年金増額の手段としてやってみたのが追納でした。その体験をまとめたのが今回の事例です。
今回の事例の何が問題なんでしょうか
「追納」と言ってもどうやればいいのでしょうか。
ま、年金事務所に電話して事情を説明すれば対応してもらえそうですが、そんな昭和のやり方は取りたくない(と言いつつ、私は昭和の男ですが・・)。
そこで、令和の時代、ITを駆使して電話することもなく、家から一歩も出ることなく、追納を完了できないかが問題となります。
解説してみましょう
追納の法律上のルールを確認してみる
令和3年の9月時点でいつの分の保険料を追納できる?
まずは追納できる期間のルールを確認しましょう。
追納するためには、厚生労働大臣の承認をもらわないといけません。
そして、その承認をもらった月の前10年以内の免除を受けた期間に対して追納できるというルールです。
例えば、令和3年9月で承認を受けると、そこから10年を引いた平成23年9月から承認を受けた月の前月、つまり令和3年8月までにある免除期間が対象になります。
私は令和3年8月30日付で追納の申込みをしたのですが、承認を受けたのは9月になってからでした。
追納の申込みをした(手続きを取った)月前10年以内ではなく、その後の厚労大臣に承認された月前10年以内。
月末に追納の申し込みをする場合は注意が必要です。
いつの免除期間から追納するのか?
次に、その10年内の免除期間のうち、いつのものから追納できるのでしょうか。
例えば、令和元年と平成28年の免除期間があったら、令和元年の方を先に追納しよう!ってできるのでしょうか。
これはできません。
法律上は「先に経過した月」から「順次」追納することになっているからです。
メモ
ついでに言うと、学生納付特例や納付猶予制度による免除期間があると、そちらの方が優先するというルールもあるのですが、私には関係ないので省略します。
結局、
私の場合、令和3年9月6日に承認を受けたので、平成23年9月からの古い免除期間から追納することになります。
その中で最も古い「先に経過した月」は平成24年1月分でした。
一気に追納するほど手元にお金はないので、まずは平成24年1月分から同年6月分までを追納することにしました。
追納申込書を作って年金事務所に提出する
追納申込書を手に入れる手段はいくつかある
追納を申し込むための申込書を作成して、年金事務所に出せば完了。
その後、承認がおりたら納めるだけという段取りです。
まずは、
追納申込書を手に入れます。
そこで、
申込書入手のため、年金事務所に出かけましょう!
って、それは昭和のやり方なので私のなかでNG。
年金機構のウェブサイトからPDFをダウンロードして、印字して、手で書いて・・
ってそれは平成のやり方なので私の中でNG。
人類が夢見た21世紀も既に20年が経過した2021年・・。
社会のあらゆる場面にAIが浸透し、スマホであらゆることが完結するこのスマートな令和の時代において、私が取った手段は、そう!
「ねんきんネット」です!
ねんきんネットで追納申込書を作ってみた
では、ねんきんネットでどういう作業が必要なのか5つのステップで解説してみましょう。
step
1ねんきんネットにログインしてメニューから「届書の作成」を選択
step
2追納申込書を「作成する」をクリック
step
3追納する月を指定する
「分割区分」は納付書をどのように分割して作成するかの選択です。
私は特に分割を希望しないので「全部一括」を選択しました。
このあと、
氏名や住所に変更が無いか確認されます。もし変更があるなら別途変更の手続きをしないといけません。この申込書で同時に変更することはできません。
step
4作成した追納申込書を「ダウンロード」する
step
5申込者の氏名欄を手で記入して完成!
赤枠の氏名欄は印字した後に手で書かないといけません。
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承認通知書がやってきた!
ほとんど手で記入することなく、追納申込書が完成。
これは便利。
しかーし!
ねんきんネットでできるのはここまで・・。
これを印字して、郵送するやり方は、郵便網が完成した明治時代のまま・・。
部屋から一歩も出ないマイルールなのでこのままでは無理。
そこで、遠くにいるみんなのねんきん事務局のスタッフに印字・郵送を頼み、承認を待ちます。
そして、来ました!承認が!
そうです。
法律上は厚生労働大臣の承認が必要となっていますが、日本年金機構の理事長の名義になっています。
大臣も多忙なのでシモムーごときの追納の承認作業なんてやってられません。
実は厚生労働大臣の追納承認の仕事は別の規定で年金機構にやらせる(委任する)ことになっています(国民年金法 第109条の4第22号)。
このような通知一つとってみても、年金の奥深さを感じさせます。
届いた納付書で追納保険料を納めてみる
納付書にはこんなことが書いてある
あとは承認通知書と一緒に届いた納付書を使って保険料を納めれば終わり。
では、届いた納付書を確認します。
左上に「(追納)」の文字が。
これは追納用の納付書であることがわかります。
真ん中に「使用期限 令和4年1月31日」となっています。
同封されていた注意書きによれば、「10年目の月末を過ぎると、納められなくなります。」とあるので、私が希望する平成24年1月分は10年後の月末、つまり令和4年1月末日までに納めないといけません。
ペイジーなら簡単に納付
今回は部屋から一歩も出ないで追納するマイルールなので、Pay-easy(ペイジー)を使ってネット上で納付をします。
私が利用している楽天銀行ではこんな画面が表示されました。他でも同じだと思います。
「収納機関番号」は「00500 厚生労働省年金局」を選択して、あとは納付書に記載されている、「納付番号」等を入力。
銀行の口座から送金されて追納完了です。
これで一連の追納作業は部屋から一歩も出ないで完了しました。
今回の事例まとめ
今回は追納の申込みから納付するまでを最も手軽にできる方法で解説しました。
ポイントは以下のとおり。
- 年金増額の方法は保険料を納めるしか方法はない。10年以内なら追納を考えるべし
- 追納申込書はねんきんネットの作成支援機能を使うのが便利。ただし、申込書の提出は紙を使うのは従前どおり。ネットから申請することはできない
- ペイジーを使えば出かけることなく納付が完了。便利なので使わない手はない
今回追納したのは、自分の定期便を分析して、「これはまずい」と危機感を感じたことがきっかけでした。
このために、定期便があるわけで、年金機構には感謝です。
結局、年金を増やすための方策は非常にシンプルで 保険料を納める これしかありません。
将来、「年金が少ない」と嘆く前に、今できることを自分で調べて、自分でやらないといけません。
老後の年金ではないですが、障害年金においても保険料を納めていることが重要。
みんなのねんきん社労士法人に寄せられる障害年金の相談でも結構な割合で保険料納付要件を満たせないケースがあります。
本当にもったいないです。
「保険料を納めていないのですが、障害年金もらえますか?」
もらえるわけないです。
義務を果たしていなければ権利は主張できません。
ところで、
追納の申込みくらいネット上でできないものかと感じました。
なんでもかんでも紙で提出しないといけないなんて時代遅れですし、非効率。
こういうところはデジタル庁がやってくれるんでしょうか・・。
その点で非常に不満を感じました。
さて、次回こそ、私の定期便分析の最終回。
障害・遺族年金編ということで、今仮に障害を負ったら・今仮に死亡したらという観点で分析します。
出典・参考にした情報源
日本年金機構ウェブサイト:
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国民年金保険料の追納制度
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シモムー
みんなのねんきん主任講師