目次
過去の出題傾向からシモムーの感想
難問です。正しいものの個数を答えないといけないからです。
私の中では技能応用問題の中で2番目の難しさです(1番は技能応用の最初の問題)。
ですのでかなりじっくり考えます。
その昔は表組みになった選択肢から消去法で答えが出る問題が定番でした。
ところが遡って検証してみると、近年は個数問題での出題が普通になってしまいました(過去10回は全て個数問題)。
ですから1肢1肢を神経を研ぎ澄ましての検証が欠かせません。
当然のことながら時間が掛かります。
5秒で解ける経過的加算が懐かしい・・。
それでいて肢の正誤を1つ間違えたらこの問題全体が不正解。
時間が掛かる割にはリスクが大きく、コスパが圧倒的に悪いです。
個数問題の難しさを覚悟して丁寧に検証することが求められます。
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ここ注目!ここがポイントだ!
難問は後回しが鉄則
こういった時間がかかる問題はいきなり最初に解かない。
飛ばして後回しにすることが大事です。
順番通りに解けなんて注意事項に書いてないです。
他の問題を終えて時間と心の余裕ができてから取り組むのがミスをしないための鉄則です。
「取り組むときに時間がなくなっていたらどうするんですか?」
いーーんです。
時間かけてやっても間違う可能性があるんですから、同じ間違えるならラクして間違えた方が良い!
「難問は頭がクリアーなうちに最初に取り組むのが鉄則」
なんて言う人がいたら、試験対策を全くわかっていない素人です。
難問は後回し
これが私が毎回結果を出し続けるスタンスです。
前半:在職老齢年金のポイントは「賞与」だ!
賞与の支給時期がハッキリわかる図解をする
この問題のポイントは何と言っても賞与にあります。
いつもらった賞与なのか
図に起こしながら正確に把握をしていきます。
私の図解のルールをまとめてみたので参照してください。
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解法テク7 年金アドバイザー試験のためのミスしないための在職老齢年金の図の起こし方
シモムーみんなのねんきん主任講師 どんなテクニック? 在老問題で正解を導くために絶対に外せないこと。 それは図を正確に書いて賞与がいつ支払われたかを把握することです。 私がこれまで長年の受験経験から培 ...
賞与の上限に注意
2019秋と2020春(模擬)は賞与が上限を振り切っている設定で出題がされています。
つまり、
支給された賞与は標準賞与額に変換した上で総報酬月額相当額を算出しますが、そこで引掛けを作っているわけです。
これまで出題されたのは、「180万円」。
これを上限である”150万円”に変換しないといけません。
180万円の場合も12で割ると、割り切れるので何の不信感も持たずに引っかかってしまうわけです。
ちなみに、
2級ではこの手の問題は既に出題されていたので、いよいよ3級にも波及してきたようです。
そんな馬鹿な!退職後の賞与かよ!
2020秋はこれまで見たこともない意地悪な設定で出題がありました。
前職を退職後、1ヶ月程度の空白期間があり、その後再就職しているというもの。
その1ヶ月の空白期間中に賞与が支給されたであろうという状況です。
そもそも厚生年金の被保険者期間中に支給された賞与だけが、”標準賞与額”となります。
したがって、この空白期間に支給された賞与は”標準賞与額”とはなりません(つまり、保険料の徴収もないし、年金にも反映しません)。
その賞与は在職時に支給されたものか?
自分の胸に手を当てて自問自答してください。
2020秋は私もしっかりと間違えてしまいました。
停止額なのか、受給月額なのかをハッキリさせよ
よくやってしまう引っ掛け。
在老の計算をする → 停止額が出る → それが答えだという思い込み → 不正解
停止額を引いたあとの、年金受給額を答えなければいけなかった。
支給停止額を求めるのか、その停止額を除いた在職老齢年金の金額を求めるのか。
どちらの金額が問われているのか、印をつけるなりして絶対に間違えないようにしてください。
2016春から9連続で長期加入特例で出題
2016春から9回連続で在老の知識に加えて、”長期加入特例”の知識も混ざっています。
そんなに連続で出す必要があるのかよって感じです。
世の中それほど長期加入の人はいないというのに・・・。
長期加入特例に該当すれば、報酬比例部分と一緒に定額部分も支給されます。
ただし、忘れてはいけません。
厚生年金保険の被保険者でないこと
が要求されます。
厚生年金の被保険者になっているからこそ、在職老齢年金が問題になるわけです。
特例に該当する人が厚年被保険者になったらその瞬間、報酬賞与の金額に関係なく、定額部分は全額停止です。
もちろん加給年金額の加算もありません。
とすれば、基本月額で引っ掛けを作るのが必定。
選択肢に載っている基本月額は間違っている可能性が高いです。
高在老の出題で気をつけたいこと
2020秋は技能応用初の高在老(65歳以降の在老)の計算問題でした。
継続雇用の時代を反映して、今後は高在老の設定がスタンダードになるかもしれません。
気をつけたいことを列挙しておくので頭にいれておきましょう。
- 基本月額は報酬比例額だけで考える(「加」が入る加算は除くと覚える)
- 48万円(2020年度は47万円)を超えたら超えた額の半分が停止
- 報酬比例額が全額停止にならなければ加給年金は全額加算
その他のボーナスの注意点は低在老と同じです。
後半:雇用保険からの給付金問題
過去10回のこれまで正解になった知識を分析してみます
- 2020秋 高年齢求職者給付金 給付額は基本手当日額の50日分である
- 2020春(模擬)継続給付 基本給付金は65歳到達月まで支給される
- 2019秋 継続給付 賃金と基本給付金の合計額には上限がある
- 2019春 継続給付 基本給付金の計算
- 2018秋 継続給付 基本給付金の計算
- 2018春 継続給付 基本給付金受給による年金停止額
- 2017秋 継続給付 賃金と基本給付金の合計額には上限がある
- 2017春 継続給付 基本給付金は65歳到達月まで支給される
- 2016秋 継続給付 基本給付金は65歳到達月まで支給される
- 2016春 継続給付 基本給付金の計算
2020秋は高在老の問題だったので、その関連で高年齢求職者給付金の出題がありました。
私の経験上初の事態です。
今後は高在老の場合は、高年齢求職者給付金がセットになると思います。
雇用継続給付(基本給付金)のよくある正解3つ
最初に60歳台前半で受給する高年齢雇用継続基本給付金(”基本給付金”と略します)の正解を分析します。
よく正解となるのは次の3つ。
- 基本給付金自体の計算
- 基本給付金は65歳到達月まで支給される
- 基本給付金受給による年金停止額
2は70歳として誤りを作ります。
1と3は以下の知識を知っているかの引っ掛けです。
- 雇用継続給付金は賃金×15%
- 年金停止は標準報酬月額×6%
賃金を使うか、標準報酬月額を使うか、見極めはそこだけです。
同じ給料でも、
雇用保険は「賃金」を使い、厚生年金は「報酬→標準報酬月額」を使うので、取り違えると答えが変わります。
試験では給与月額と標準報酬月額を必ずズラした金額にしますから、注意してください。
また、この知識に絡んで、2017秋は初めての知識が正解になりました。
それは賃金と基本給付金の合計には上限があるというもの。
支給限度額というものです。
もし、上限に引っかかってしまうと、上限から賃金を引いた差額が基本給付金となり、賃金の15%分ではなくなってしまいます。
2019秋は「標準報酬月額」と基本給付金の合計に上限ありとの出題。
合計するのは”賃金”ですので使われている言葉にも注意です。
高年齢求職者給付金のまとめ
2020秋に出題されただけですので分析の材料が乏しいのですが、以下の3つの要素でこの給付金をまとめてみます。
- 条件:離職前の1年間に通算して6ヶ月以上の被保険者期間がある
- 金額:基本手当日額の50日分(被保険者期間1年未満は30日)
- 期間:一時金なので1度きり
2020秋は金額の点で正解となりました。
数字を変える形式が正解を簡単に作れるので数字には注意です。
まとめます
コスパの低いこの問題。
個数問題は近道がないので、丁寧に解くしか方法はありません。
心構えは1つ。
最初に解かない!後回し!
在老のポイントは5つ。
- 賞与の支給時期がハッキリわかる図解をする
- 標準賞与額の上限150万円に注意する
- その賞与は在職時に支給されているか?
- 停止額か受給月額かをハッキリさせよ
- 低在老も高在老も基本月額に注意(含まれないものを把握せよ)
基本給付金のポイントは3つ。
- 基本給付金の額:賃金×15%
- 基本給付金支給期限:65歳到達月まで
- 基本給付金受給による年金の停止:標準報酬月額×6%
高年齢求職者給付金なら3要素に注意
- 条件:離職前の1年間に通算して6ヶ月以上の被保険者期間がある
- 金額:基本手当日額の50日分(被保険者期間1年未満は30日)
- 期間:一時金なので1度きり
どうも私は在職老齢年金って苦手なんです。
2級でも後回しにしますし。
悔しいことに2018秋、2020秋はじっくり考えたのにミス。
どんな人にも相性の悪いテーマがあると思います。
そういったものはあとで時間を作って、ゆっくり落ち着いて解くことが鉄則です。
シモムー
みんなのねんきん主任講師