目次
何が出題されている?
出題形式:誤っているものを選択
厚生年金の保険料に関して、保険料率自体や育休免除の知識が出題されています。
注目すべきは共済年金との一元化の影響。
一元化されても保険料率は統一されていないのでこのあたりの知識の有無が正解に影響しています。
案の上、直近はほとんどこの点を正解とした出題が続いています。
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過去10回の正解となった知識
- 2021秋 第3号厚年被保険者と第4号厚年被保険者の保険料率は異なる
- 2021春 産休育休中は事業主・被保険者負担分ともに保険料免除
- 2020秋 第4号厚生年金被保険者のみ保険料率の引き上げが予定されている
- 2020春(模擬)第2号厚年被保険者と第3号厚年被保険者の保険料率は同じ
- 2019秋 産休育休中は事業主・被保険者負担分ともに保険料免除
- 2019春 第1号厚年被保険者と第3号厚年被保険者の保険料率は同じ
- 2018秋 第3号厚年被保険者の保険料率は上限に達した
- 2018春 第3号厚年被保険者と第4号厚年被保険者の保険料率は異なる
- 2017秋 標準報酬月額と標準賞与額に乗じる率は同じ
- 2017春 第2号厚年被保険者と第3号厚年被保険者の保険料率は同じ
被用者年金一元化の施行は2015年10月。
その次の試験から1号厚年から4号厚年までの保険料率の違いが連続して正解となっています。
たまに一元化後の保険料率以外の肢が正解となるくらいで、直近は10回中7回がこの知識で正解となっています。
最優先で1号から4号厚年の保険料率の違いを押さえます。
出題傾向から年金制度を考える
まずは、一元化以外の保険料に関する知識を説明して、つぎに共済年金との一元化に関する知識を解説していきましょう。
昔は賞与は別料率だった
標準報酬月額に保険料率を掛けて保険料額を算出する。
そして、それを労使折半して負担する。
というシンプルな仕組みが厚生年金の保険料。
標準賞与額についても標準報酬月額と同率の保険料率を掛けて保険料額を計算します。
昔は報酬と賞与に対して別々の保険料率を掛ける時代もありました。
それはボーナスが”標準賞与額”と呼ばれる前の話。
平成15年の3月以前は平成7年4月から”特別保険料”なるものが徴収されていました。
この特別保険料は賞与に料率1.0%を掛けて労使折半する。
しかし、恐ろしいことにこの特別保険料は老後の年金には何も影響しない。
単に吸い上げられるだけの保険料だったんです(それで「保険」料と言えるのだろうか・・)。
そして、保険料率がかなり低いので社会保険料の削減策に使われることがありました。
つまり、月給を極端に下げて、ボーナスを手厚くすれば良い。
しかし、こんなやり方は結局従業員が年金をもらうときに不利益を受けます。
そこで、総報酬制を導入し、賞与を標準賞与額という位置づけにしました。
平成15年4月以降は標準賞与額として年金記録にも残り、老後の年金額にも反映します。
そんな沿革があります。
正解の作り方は報酬と賞与とでは
乗じる保険料率が、異なっている
と出してきます。
保険料率18.3%は常識
少し前まで毎年秋には1号厚年の保険料率が変わっていました。
ところが、既に保険料率は上限に達したため18.3%。
これ以上増えません。
2018春ではストレートに数字を問う出題がありました。
また、
”「被保険者負担分の保険料率」はいくら?”で登場することも以前はありました。
折半するだけですから本来の保険料率を覚えておいて、2で割れば問題ありません。
もはや上限に達している以上、保険料率自体を問う出題は無い気がしますが、念のために覚えておきます。
産前産後休業・育児休業で保険料は納めない
一昔前から育児休業に関して保険料免除のルールがあります。
ただ、制度が始まった直後は被保険者負担分のみが免除されるという中途半端なもの。
事業主が負担する分は従業員が休んでいても、在籍している限りは納めよという仕組みでした。

会社はこう考えるでしょう。これでは年金制度が意図する育児支援になりません。
そこで、現在は事業主負担分も被保険者負担分も免除されます。
もちろん、納付義務が免除されるだけなので、厚生年金に入り続けていることには変わりなし。
つまり、保険料を納めていないのに将来の老後の年金は休業中でも増えることになります。
この仕組みは使わない手は無いですね。
そして、近年では育児休業前の産前産後休業についても保険料免除がされることとなりました。
この点、2021春で正解となりました。
被用者年金制度の一元化はされたが保険料率の一元化はまだ先
共済年金との一元化によって保険料率は最終的には全ての立場の人が18.3%に統一される。
しかし、
現時点では保険料率の完全統一はされていません。
平成24年の改正時の厚生労働省資料を引用します。
公務員の厚生年金は国家公務員と地方公務員に分かれますが、これは既に統一されています。資料の一番下の注2に”平成21年”となっています。
つまり、
公務員だけは統一された保険料率で他はバラバラ
ということでした。
そして、公務員は第1号厚年と平成30年9月に統一されました。
余談ですが、共済から支給される年金は老齢厚生年金に加えて3階部分に相当する”退職等年金給付”があります。
この分の掛金の負担があるので、民間サラリーマンの保険料負担額と完全に同じというわけではありません。
2階部分に相当する厚生年金の保険料率が同じになったということなんです。
参考までに当時の国家公務員共済組合連合会のパンフレットを載せておきます。
※参考 国家公務員共済組合連合会 保険料率変更のパンフレット
今回はこれが答えになる!
以前より分析結果として、

とアナウンスしてきました。
過去の正解の傾向をみても、今回ももちろんこの知識はしっかりマークです。
2018年(平成30年)9月には1号厚年と2・3号厚年の保険料率が統一されました。
この点も引き続き一緒なのか別なのか出題されるはずです。
案の定、2020春(模擬)もこの点で正解を作ってきました。
2020秋、2021秋は4号厚年の保険料率が引き上げ途中であることがわかっているか問われる問題が出ました。
1・2・3号厚年18.3% 4号厚年は引き上げ途中
これは確実に押さえておきます。
そして、
一元化以外の知識も最近は危ない。
一元化関連の肢が徐々に少なくなっているからです。
このあたりを念頭におきつつ、
- 標準報酬月額と標準賞与額に乗じる率は同じ
- 産休育休中は事業主・被保険者負担分ともに保険料免除
も一緒に押さえておけば、これらのどれかで正解になると思います。
シモムー
みんなのねんきん主任講師