目次
何が出題されている?
出題形式:誤っているものを選択
雇用保険から受け取る基本手当と老齢厚生年金との関係が出題されます。
具体的には2つの内容。
- 雇用保険の基本手当そのものの知識
- 基本手当と年金との調整知識
少し前までは、正解となるほとんどは後者の基本手当と年金との関係知識でした。
ところが、
ここ最近は基本手当の知識そのもので正解とすることも多くなってきたという特徴があります。
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過去10回の正解となった知識
- 2020秋 60歳から64歳の基本手当の日額の上限額は10,000円より低額
- 2020春(模擬)自己都合退職による基本手当の所定給付日数には年齢による違いはない
- 2019秋 求職の申込は住所地を管轄するハローワークで行う
- 2019春 自己都合退職の場合に基本手当が出ない期間も年金は止まる
- 2018秋 基本手当が1日も支給されない月の年金は支給される
- 2018春 雇用保険に10年以上20年未満加入で、自己都合退職時の所定給付日数は120日
- 2017秋 求職の申込は住所地を管轄するハローワークで行う
- 2017春 雇用保険に10年以上20年未満加入で、自己都合退職時の所定給付日数は120日
- 2016秋 自己都合退職の場合に基本手当が出ない期間も年金は止まる
- 2016春 求職の申込は住所地を管轄するハローワークで行う
青は基本手当そのものの知識、赤は年金との調整知識です。
ここ数回は青で正解になることが多数。
雇用保険の知識がメインで求められる状況です。
出題傾向から年金制度を考える
基本手当そのものの知識
基本手当特有の知識として、おさえるべきものは2つ。
- 自己都合退職時の所定給付日数
- 求職の申込みをするハローワークの場所
この2つが常連の知識です。
自己都合退職時の所定給付日数
以前は所定給付日数を問う問題は雇用保険加入が「20年以上」のケースしか出ていませんでした。
雇用保険に20年以上加入で定年退職すると所定給付日数は150日となります。
この試験が金融機関での窓口対応における知識を確認するという趣旨からすれば、窓口で対応する方は”長く働いていよいよ年金を受け取る方”なわけで、「20年以上」のケースしか出してこなかったのもうなずけます。
ところが、
2017春には「10年以上20年未満で自己都合退職」のケースが問われました(正解120日)。
2019春も150日が問われています。2019秋、2020秋も120日が出ました。
数字を変えて正解を作ることもあるので、日数は暗記が必要です。
- 10年までは90日
- 10年〜20年は120日
- 20年以上は150日
まで理解しておく必要があります。
また、
2020春(模擬)は日数を問うものではなく、年齢による違いはあるか?という出題。
自己都合退職で基本手当をもらう場合は全年齢共通です。
初の出題となりましたが、今後も注意です。
求職の申込は自宅近くで
基本手当を受給するためには職を求める申込み(求職の申込み)をする必要があります。
この求職の申込みをすることで、転職活動中の生活費として失業日に応じた基本手当が支給されるというわけです。
申込は住所地を管轄するハローワークに出向くことになります。
辞める前に勤務していた会社近くのハローワークではありません。
2019秋では見事正解に。
勤務地を管轄する
という出題となりました。
基本手当の日額の上限は1万円いかない
2020秋は初の出題。
そこまで雇用保険固有の知識を問う趣旨がよくわかりませんが、出題された以上理解しておくべきでしょう。
結論として、60歳から64歳までの離職者は7,186円(令和2年8月から)となっています。
どの年齢層も10,000円以下。
基本手当は失業中の最低限の生活保障ですから、高額な上限にはなっていないという理解をしておけばいいでしょう。
参考までに厚労省のパンフレットです。
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-
https://www.mhlw.go.jp/content/000654666.pdf
続きを見る
基本手当と年金との関係知識
次に、基本手当と年金との関係を解説しましょう。
まず大原則として、年金と基本手当は同時に受け取ることはできません。
これを踏まえたうえで、おさえるべき知識は2つ。
- 年金の受給権発生前から基本手当をもらっている場合、年金受給権発生月の「翌月分」から年金は止まる
- 自己都合退職の場合に基本手当が出ない期間も年金は止まる
常連の2つの知識を押さえます。
停止事由が生じたら翌月分以降が停止
前者は、年金は停止の事由が生じたらその「翌月分」から停止です。
”停止事由が生じた月の翌月から停止事由の終了月まで”
基本手当を受け取りつつ、年金権が生じたわけですから年金を止める事由が生じた。
だから、翌月分からの年金を止めるわけです。
単純に年金支給の基本ルールの話です。
つまり、こういう場合は年金はしょっぱなから出ないってことですね。
自己都合退職だと基本手当も年金も出ない
自己都合退職の場合は基本手当も年金も出ないという知識は要注意です。
なぜなら、
似たような次の肢と混乱する可能性があるからです。
基本手当の受給期間内であっても、基本手当が1日も支給されない月の年金は支給される。
この知識は”正しい”です。
どちらも言っていることは、
基本手当が支給されていないんだから年金が出るんじゃないのか?
ということです。
結論、
- 自己都合退職による給付制限で基本手当が1日も出ない → それでも年金止める
- (失業の認定を受けなかったので)基本手当が1日も出ない → それなら年金あげる
という関係を理解です。
前者は、
自己都合退職の場合の給付制限期間は全て”基本手当を受けた日に準ずる日”となります。
結局のところ、”もらっているのと同じ日だから年金はあげない”ということになるんです。
結果、
基本手当の”支給を受けた日”も”これに準ずる日”も無い月については年金を支給する。
ただし、
”これに準ずる日”は現実として基本手当はもらっていない。
そこで、
事後精算の仕組みで遡って解除して、つじつまを合わせます。
文字通り”事後”に。
求職の申込をしたら、”取り敢えず”受け取り終えるまでは年金を停めて、事後精算の結果、直近の停止月から解除するわけです。
自己都合退職による給付制限期間中も年金が止まり続けます。
ここは混乱が生じやすいところ。
暗記よりも理屈を理解しないといけません。
2019春はこの点がズバリ正解。2020秋も肢の1つで並んでいました。
今回はこれが答えになる!
最近の傾向から考えると、基本手当そのものの知識に注意が必要です。
ここ最近連続で正解となっているからです。
そうはいっても選択肢には年金との調整関係の知識も並んでいますから、それぞれのポイントを意識してどちらが正解になってもいいように準備すべきです。
- 雇用保険の基本手当そのもの
- 所定給付日数を要暗記、自己都合退職なら全年齢共通
- 求職の申込みは住所地を管轄するハローワークへ
- 基本手当の日額の上限は1万円いかない
- 基本手当と年金との調整
- 翌月分から年金停止
- 自己都合による給付制限中も年金は止まる
さて、2021春はどうなりそうか。
基本手当と年金の調整がしばらく正解になっていませんから、このあたりで正解を作りそうな予感。
”翌月分から停止”と”自己都合による給付制限中も止まる”のどちらかではないかと予想しておきます。
シモムー
みんなのねんきん主任講師