メモ
このコラムは2015年12月に執筆したものを大幅に加筆修正したものです
どんな事例?簡単に言うと・・
雇用保険制度の失業給付(基本手当)と60歳台前半の老後の年金は同時に受け取ることができません。ところが、同時に受け取る唯一の方法があるんです。年金相談員として駆け出しの頃のシモムーが経験した話を題材に、その方法を探ってみます。
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こんな事例を考えてみましょう
シモムーがコールセンターで年金相談員として駆け出しの頃・・。
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さて、相談者の言う通り本当に両方もらえるんでしょうか。
今回の事例の何が問題なんでしょうか
雇用保険から基本手当を受け取る
失業保険とは正確には雇用保険からもらえる「基本手当」というもの。
基本手当とは雇用保険の中で最もメジャーなお金です。
失業してハローワークにいく。
そこで「職を探したい」という申し込み(求職の申込み)をする。
するとそれに合わせて基本手当をももらえます。
基本手当は申し込み後の失業中の日に応じてもらえるもの。
辞めた理由によって90日分から360日分がもらえます。
受け取り期間は会社を辞めてから1年間。
その間に定期的にハローワークに行って失業をしていたという認定を受ける。
すると、認定された失業の日数分がもらえるわけです。
1回で例えば90日分全部がもらえるというわけではないんです。
基本手当と60歳台前半の老齢厚生年金は同時にもらえない
この基本手当。
60歳台前半の老齢厚生年金と同時に受け取ることができません。
基本手当の申し込みをしたら、有無を言わさずに年金が全額止まります。
仮に年金の方が金額が多くても関係ありません。
とにかく年金が止まる。
老後の年金での所得保障と失業中の所得保障がかぶってしまうからです。
社会保険では同じ理由で二重に保障を受ける事態を許してくれません。
年金を再開させる方法は原則2つ。
基本手当を受け取り終えるか、基本手当受け取り期間1年間が過ぎるしかありません。
そのような状況で基本手当と年金を両方もらう方法があるのかが問題となります。
解説してみましょう
基本手当と60歳台前半に受け取れる老齢厚生年金は同時にはもらえません。
「60歳台前半の老齢厚生年金」+基本手当=NG。
ですので、こうしましょう。
「65歳からの老齢厚生年金」+基本手当=OK
要は65歳以降に基本手当をもらえばよいということなんです。
会社を辞めるのは65歳前であることが必要
実はこの基本手当。
65歳を過ぎてから会社を辞めて手続きをしてももらえない。
いつ辞めたかが問題なんです。
ですので、65歳になるまでに会社を辞めておく。
それからハローワークに行く。
基本手当をもらうにあたり、ハローワークに行くのが65歳を過ぎても問題ありません。
また、その時には年金は「65歳からの老齢厚生年金」に切り替わっています。
だから基本手当をもらっても年金が止まることはありません。
例えば、
- 65歳の誕生日の前月末日で定年退職する規定となっている会社に在籍
- 6月20日で65歳の誕生日 したがって5月末日で定年退職
こんな例を考えてみると、
65歳になる前に退職しているので問題なし。
退職することで、基本手当をもらうための受給資格が生じて、退職してから1年間が受給期間となります。
あとは6月でも7月でもハローワークに行って求職の申込みの手続きをすれば大丈夫。
ただし、
繰り返しますが、基本手当の受け取り期間は会社を辞めてから1年間限り。
この1年間の中で、人によって異なる90日分なり、150日分なりの基本手当を受給します。
1年間ずっともらえるわけではありませんから注意です。
会社を辞める日は65歳の誕生日の前々日までに
もうすこしシビアにいつまでに辞めればいいかを考えてみましょう。
仮に、
65歳の誕生日の前月末日で定年退職する規定となっている会社に在籍- 6月20日で65歳の誕生日なのでその直前で退職予定
上の規定がなかったとしたら6月18日までに辞めないといけません。
19日ではないのか?
法律では、ある人がその年齢に達したと考えるのは誕生日の前日なんです。
この例では6月19日に65歳に達します。
ですから65歳に達する前、つまり、6月18日までに辞めないといけない。
結論、
会社を辞める日は65歳の誕生日の前々日までにということになります。
最終結論、基本手当と65歳からの老齢厚生年金は両方もらえる
法律のルールでは、基本手当と60歳台前半の老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)は、同時にもらえません。
上で説明したとおり、年金が全額停止となります。
ところが、65歳からは60歳台前半の老齢厚生年金ではないので、両方もらえるというわけです。
60歳台前半の老齢厚生年金と65歳からの老齢厚生年金は別々の制度だからです。
仮に、65歳前から基本手当をもらって年金が止まっている場合でも、65歳になると、年金が切り替わるため、65歳からの老齢厚生年金をもらえるということになります。
今回の事例まとめ
今回は雇用保険制度の失業給付と60歳台前半の老齢厚生年金との関係を解説してみました。
ポイントは以下のとおり。
- 失業給付(基本手当)と60歳台前半の老齢厚生年金は同時にもらえず、年金が全額停止となる
- 65歳からの老齢厚生年金と基本手当は両方もらえる
- 65歳までにハローワークに行って手続きをするのではなく、65歳の誕生日の前々日までに退職しておくこと
2019年12月に雇用保険と年金との調整とのセミナーがあり、そこでお話した余談が今回のコラムの内容でした。
ちょっと思い出したので、再度修正した次第。
今、私の駆け出しの頃を思い出すと、初心者にありがちな失敗をしています。
何がいけないって、それは、ハッキリとした知識が無いのに、適当に答えてしまったこと。
あのとき、「確認させてください」って正直に言っておけばよかったんです。
非常に反省したことを今でもよく覚えています。
そして最後、こうなりました。
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実話ですから。
今でもたまに夢でうなされているのは、ここだけの話にしておいてください。
事例は実際の相談をヒントにしたフィクションです。記事中のアルファベットは実在の人物・企業名と関係ありません。記事は細心の注意を払って執筆していますが、執筆後の制度変更等により実際と異なる場合もあります。記載を信頼したことによって生じた損害等については一切責任は負えません。
シモムー
みんなのねんきん主任講師