発表!2017年度年金の改定はこうなる!在職中の年金は停止額アップ編|みんなのねんきん


シモムー

みんなのねんきん主任講師

どんなニュース?簡単に言うと

厚生労働省より2017年度(平成29年度)の年金額の改定について発表がありました。今年度に比べて0.1%減額とのこと。他には国民年金の保険料額や在職老齢年金の数値も発表されています。今回は在職老齢年金についてもう少し詳しくお伝えします。

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どんなニュース?もう少し詳しく!

1月末に厚労省が発表した3つの年金に絡んだ数字。

年度が変わると色々な数字が変化します。

  1. 年金額:老後の年金は若干減額
  2. 国民年金の保険料額:納める保険料はいよいよ上限達成!
  3. 在職老齢年金:65歳以降の人は46万円で計算

概略を最初にお知らせし、

発表!2017年度年金の改定はこうなる!とりあえずこうなった編|みんなのねんきん

どんなニュース?簡単に言うと 厚生労働省より2017年度(平成29年度)の年金額の改定について発表がありました。今年度に比べて0.1%減額とのこと。他には国民年金の保険料額や在職老齢年金の数値も発表さ ...

各項目の詳細をお知らせしました。

発表!2017年度年金の改定はこうなる!年金は減額編|みんなのねんきん

どんなニュース?簡単に言うと 厚生労働省より2017年度(平成29年度)の年金額の改定について発表がありました。今年度に比べて0.1%減額とのこと。他には国民年金の保険料額や在職老齢年金の数値も発表さ ...

発表!2017年度年金の改定はこうなる!国民年金保険料は上限達成編|みんなのねんきん

どんなニュース?簡単に言うと 厚生労働省より2017年度(平成29年度)の年金額の改定について発表がありました。今年度に比べて0.1%減額とのこと。他には国民年金の保険料額や在職老齢年金の数値も発表さ ...

今回は「3.在職老齢年金:65歳以降の人は46万円で計算」について見ていきます。

在職老齢年金って?

そもそも、

老後の年金は職業人から引退したあとの生活を支えるもの。

歳を取れば、仕事ができなくなり、働いて稼ぐことはできない。

にもかかわらず、平均90歳くらいまでの人生が待っています。

長く生きることをリスクと捉え、そのリスクに対応するのが一生涯もらえる老齢年金の役割です。

とすれば、

働くことで収入があるなら、その期間中は年金を全額あげなくてよいでしょう、というのが制度の考え方です。

これが在職による老齢年金 = 在職老齢年金です。

在職老齢年金は社会保険に入るときだけ関係あり

とにかく働きさえすれば年金がカットされる。

よくある誤解ですが、「在職」と言っても、就職して社会保険(厚生年金)に入ることが大前提です。

パートタイマーで社会保険に入らないなら、年金のカットもありません。

また、

カットされるのは老齢年金の中でも、厚生年金制度からもらえる「老齢厚生年金」が対象です。

国民年金制度からもらえる「老齢基礎年金」はカットされません。

厚生年金に入るということは、その期間は保険料が天引きされます。

もちろん、掛けた保険料は退職後に年金額に反映(増額)します。

そういう点から考えても、

在職しているのに年金を丸々受け取るのはいかがなものかと制度は考えているみたいです。

(厚生年金は70歳になると、自動的に脱退することになりますが、在職している限り年金カットの仕組みは70歳以降も続く仕組みになっています)

年金がカットされる仕組み

というわけで、

  1. 就職して社会保険に入り(70歳以上なら入っていなくても)、
  2. 老齢厚生年金を受け取っているなら

年金が減額される可能性があります。

「可能性」というのは減額されないこともあるからです。

具体的には、

年金の1カ月分とボーナス込みの年収の1カ月分の合計が基準を超える

すると、

超えた分の半額を年金から減額する

というもの。

図解するとこうです。

つまり、年金と給料の合計が基準内であれば、年金カットはないんですね。

2017年度は停止基準が引き下げへ

この停止基準。

毎年度変わる可能性があります。

具体的には、賃金と物価の指標を反映させて、前年度より1万円単位で変化した場合に変わります。

この金額を「2017年度は変えますよ」というのが厚労省の発表です。

出典:厚労省プレスリリース(タップで拡大)

これをみると、

60歳台前半の「28万円」は現状維持。

65歳以降の「47万円」は「46万円」に減額されることになります。

60歳台前半と後半では使う停止基準が異なります。

65歳以降では倍近くの金額になっていますね。

65歳以降では多くの人がリタイアして年金で生計を立てる。

そんなわけで、年金停止のハードルを高くしている(よっぽど稼いでいないと停止されない)わけです。

また、

今年度(2016年度)より下がるのは、賃金や物価が上がっていないことに原因があります。

お陰で年金停止のハードルも1万円下がってしまいました。

 

実際に計算すればイメージできる

実際に計算してみるとどう変化するかイメージできると思います。

例えば、

老齢厚生年金の1カ月分:12万円

ボーナス込みの年収の1カ月分:50万円

の人で2016年度は月額4.5万円の年金額です。

停止額:12万円 + 50万円 − 47万円 ÷ 2 = 7.5万円

在職老齢年金:12万円 ー 7.5万円 = 4.5万円/月額

2017年度になると月額4万円に変わります。

停止額:12万円 + 50万円 − 46万円 ÷ 2 = 8万円

在職老齢年金:12万円 ー 8万円 = 4万円/月額

この事例では、来年度になると、月額5,000円少なくなりました。

年額にすると、6万円の減額

たった1万円の基準引き下げですが、こうして計算してみると結構大きいなとわかります。

今回のニュースまとめ

今回のニュースは厚労省から発表された2017年度の年金額の改定に絡んで

3.在職老齢年金:65歳以降の人は46万円で計算

を詳しくご紹介しました。

ポイントをまとめてみると、

  • 老齢厚生年金を受け取りながら厚生年金に入ると年金が停止になる可能性がある
  • 年金の1カ月分とボーナス込みの年収の1カ月分の合計が基準を超える → 超えた分の半額を年金から減額する
  • 停止基準の金額が2016年度47万円から2017年度46万円に減額
  • 2017年度は在職による年金の停止額が増える

といったところです。

この在職老齢年金。

昔から高齢者の就労意欲を削ぐ仕組みだと批判があります。

現行の仕組みは図解したとおり。

かつては厚生年金に入ったら有無を言わさずにとにかく20%カットする。

なんて時代もありました。

これでも以前よりは停止基準が緩和されているわけですが・・。

保険なんですから自分が掛けてきたにもかかわらず、受取の段階で減らされるのは納得いかないでしょう。

公的年金は最低限の保障を意図しているので、過剰な保障で豊かになってもらおうなんて発想はありません。

他からもらえるなら、全部または一部を減らす

こういった年金停止の仕組みが公的年金制度を理解するうえでやっかいなところです。

その代表例がこの在職老齢年金でしょう。

それにしても・・・。

来年度は在職による年金停止額がアップ。

その原因は賃金や物価の指標が改善しないことにあります。

なぜ政府がデフレ脱却を急いでいるのか。

年金制度をみてもその理由がわかります。

出典・参考にした情報源

厚生労働省 プレスリリース 2017年1月27日

PDF資料はこちら



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シモムー

日本年金機構の年金相談コールセンターにて新人研修講師を担当しながら社労士試験予備校にて講師を経験。2014年より公的年金の情報を初心者目線で解説する「みんなのねんきん」サイトで情報提供開始。登録者数2000人超のYouTubeチャンネル「シモムーシェフの年金論点4分クッキング」では年金の論点を4分で解説中。具体例やイメージで理解できる情報提供を心がけている。2020年3月、障害年金手続き代行に特化した「みんなのねんきん社会保険労務士法人」設立。2021年6月から障害年金手続きのノウハウを提供する「障害年金カウンセラー養成講座」で講師としても活躍する。

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