どんな事例?簡単に言うと・・
ロゴマークの右下に丸Rの文字がついていると、特許庁に登録された商標であることはご存知でしょうか。今回、このロゴマークの商標登録をシモムーが自力で行いました。トラブルを乗り越えてなんとか登録できた経験を記録に残すこととしました。
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こんな事例を考えてみましょう







(膝から崩れ落ちるシモムー _| ̄|○)
というわけで、自力で商標登録の出願をした顛末を残すことにしました。
(今回は年金の話ではありません)
今回の事例の何が問題なんでしょうか
商標は登録しなくとも自由に作って使えますが、自社の商標が他人に勝手に使われてはビジネスに支障をきたします。
そこで国(特許庁)は審査・登録制度を用意し、商標権を取得することで、商標利用者の業務上の信用の維持を図れるようにしています。
この手続きを代理してくれる専門家が弁理士。
もちろん、弁理士に頼まずとも良いのですが、その手続きは専門的です。
一体どんな手続きが必要で費用はいくらかかるのか。
果たして自力でできるのか。
そこが問題となります。
解説してみましょう
登録するのはロゴだけではない!?
商標登録と聞いてこう思いませんか?

実はロゴマークのみを申請するわけではありません。
そのロゴマークをどの商品・どのサービスに利用するのかを指定しないといけません。
この「商品・サービス」は分類がされていて、
第1類 工業用、科学用又は農業用の化学品
から
第45類 冠婚葬祭に係る役務その他の個人の需要に応じて提供する役務(他の類に属するものを除く。)、警備及び法律事務
までの区分になっています。
どのサービスのロゴマークとして登録したいのか、この分類番号を指定してロゴマークの登録申請をするわけです。
願書提出までの流れ
まずは調査から
申請の前に似たような商標が出願・登録されていないか調査をします。
といっても専用サイトを見るだけ。誰でも見られます。
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j-platpat
続きを見る
「障害年金カウンセラー」を検索してみましたが、見当たりません。

ということで、申請書類を作ります。
「商標登録願」という願書を作成します(なんか受験のようです)。
どの分類で登録するか
「障害年金カウンセラー」のロゴマークは、みんなのねんきんで実施している”障害年金カウンセラー養成講座”で利用します。
具体的には、講座を修了し、認定試験に合格した人にロゴマークの利用を許諾し、障害年金手続き代行のアピールに利用できることを想定しています。
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障害年金カウンセラー養成講座|みんなのねんきん
続きを見る
そこで、指定するサービスを
第41類 教育、訓練、娯楽、スポーツ及び文化活動
第45類 冠婚葬祭に係る役務その他の個人の需要に応じて提供する役務(他の類に属するものを除く。)、警備及び法律事務
として、申請することとしました。
いくらかかるのか?
手数料としてまずは出願料がかかります。
3,400円 + 8,600円 × 区分数
で計算した特許印紙を願書に貼り付けるという支払方法です。
区分数は先ほどの第1類から第45類までの商品・サービスの区分です。
今回は、2区分(第41類、第45類)で申請したので 3,400円 + 8,600円 × 2 = 20,600円 となりました。
メモ
特許印紙は割と大きめの郵便局でないと売っていないので注意です。
願書にフォーマットは無く自分で作る
「願書」というくらいなので専用のフォーマットがあるのかと思いきやそうではありません。
自分でA4用紙1枚に必要事項をまとめるというもの。
2区分のみなので、紙ペラ1枚ですみました。
区分が多くなれば複数ページにわたることもあるでしょう。
以下が私が提出した願書の画像です。
上部に特許印紙を貼り付けて、印鑑証明書を添付して郵送。
宛名は「特許庁長官殿」です。

と封筒に向かって敬礼をし、簡易書留で出しました。
メモ
郵送以外にも特許庁に持参するとか、電子的な申請方法もあるようです。
実は書面で提出すると、電子化手数料を納めないといけません。
2,400円+(800円×書面のページ数)
A41枚きりなので、3,200円を納めました。(これは特許印紙ではなく納付書が送られてくるので金融機関などで納めます)
そして時は過ぎ1年経った頃・・
トラブル発生!登録は絶望的か・・
願書を提出してどの程度で登録されるのでしょうか。
特許庁の案内によると、10ヶ月くらいかかるとのこと。

時は流れ、申請手続きしたことすらもすっかり忘れたある日、1通のハガキが届きました。
願書を出してから1年も経っています。
どうやら審査は通ったようですがまだ登録料が未払いという内容。
実はコロナ禍を機にリモートで仕事をしているため、郵便物は転送する手続きをとっていたのですが、肝心の審査が通ったという通知は転送されてこなかったのです。
調べてみると、
「登録すべき旨の査定又は審決の謄本が送達された日から30日以内」に登録料を納めないと出願却下処分となる。

しかし、ダメ元でハガキの担当部署に電話してみると、

とのこと。

意外にも厳密な期間ではなかったようです。
登録料は分割払いも可能
審査に通りましたから、最後に登録料を納めます。
32,900円 × 区分数 (10年分一括納付の場合)
2区分なので、計65,800円。

一括が無理であれば2回の分割払いも可能です。
17,200円 × 区分数 (5年分の分割納付の場合)
2区分なので、計34,400円。
よくみると、一括納付の方が若干割安なんですね。
私は分割納付にしました。
この場合、5年後に後期分の納付をしないといけないのですが、ここで注意!
5年後に連絡は自動で来ない ということ。
自身で期限を管理して、自発的に後期分を納めないといけません。
もちろん後期分を納めなければ、6年目以降の商標権は失効してしまいます。
そして、この登録料も例の特許印紙で納める形式。
またもA4用紙1枚で書類を作成して、特許庁に郵送しました。
ついに登録完了!長かった・・
しばらくして届いたのがこちら。
2021年6月29日に願書を提出して、2022年6月15日に登録完了。
1年もかかってしまいましたが、なんとかやり抜きました!
今回の事例まとめ
今回は障害年金カウンセラーのロゴを自力で登録した体験談をまとめました。
ポイントは以下のとおり。
- ロゴマークをどの商品・どのサービスに使用するのかを分類番号を指定して申請する
- 願書は必要事項を自身でまとめて、特許印紙を貼り付けて手数料を納付する特殊な申請方法
- 審査が通ったら30日以内に登録料を納めるのが原則ルール(今回は期限を過ぎてもなんとかなった)
- 10年一括か5年2分割の登録料を納めると登録が完了する
いろいろありましたが、なんとか自力で登録に至りました。
一度は登録を諦めかけたのですが、道は拓けるものです。
これでこれからの障害年金カウンセラー養成講座に安心して活用できます。
しかし、これが既に登録がある商標だったり、審査の結果、登録が拒絶された場合は素人である私では対応できなかったと思います。
最後にかかった費用についてまとめておきましょう。
- 審査料:3,400円 + 8,600円 × 区分数 = 20,600円
- 電子化手数料:2,400円 +(800円 × 書面のページ数) = 3,200円
- 登録料:17,200円 × 区分数 (5年分の分割納付の場合) = 34,400円
- 合計:58,200円
参考にした資料
初めてだったらここを読む~商標出願のいろは~
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初めてだったらここを読む~商標出願のいろは~ | 経済産業省 特許庁
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シモムー
みんなのねんきん主任講師