目次
何が出題されている?
出題形式:誤っているものを選択
国民年金の第1号から第3号までの強制被保険者および任意加入被保険者の要件が問われます。
テーマ自体が誰でも勉強しているもので、かつ、内容も難しくはないので必ず得点できないとまずいです。
ただし、正解になる知識は結構偏りがあってわかりやすかったのですが、最近は聞いたことがない知識が正解になるような傾向です。
簡単ではありますが、気を抜けないテーマです。
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過去10回の正解となった知識
- 2021秋 60歳以上65歳未満の厚生年金の被保険者は国民年金の任意加入はできない
- 2021春 第3号の扶養認定の際に障害基礎年金は年間収入として評価される
- 2020秋 外国赴任の第2号被保険者に同行する被扶養配偶者は第3号になる
- 2020春(模擬)老齢基礎年金を受け取れる第2号被保険者が65歳になるとその被扶養配偶者は第3号でなくなる
- 2019秋 第2号被保険者が厚生年金の被保険者でなくなれば第3号は第1号被保険者への種別変更届が必要
- 2019春 在外邦人も60歳以上の任意加入被保険者になれる
- 2018秋 第3号の扶養認定の際に障害基礎年金は年間収入として評価される
- 2018春 老齢基礎年金を受け取れる第2号被保険者が65歳になるとその被扶養配偶者は第3号でなくなる
- 2017秋 第2号被保険者が厚生年金の被保険者でなくなれば第3号は第1号被保険者への種別変更届が必要
- 2017春 在外邦人も60歳以上の任意加入被保険者になれる
こうしてみると、”国民年金の被保険者”がテーマですが多くは”第3号被保険者”の論点を中心に出題がされます。
毎度5肢のうち3肢程度並んでいます。
たまに在外邦人の任意加入のテーマが正解になっていますが、まずは3号の論点から確実に押さえていくことが大事。
特に2020年4月から第3号被保険者は国内居住要件が加わり、早速2020秋から連続で出題されています。
出題傾向から年金制度を考える
正解となる頻度の高い3つの知識を解説します。
障害年金の収入は扶養認定で考慮される
障害年金受給者が第3号被保険者に該当するか?
障害基礎年金の収入は年間収入に含まれない
という誤りの作り方をします。(答えは”含まれる”)
なんとなく、障害年金は除外しそうな感じがしますよね。
実際、障害年金は非課税ですし。
ここで、
第3号被保険者に該当するか否かの認定基準は年収で判断されます。
年収が130万円以上であれば、配偶者に生活を頼っている状態ではない=自立できていると判断して扶養の認定は受けられません。
そして、その収入は継続的なものかどうかで判断されます。
とすれば、
障害年金はもちろん、遺族年金や雇用保険の失業給付は継続的に受け取るお金なわけですから、それらを含めて扶養か否かの判断がされます。
ポイントとなるのは継続的に得られるものかどうかという点です(失業給付は期間が短いですが継続的と判定されます)。
ですので、一時的にもらったものは収入には判定されません。
宝くじの当選金はその代表例です。
この点、2021秋は失業給付は収入に含まれるという肢が登場。
継続的な収入かどうかを今一度理解しておきます。
障害年金や遺族年金受給者は年金に入らなくてよい?
障害基礎年金をもらっていても、条件に合えば国民年金の強制被保険者です。
形式的には定義上、障害基礎年金をもらっていることを理由とした除外がないから。
実質的に考えてみると、任意加入の仕組みにした場合、老齢基礎年金や遺族基礎年金の保障を受けられない可能性が生じます。
障害基礎年金は症状が改善すれば受け取れなくなる可能性がある。
だから、
老後に備えて老齢基礎年金の保障を受けられるようにする。
ですから、強制被保険者にさせる意義があります。
ただし、第1号被保険者の場合は保険料の免除が受けられます。
収入に関係なく法定免除となります。
また、遺族基礎年金の受給者の場合は第1号か?という出題がありますが同様に考えるだけ。
2018春秋、2019春秋、2020秋、2021春はこの形で出題がされています。
第3号被保険者は第2号被保険者あっての立場
定番の出題として、第2号被保険者と第3号被保険者との関係があります。
正解になるならないに関係なくほぼ確実に肢として並んでいます。
ここでその内容をしっかり押さえておきましょう。
まず、
第2号被保険者は老齢基礎年金の受給資格期間を満たせていれば65歳で資格を喪失します。
つまり、第2号被保険者でなくなります。
ただ、この場合でも70歳に達するまでは厚生年金の資格は継続します。
あくまで、国民年金における現役の立場を卒業するということ。
これはなぜかというと、
国民年金の被保険者にさせておく意味がないからなんです。
受給資格期間を満たしているなら65歳で老齢基礎年金の権利が生じます。
この年金は働いていても減額は無いですし、このまま国民年金上の被保険者を続けても保険料納付済期間にもならない。
第2号被保険者は20歳未満と60歳以上の期間は保険料納付済期間になりません。
だから、国民年金上は現役の立場から退いてもらうということなんです。
逆に言うと、老齢基礎年金の受給資格を満たせなければ第2号被保険者は続きます。
出題は老齢基礎年金の受給資格を満たしたケースで出題があります。
つまり、第2号被保険者でなくなるという前提です。
そして、
第2号被保険者でなくなれば連動して第3号被保険者にもなれなくなります。
第3号被保険者は第2号被保険者の被扶養配偶者であることが要求されるから。
下の図では第2号被保険者を卒業したことに連動して第3号から第1号被保険者になります。
この場合、第3号被保険者は第1号被保険者への種別変更が必要なので市区町村役場にでかけます。
この点も出題がありますから一緒に押さえます。
結論、
第3号被保険者はあくまで第2号被保険者あっての立場であることを理解します。
さて、
2016秋試験ではちょっとひねった形の出題でした。
”特老厚受給中の65歳未満の厚年被保険者の披扶養配偶者は60歳未満でも3号にならない”
(誤り:厚年被保険者が65歳になっていないので、3号にはなれる)
特老厚受給中ということは、老齢基礎年金を受給する受給資格は満たしている。
しかし、まだ65歳になっていないので、第2号被保険者です。
とすれば、第3号被保険者になれる。
表現を変えても問われることは同じ。
この論点は毎回登場しますので確実に理解します。
2020年4月から第3号に国内居住要件が追加!
第3号被保険者は国内居住であることは要件となっていませんでした。
ところが、
2020年4月から国内居住していることが要求されます。
そうはいっても、どうしても海外で生活する場合もありますから例外の規定があります。
この例外規定とは厚生労働省令に5つ列挙されています。
- 留学生
- 海外赴任する2号に同行する配偶者
- 旅行、ボランティア等で一時渡航
- 海外赴任中の2号と婚姻
- その他日本国内に生活の基礎があると認められる

やはり2020秋は出してきました。しかも2の例で正解に。
同じく2021春、2021秋も選択肢に並んでいました。
具体的な改正の背景事情は、みんなのねんきん公式ブログでも大須賀社労士にコラムをまとめてもらったことがあるので参考にしてください。
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「海外に住む妻」はお断り!? 始まった第3号被保険者の『国内居住要件』
大須賀信敬みんなのねんきん上級認定講師 目次 どんなニュース?簡単に言うとどんなニュース?もう少し詳しく!「居住地」に制限がなかったこれまでの第3号被保険者“海外居住者”を対象外とした新しい第3号被保 ...
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任意加入と厚生年金の関係
2021秋には”60歳以上65歳未満の厚生年金の被保険者は国民年金の任意加入はできない”という初出題がありました。
これはちょっと考えればわかるもので、この「厚生年金の被保険者」は国民年金の第2号被保険者で強制被保険者の真っ最中故に更に任意で加入なんてできない、という話です。
これと似たような話で、特老厚受給中に国民年金の任意加入ができるか?という話があります。
これは、技能応用の老齢基礎年金の後半問題で出題されるので確認しておいてください。
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【2022春最新版】年アド3級技能応用2 老齢基礎年金の年金額 3つの手順と5つのポイント
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今回はこれが答えになる!
過去の傾向も、正解になる知識は多くが第3号被保険者に関するものばかり。
2021秋はちょっと変わった任意加入の知識が正解になりましたが、それ以外は3号に関するものばかり。
今回も非常に危ないです。
これまでの正解になった知識のうち、第3号関連は以下のとおり。
- 第3号の扶養認定の際に障害基礎年金は年間収入として評価される
- 老齢基礎年金を受け取れる第2号被保険者が65歳になるとその被扶養配偶者は第3号でなくなる
- 第2号被保険者が厚生年金の被保険者でなくなれば第3号は第1号被保険者への種別変更届が必要
- 外国赴任の第2号に同行する20歳以上60歳未満の被扶養配偶者は第3号になる
上の4大論点は近年はほぼ全て並んでいます。
2021秋がちょっと変わっていたので、2022春はこの4大論点から正解になると予想しておきます。
シモムー
みんなのねんきん主任講師