目次
過去の出題傾向からシモムーの感想
老齢基礎年金と特別支給の老齢厚生年金(特老厚)の支給要件に関する知識が出ます。
一見、大したことがなさそうなテーマなんですが・・。
ナメてかかると痛い目に遭います。
個人的には技能応用の最難問と思っています。
ですので、私はこの問題は相当慎重に解くようにしています。
楽勝!と思って解いたらミスしたことがあったり、
2016秋は正解が出なかったので焦ってパニックになったことも。
2017春はどうしても第3号被保険者期間の数字が出てこなかったり・・。
そして2018秋は再び答えが出なくて時間切れ。
正直言ってこの問題は10年くらい前に比べて大幅に難化しています。
基本的な出題内容は変わらないのですが、細かい部分で意地が悪いです。
生年月日を1日生まれの人で出題したり、妻が年上のケースで出題したり、共済組合に入っていたり、とにかく容易に得点させないような意地悪な設定が随所にされています。
大事なのは引っ掛けのポイントを意識すること。
あちこちの引っ掛けポイントは決まっているのでそこをくぐり抜ければ大丈夫。心配要りません。
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ここ注目!ここがポイントだ!
この問題共通の2つのポイント
当たり前のことを当たり前に
技能・応用問題は「誤り」を探せ、「正しい」ものを探せが固定されていません。
必ずどちらの質問をしているのか、問題文の要求に印をつけてから開始してください。
私の場合は、「誤っているものは」という部分に大きく丸をつけてから開始します。
基本知識問題を終えて恐らく多くの人がこの問題から技能・応用に入っていくことでしょう(私はあまのじゃくなのでこの問題は後回しですが)。
今まで基本知識で「誤り」を探す問題ばかりでしたからそのままの感覚で突入すると危ない。
今一度、問いに対して答える姿勢を作ることを意識してください。
当たり前のことを当たり前にできないと合格は遠のきます。
加入月数を正確に出せないと正解できない
加入月数の正確なカウント方法をマスターする必要があります。
正直言って年金機構の端末には加入月数が表示されるので手で数えさせてそれが正解不正解に結びつくのはのはいかがなものかと思います。
が、やむをえません。
長年かけて編み出した以下のシモムー解法テクニックを参照してください。
こんな年金制度の本質とは無関係のところで失点するのはもったいないです。
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前半:受給資格期間 4つのポイント
受験生を引っ掛けさせる4つの引っ掛けポイントをご紹介します。
これらを意識しながら事例を見ていけば絶対に得点できます。
ポイント1 20歳になったのはいつか60歳になったのはいつか確認!
厚生年金の加入が20歳前からあり、20歳をまたいで加入している事例がほぼ確実に出ます。
また、
高齢者が定年後も継続勤務するご時世を反映して、60歳をまたいで加入する事例も出ます。
とすれば、
- 20歳前は合算対象期間になり保険料納付済期間にはならない
- 60歳以降は合算対象期間になり保険料納付済期間にはならない
これが大事。
生年に20(60)を足して、被用者年金の被保険者になっていないかどうかを確認するだけです。
登場人物の
20歳時と60歳時に目を光らせる
これが1つ目の引っ掛けポイント。
2018秋・2019春秋、2020春(模擬)、2020秋では、1日生まれの方の保険料納付済期間を判定させる問題でした。
1日生まれは前月末日に20歳到達ですから、誕生月の前月から月数をカウントしないといけません。
一方、2019春は60歳到達に絡んだ保険料納付済期間の判定問題でした。
5月1日生まれなので、4月30日に60歳到達。60歳到達月の前月、つまり3月分までが保険料納付済期間という話でした。
当然のことながら、1か月ズレれば答えが異なりますからとにかく慎重にいかないとまずい。
やっぱりこの問題は相当な難問です。
ポイント2 結婚した時期をハッキリさせる!
夫と結婚したが、旧法時代で妻は未加入だったという事例が必ず出ます。
とすれば、
- 結婚相手(夫)が被用者年金に入っていれば合算対象期間になる
- 結婚後の未加入期間のみが合算対象期間になる
この2つの引っ掛けに注意。
特に2つ目、未加入期間の途中で結婚する事例が出ることがあります。
その場合は、婚姻後の未加入期間のみをカウントしないといけません。
必ず
結婚時期に目を光らせる
これを意識です。
また、
2017秋、2018秋、2020春(模擬)はさらにひねってきました
この未加入期間になるところを敢えて任意加入して、しかも滞納するという事例で出してきました。
昔はこの期間は単なる滞納期間でしたが、平成26年以降はカラ期間としてカウントしてくれます。
回を追うごとに色々な引っ掛けを登場させるのがやっかいです。
ポイント3 第3号被保険者になった時期をハッキリさせる!
第3号被保険者の期間はいつかという出題が必ずされます。
とすれば、
- 配偶者(夫)が被用者年金に入って国民年金の第2号被保険者であること
- 第3号被保険者制度は昭和61年4月からの仕組み
の2つで引っ掛けを作ってきます。
- 昭和61年4月から当然第3号になっているはず(実際は夫が第2号になっていないのに)
- 結婚したんだから全期間が第3号になっているはず(実際は昭和61年4月前の結婚なのに)
- 妻が60歳になるまでは当然第3号が続いているはず(実際は妻が60歳前に夫が2号でなくなっている)
これらの思い込みを完全に捨て去ってください。
2016春は引っ掛け2つを両方合わせてきました。
2016秋、2018春、2018秋、2019春、2020秋は妻が第3号被保険者になったあとに、夫は転職して1号の期間を間に挟ませています。
その期間は当然第3号被保険者にはなれません。
ですので、問題文中は敢えて、「国民年金」としか書かれていないわけです。
2017春は夫が転職して1号の期間があり、加えて、妻が60歳になる前に夫が第2号被保険者でなくなっています。
2017秋・2018秋・2019秋・2020春(模擬)は60歳直前で夫が65歳になる(受給資格を満たす)ことで第2号被保険者でなくなる(そして妻も第3号でなくなる)事例でした。
この知識については、基本知識の国民年金のテーマでも出てきているものです。
今一度振り返っておいてください。
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これらの引っ掛けを意識しつつ、
夫と妻の加入歴を時系列で作図する
これが大事です。
図を作ると、3号になるかならないかハッキリします。
私も2017春は頭の中で考えているだけでは答えが出ず、図に書いたらわかったという経験をしました。
そこで、2017秋からは夫婦の加入歴を時系列にすることを心がけて、難問を突破できました。
参考までに私が試験会場で書いた図をアップしておきます。
私がどれだけ慎重にこの問題に取り組んでいるかおわかりいただけると思います。
2018春
2018秋
注:2018秋は妻28カ月が間違えています → 正しくは29カ月 これは私がミスしたケースです。
2019春
ポイント4 誕生日が1日生まれかどうかをチェック!
1日生まれの事例で難しくする事例が出ています。
実は、過去10回の分析をしてみると、ほとんど1日生まれなんです。
(このあと分析していますので下にスクロールしてください)
とすれば、仮に第3号被保険者の被保険者期間で考えると
60歳到達月の前月までですから、誕生月の前々月までが被保険者期間となる
1日生まれに目を光らせて被保険者期間のルールをきっちり当てはめるのが大事です。
(ただ、ポイント3で妻60歳になる前に3号喪失になることが最近の傾向です)
また、2018秋・2019春秋、2020春(模擬)では保険料納付済期間で同様のトラップがありました。
20歳誕生月の前月から保険料納付済期間となる
これも頭にいれておきましょう。
以上の4つのほぼ全てで確実に引掛けを作ってきます。
これらの引っ掛けがあるというのが最初にわかっているだけでも有利です。
確実にものにしてください。
後半:支給開始年齢、加算開始年齢 3つのポイント
まずは後半問題がどういう論点で正解になっているか過去の正解を分析してみます。
過去10回の正解となった知識と特殊事情
- 2020秋 共済加入女性の報酬比例部分開始年齢
- 2020春(模擬)男性の報酬比例部分開始年齢
- 2019秋 女性の報酬比例部分開始年齢
- 2019春 1年以上の厚年被保険者期間がないと特老厚の支給なし
- 2018秋 加給年金の加算は翌月分から
- 2018春 公務員女性の報酬比例部分開始年齢は男性と同じ
- 2017秋 加給年金の加算は翌月分から
- 2017春 男性の報酬比例部分開始年齢
- 2016秋 1年以上の厚年被保険者期間がないと特老厚の支給なし
- 2016春 女性の定額部分開始年齢
この問題は3つの知識で正解を作る傾向にあります。
- 報酬比例部分・定額部分の支給開始年齢
- 加給年金・振替加算の加算時期
- 特老厚の支給要件として要1年以上の厚年被保険者期間
そして、これらの正解は以下の特殊事情で作っているのがわかります。
- 2020秋 1日生まれ、妻公務員経験者
- 2020春(模擬)1日生まれ
- 2019秋 1日生まれ
- 2019春 1日生まれ、厚年被保険者期間1年未満
- 2018秋 1日生まれ
- 2018春 妻公務員経験者
- 2017秋 1日生まれ
- 2017春 特になし
- 2016秋 1日生まれ、厚年被保険者期間1年未満
- 2016春 1日生まれ
1日生まれや、妻の厚生年金の被保険者期間が1年以上あるのか、といったところに注意して解く必要があります。
1 報酬比例部分の支給開始年齢は暗記するしかない
男女別の支給開始年齢を暗記する必要があります。
暗記が嫌いな私の覚える方法は以下のシモムー解法テクニックを参照してください。
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2020秋は共済加入経験しかない女性の報酬比例部分開始年齢が問われました。
この場合、女性だからといって5年遅れではありません。
男性と同じスケジュールで報酬比例部分が引き上がるので、結局は特老厚支給なし という問題でした。
ついにここまでの知識を出してきたか・・、といった感じです。
2 加算開始事由に該当した翌月分から支給開始
加給年金も振替加算も加算開始のタイミングは65歳に達した日です。
この加算開始事由に該当したら、その翌月分から支給が開始されます。
1日生まれになると、誕生月から加算開始です。
生年月日に注意して、加算時期で正解を作るのではないかと目を光らせるが大事です。
3 1年以上の厚生年金の被保険者期間があるか
特老厚の受給要件は以下の3つが必要です。
- 受給資格期間を満たしている
- 厚生年金の被保険者期間が1年以上ある
- 支給開始年齢に達している
そして、
妻:報酬比例部分は、60歳から支給される。
という形で出題されます。
とすれば、当然受給要件は満たした上で、”何歳からもらえる?”と訊いていると思い込んでしまいます。
そうではありません。
そもそも、厚生年金への加入が1年も無いというとんでもない引掛けを作ってきます。
作っている人は相当意地が悪いと思います。
2016秋は正解が出ないままかなり悩みました。
一旦この問題から離れて、他の問題を解き、最後に見なおしてみたところ、1年要件を発見することができました。
あの時の感動は忘れません。試験中ガッツポーズでした。
2019春も同様のひっかけでしたが、もう2度とその手に乗るかとあざ笑ったものです。
今後もこのひっかけは出るでしょう。要注意です。
あまりに基本的過ぎるからこそ、しっかり基本を叩き込みます。
まとめます
難易度の高いこの問題。
引っ掛けのトラップポイントを意識して慎重に解く必要があります。
前半のチェックポイント
- チェック1 20歳になった時期
- チェック2 結婚した時期
- チェック3 第3号に該当するか、夫第2号と昭和61年を意識しつつ時系列の作図
- チェック4 1日生まれか
後半のチェックポイント
- チェック5 共済加入の女性の支給開始年齢は男性と同じ
- チェック6 特老厚の要件 厚年被保険者期間が1年以上あるか
- チェック7 加算は翌月分から 1日生まれに注意
これらのチェックすべきポイントを全て指差し確認して慎重に判定してください。
私は時間と精神的な余裕を持たせて、最後に取り組んでいます。
応用の1問目だからといって、頭から解く必要なんてないです。
ラクな問題には時間を掛けず、難問は最後に回して時間という戦力をたっぷり投入して得点に結びつける
これが私の秘訣です。
シモムー
みんなのねんきん主任講師