どんなニュース?簡単に言うと
4月になり平成29年度(2017年度)となりました。「今年度の年金額は若干減ることはわかっているが具体的にはいくら?」制度上の様々な金額が昨年度とどう変化したかまとめてみました。
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どんなニュース?もう少し詳しく!
祝!平成29年度!
めでたい!
ということで、新年度に入ると年金額が変わります(変わらない年度もありますが)。
「今年度の年金額は若干減ることはわかっているが具体的にはいくら?」
以前、昨年度より減額することを記事にしたことがあります。
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発表!2017年度年金の改定はこうなる!年金は減額編|みんなのねんきん
どんなニュース?簡単に言うと 厚生労働省より2017年度(平成29年度)の年金額の改定について発表がありました。今年度に比べて0.1%減額とのこと。他には国民年金の保険料額や在職老齢年金の数値も発表さ ...
今回はそれが具体的にいくらになったのかをまとめていきます。
年金額のタイプは報酬連動型と一律固定型
年金額といっても、制度上は2種類のタイプがあります。
現役時代の給料と加入期間の長さで変化する報酬連動型と基本的にはみんな同じの一律固定型。
前者は厚生年金制度からの基本の年金額で人それぞれの金額です。
後者は国民年金制度からの基本の年金額がこのタイプになります。
また、
国民年金・厚生年金制度に共通して家族がいると加算される金額があります。
この加算額も基本的には一律固定型になります。
これらを昨年度との比較でまとめまてみます。
金額は全て年額ですからご注意を。
それでは行ってみましょう!
国民年金(基礎年金)制度の基本となる年金額
老齢基礎年金(満額)
平成29年度 779,300円(昨年度比▲800円)
平成28年度 780,100円
65歳から受け取る老後の年金が老齢基礎年金。
800円のマイナスです。
20歳から59歳まで1カ月の空白もなく40年間保険料を納め続けてこの金額です。
未納が1カ月でもあるとこの満額にはなりません。
障害基礎年金
平成29年度 1級:974,125円(昨年度比▲1,000円) 2級:779,300円(昨年度比▲800円)
平成28年度 1級:975,125円 2級:780,100円
重い方から1級と2級に分かれる障害基礎年金。
2級を1.25倍すると1級になります。
なお、1級は100円単位に端数処理するようなことはしません。
遺族基礎年金
平成29年度 779,300円(昨年度比▲800円)
平成28年度 780,100円
配偶者が亡くなった場合に子供がいる夫や妻が受け取る遺族基礎年金。
両親とも亡くなり子供だけで受け取ることもできます。
夫や妻が受け取る場合は必ず子供がいるはずなので、この金額に子供の数に応じた加算額があります。
子供だけで受け取る場合も兄弟姉妹がいれば加算がされていきます。
その合計額を兄弟みんなで平等に分けて受け取るという仕組みです。
779,300円はどこから出てきた?
国民年金制度に共通して登場する779,300円。
これはどこから出てきたか。
これら、○○基礎年金の金額は平成16年の年金改正によって、以下のように決められました。
780,900円 × 改定率
平成16年に決めた基準値に改定率を掛けるという仕組みです。
平成16年の時点では当然のことながら将来の年金額はわからないので、改定率でその年度毎に年金額を決めていきます。
改定率は物価や賃金の指標で決まります。
今年度の改定率は 0.998 となっています。
ですので、
780,900円 × 0.998 = 779,338.2 ≒ 779,300円
100円単位の端数処理をしてこの金額になります。
厚生年金制度の基本となる年金額
厚生年金からの老後の年金は老齢厚生年金。
基本の年金額は現役時代の給料と加入期間の長さで決まります。
一律固定の金額ではないので国民年金のような単純な比較はできません。
今年1月に先行して発表された厚労省の資料では、月額で▲227円となります。
「夫が平均的な収入で40年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦」がモデルケースなので、誰にも当てはまるわけではなく、参考程度という感じですね。
障害厚生年金も遺族厚生年金も基本の年金額は報酬連動型なので人それぞれです。
家族がいると加算される額
国民年金・厚生年金制度に共通して家族がいると加算される金額があります。
平成29年度 224,300円(昨年度比▲200円)
平成28年度 224,500円
この金額をベースにして、生年月日別に金額が変わったり、3人目の子供から金額が変わったりします。
老齢基礎年金:振替加算
主に専業主婦だった人が制度上不利益を受けないようにするための加算額が振替加算。
生年月日別に金額が異なります。
大正15年4月2日から昭和2年4月1日生まれ 224,300円(昨年度比▲200円)
〜
昭和40年4月2日から昭和41年4月1日生まれ 15,028円(昨年度比▲14円)
昭和41年4月2日以降の生まれの方は制度上の不利益は無いので加算はありません。
障害基礎年金、遺族基礎年金
この両年金には子供がいるとその数に応じて加算がされます。
1・2人目まで 224,300円(昨年度比▲200円)
3人目から 74,800円(昨年度と同じ)
面白いことに3人目の金額は昨年度と変わりありません。
これは、ベースの金額を3で割った時の端数処理の結果が同じになるからです。
- 平成29年度 224,300円 ÷ 3 = 74,766.666・・ ≒ 74,800円
- 平成28年度 224,500円 ÷ 3 = 74,833.333・・ ≒ 74,800円
(わかりやすく3で割りましたが、正確には、基準の金額に改定率をかけて数字を出します。最後の方で説明しています。)
老齢厚生年金:加給年金額
老齢厚生年金では子供のみならず、配偶者がいると加算があります。
平成29年度 389,800円(昨年度比▲300円)
平成28年度 390,100円
ベースとなる224,300円よりも高額です。
これはベースの金額に特別加算という加算があるためです。
昭和18年4月2日生まれ以降の方が老齢厚生年金を受け取る場合に最大の加算付きの加給年金額がもらえます。
老齢厚生年金:経過的加算
65歳以降に受け取る老齢厚生年金には経過的加算なる加算額があります。
60歳台前半から受け取る年金額との間に計算上差額が生じることがあり、その場合に加算をします。
その加算をする際に使われる単価は年度ごとに変化します。
平成29年度 1,625円(昨年度比▲1円)
平成28年度 1,626円
今年度は1円マイナスとなりました。
障害厚生年金:配偶者加給年金額
重い方から1級から3級まである障害厚生年金。
1級・2級にのみ配偶者がいることでの加算額があります。
平成29年度 224,300円(昨年度比▲200円)
平成28年度 224,500円
老齢厚生年金と異なり、特別の加算はありません。ベースの金額を受け取ります。
遺族厚生年金:中高齢寡婦加算
夫が亡くなった時に40歳以上65歳未満の妻に加算される中高齢寡婦加算。
平成29年度 584,500円(昨年度比▲600円)
平成28年度 585,100円
結構高額な加算ですが、これは”遺族基礎年金の4分の3=中高齢寡婦加算”だからです。
779,300円 × 3/4 = 584,475 ≒ 584,500円
遺族厚生年金:経過的寡婦加算
上の中高齢寡婦加算を受け取っている人が65歳になると受け取れるのが経過的寡婦加算です。
65歳を境に制度上不利益を受けないようにするための加算です。
生年月日別に金額が異なります。
大正15年4月2日から昭和2年4月1日生まれ 584,500円(昨年度比▲600円)
〜
昭和30年4月2日から昭和31年4月1日生まれ 19,507円(昨年度比▲20円)
昭和31年4月2日以降の生まれの方は制度上の不利益は無いので加算はありません。
224,300円はどこから出てきた?
家族がいると加算する仕組みに共通して登場する224,300円。
これはどこから出てきたか。
これも○○基礎年金の基本年金額と同じ仕組み。
平成16年に決めた基準値に改定率を掛けるという仕組みです。
224,700円 × 改定率
今年度の改定率は 0.998 ですから、
224,700円 × 0.998 = 224,250.6 ≒ 224,300円
100円単位の端数処理をしてこの金額になります。
3人目の子供も同じです。
74,900円 × 改定率
74,900円 × 0.998 = 74,750.2 ≒ 74,800円
以上、今年度の年金額のまとめでした。
今回のニュースまとめ
今回のニュースは
平成29年度の年金額が具体的にいくらになったのかを解説してみました。
まとめると、
- 基礎年金は779,300円で昨年度比▲800円
- 家族がいる場合の加算のベースの額は224,300円(昨年度比▲200円)
- 平成16年の基準値に改定率を掛けるのが年金額改定の仕組み
でした。
実際に数字を眺めてみると、昨年度比で最大数百円単位の減額になるんだなとわかります。
これらの年金額で振り込まれるのは6月の定期支払時から。
今年はなんで減らすんだー、オラオラ~
と年金行政は言われるでしょうね。
年金を勉強する者にしてみると、減るのもイヤだし、増えるのもイヤ。
毎年変化されると困るんですよ。
覚え直さないといけないので。
5年に1回くらいで見直しをすればいいんじゃないかと思うんですけどねぇ。
出典・参考にした情報源
日本年金機構 ウェブサイト