どんなニュース?簡単に言うと
平成30年度(2018年度)となりました。新しい年度になるともらえる年金額が変わります。今年はどのような変化があったのかわかりやすく紹介します。
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どんなニュース?もう少し詳しく!
祝!平成30年度!
新しい年度になると、納める保険料やもらえる年金額が変わります。
前回は、今年度の保険料についてまとめてみました。
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祝平成30年度!今年度の年金の保険料まとめてみた|みんなのねんきん
どんなニュース?簡単に言うと 平成30年度(2018年度)となりました。新しい年度になると納める年金の保険料額が変わります。今年はどのような変化があったのかわかりやすく紹介します。 どんなニュース?も ...
今回は年金を受け取る人たちの金額が新年度でどう変わったかまとめてみます。
国民年金からもらえる年金額は据え置き
(年額) | 平成29年度 | 平成30年度 |
老齢基礎年金(満額)
障害基礎年金(2級) 遺族基礎年金 |
779,300円 | 779,300円 |
子がいるともらえる家族手当(障害・遺族のみ) | 224,300円 | 224,300円 |
国民年金制度からもらえる基礎年金は昨年度と同じになりました。
理由を探ってみましょう。
年金をもらい始める人と既に受け取る人で改定の仕組みは異なる
まずは、年金額が毎年度どういう仕組みで変化するのかというところから。
一言でいうと、景気に左右される仕組みです。
65歳で受け取り始める時に決まる年金額は現役世代の賃金の動きに左右されます。
賃金が増えているならもらえる年金も増え、逆なら年金も減ります。
そして、一度決まった年金額はその実質的な価値を維持するために物価の動きに左右されます。
わかりづらいところはここです。
つまり、
65歳時の受け取り開始時は賃金の指標を使い、その後は物価の指標を使うという点です。
「その後」というのは統計の取り方の関係で68歳になる年度からとなっています。
同じ年金受給者でも年齢が違えば使われる指標が異なるのが厄介なところです。
賃金は下がり、物価は上がるいびつな状況が平成30年度の数値
次に、賃金と物価の指標を上の改定ルールに当てはめてみます。
平成30年度で使われる指標は
賃金は0.4%マイナス、物価は0.5%アップ
となりました。
ということは、年金もらい始めの人は減額された年金、68歳以降の人は増えた年金となりそう。
しかし、
現役世代の賃金が下がっているのに、大多数の年金受給者の年金は増えるのでは制度を支えられません。
賃金が下がればその分、国に入る保険料も少なくなるからです。
で、こんなときは、「どの年金受給者も前年度と同じにしよう」という例外のルールが動き出します。
結果、昨年度と同じ額となりました。
以前、このルールは図解とともに解説したことがあるので参考にしてください。
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厚生年金からもらえる年金額も据え置きだが・・
直近で厚生年金に加入していると影響あり
厚生年金制度からもらえる年金も据え置きです。
理由は賃金と物価の指標がいびつなため、上で解説した例外のルールが使われるからです。
ただ、
国民年金とは違い、厚生年金は各自の現役時代の給料で年金が決まる点で複雑です。
厚生年金制度からもらえる年金は現役時代の給料の平均値がその単価になります。
平均値を出すにあたり、当時の貨幣価値を今の価値に評価し直す(再評価)必要があります。
この評価に使われる率(再評価率)を賃金や物価の指標で毎年度変えるという難解なもの。
しかも、
今年度使われるルールによると、
- 4年度より前の各年度の再評価率は据え置き
- 直近3年度における各年度の再評価率は昨年度より変わる
ということなので、直近で厚生年金に加入していると「去年と同じ!」とはいい切れません。
厚労省のプレスリリースにある65歳から老齢厚生年金を受け取るモデル世帯。
このモデルは20歳から60歳まで厚生年金に加入していたケースです。
ですので、直近3年度には厚生年金に加入していないので「据え置き」と言えます。
国民年金と違い、この厚生年金の年金額改定はホント難しいです。
在職老齢年金で使われる金額は変化なし
老齢厚生年金を受け取りながら厚生年金に入ると年金が減る可能性があります。
これを在職老齢年金といいます。
そこで使われる計算式の金額に変更はありません。
家族手当は据え置き
厚生年金制度からもらえる年金には条件が合えば、家族手当として年額224,300円が加算されます。
この金額に変更はありません。
なぜなら、国民年金の改定の仕組みと一緒だからです。
最後はマクロ経済スライドで更に減額させる
このように年金額を毎年度変化させたその結果、増額の改定となると、最後に年金増額をさえぎる関門が待ち構えています。
それがマクロ経済スライドというもの。
現役世代である年金加入者の増減や平均余命の伸びから得られた数値を使って年金を減らします。
以前にまとめたことがあります。
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平成30年度では、平均余命が伸びた影響で0.3%マイナスさせることになります。
ただ、
上で解説したとおり、今年度は据え置きですからマイナスさせる余地がありません。
そこで、
▲0.3%分は来年度以降に持ち込すキャリーオーバー形式が取られています。
この形式は今年度から始まった仕組み。
早速活用されたことで、早くも今後の年金は増えそうもない予感を感じさせます・・。
今回のニュースまとめ
今回のニュースは
平成30年度の年金額がいくらになったのかを解説してみました。
まとめると・・
- 国民年金(基礎年金)の年金額は779,300円(昨年度から据え置き)
- 厚生年金の年金額も基本的には据え置き
- 在職老齢年金の調整額も据え置き
- マクロ経済スライドのキャリーオーバー形式始まる
今年度の年金額改定の特徴はやっぱりキャリーオーバーでしょうね。
早速0.3%分が持ち越されたわけですが、今後持ち越し分を解消できるのか。
持ち越す数字だけが積み上がっていくだけで減っていかない事態が現実味を増します。
というのも、
年金をプラス改定させるためには賃金が上昇しないことにはどうにもならないからです。
今年度の数字もそうですが、一向に賃金が上がりません。
今後は賃金が下がったら、据え置きどころかきっちり年金も下げるという仕組みが始まります。
そうなるとますます積み上げ分を消化するのは難しいのではないかと・・。
年金増額の明るい未来が見えないのが怖いところです。