【2024春最新版】年アド3級 雇用保険の給付と老齢厚生年金 雇用保険固有の知識が危ないワケ|みんなのねんきん

2019年5月12日

シモムー

みんなのねんきん主任講師

何が出題されている?

出題形式:誤っているものを選択

雇用保険から受け取る基本手当などの給付金と老齢厚生年金との関係が出題されます。

具体的には2つの内容。

  • 雇用保険制度の知識
  • 基本手当と特老厚・本来支給の老厚との調整知識

年金の試験なので、少し前までは、正解となるほとんどは後者でした。

ところが、

ここ最近は雇用保険制度の知識で正解とすることも多くなってきたという特徴があります。

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過去14回の正解となった知識

  • 2023秋 高年齢求職者給付金の支給要件は6ヶ月以上の雇用保険の被保険者期間が必要
  • 2023春 基本手当を受給するためには65歳に達する日の前日までに離職していること
  • 2022秋 基本手当を受給すると特老厚は全額停止する
  • 2022春 出題なし
  • 2021秋 出題なし
  • 2021春 被保険者期間1年未満の高年齢求職者給付金は基本手当日額の30日分
  • 2020秋 60歳から64歳の基本手当の日額の上限額は10,000円より低額
  • 2020春(模擬)自己都合退職による基本手当の所定給付日数には年齢による違いはない
  • 2019秋 求職の申込は住所地を管轄するハローワークで行う
  • 2019春 自己都合退職の場合に基本手当が出ない期間も年金は止まる
  • 2018秋 基本手当が1日も支給されない月の年金は支給される
  • 2018春 雇用保険に10年以上20年未満加入で、自己都合退職時の所定給付日数は120日
  • 2017秋 求職の申込は住所地を管轄するハローワークで行う
  • 2017春 雇用保険に10年以上20年未満加入で、自己都合退職時の所定給付日数は120日

出題されないこともあるので多めに遡りました。

青は雇用保険制度の知識、赤は老厚との調整知識です。

ここ数回は青で正解になることが多数。

ま、確かに年金との調整は論点が限られているので、雇用保険の知識で正解にするというのも理解できます。

したがって、年金とは直接関係のない、雇用保険特有の知識も対策として必要となります。

このテーマは私が10年以上受験してきた限りでは出題が無いことはなかったのですが、未出題が2回続きました。

そして、2022秋に復活。

今後もこの流れが続くか、再度の休みがあるか、注視する必要があります。

出題傾向から年金制度を考える

雇用保険制度の知識

基本手当

雇用保険から給付される代表的なものはいわゆる失業給付ということで基本手当があります。

基本手当の知識として、おさえるべきものは2つ。

  • 自己都合退職時の所定給付日数
  • 求職の申込みをするハローワークの場所

この2つが常連の知識です。

2022秋は初の出題として、基本手当を受給するためには”いつまでに離職している必要があるか”というものが出ました。

答えは、65歳に達する前に離職が必要。

正確には”65歳に達する日の前日までに”ということです。

2023春は

65歳の誕生日の前日までに

と誤りを作ってきました。

誕生日の前日ですと、65歳に達してしまうのでこれでは基本手当は受け取れません(高年齢求職者給付金の対象にはなりますが)。

2回連続で出題がありましたので今後は常連として注意すべき肢と言えます。

2023秋は正しい肢として並んでいました。

自己都合退職時の所定給付日数

以前は所定給付日数を問う問題は雇用保険加入が「20年以上」のケースしか出ていませんでした。

雇用保険に20年以上加入で定年退職すると所定給付日数は150日となります。

この試験が金融機関での窓口対応における知識を確認するという趣旨からすれば、窓口で対応する方は”長く働いていよいよ年金を受け取る方”なわけで、「20年以上」のケースしか出してこなかったのもうなずけます。

ところが、

2017春には「10年以上20年未満で自己都合退職」のケースが問われました(正解120日)。

2019春、秋、2020秋もこの点が問われています。

数字を変えて正解を作ることもあるので、日数は暗記が必要です。

  • 10年までは90日
  • 10年〜20年は120日
  • 20年以上は150日

まで理解しておく必要があります。

また、

2020春(模擬)は日数を問うものではなく、年齢による違いはあるか?という出題。

自己都合退職で基本手当をもらう場合は全年齢共通です。

ただ、これらの知識は直近では出題されていません。念のためという意識で覚えます。

求職の申込は自宅近くで

基本手当を受給するためには職を求める申込み(求職の申込み)をする必要があります。

この求職の申込みをすることで、転職活動中の生活費として失業日に応じた基本手当が支給されるというわけです。

申込は住所地を管轄するハローワークに出向くことになります。

辞める前に勤務していた会社近くのハローワークではありません。

2019秋では見事正解に。

勤務地を管轄する

という出題となりました。

基本手当の日額の上限は1万円いかない

基本手当の日額の上限が問われた2020秋。

60歳から64歳までの離職者は7,294円(令和5年8月から)となっています。

メモ

基本手当の日額は毎年8月に上限額が変更されます。

どの年齢層も10,000円以下。

基本手当は失業中の最低限の生活保障ですから、上限は高額になっていないという理解をしておけばいいでしょう。

高年齢求職者給付金

65歳以降に離職すると、基本手当ではなく、高年齢求職者給付金が支給されます。

4週間に1回ずつ失業の認定を受けて、失業日数に応じたお金を受け取る基本手当とは異なり、高年齢求職者給付金は1回支給されて終わり(一時金)というものです。

65歳以上ですので老齢年金も支給されており、失業という事態にそれほど手厚くサポートする必要はないという理屈でしょう。

2021春、2022秋、2023春、2023秋はこの基本知識問題で高年齢求職者給付金が出題。

ここでは雇用保険の加入期間(被保険者期間)が1年以上なら50日分、1年未満なら30日分という数字を覚える。

2023秋は支給要件が出題され、正解となりました。

離職の日以前1年間に6ヶ月以上の被保険者期間が必要というもの。数字を変えて正解となりました。

基本手当と特老厚との関係知識

次に、基本手当と特老厚との関係を解説しましょう。

まず大原則として、特老厚と基本手当は同時に受け取ることはできません

メモ

同時に受け取ることができないのは特老厚だけです。それ以外の老齢基礎年金や障害基礎・厚生年金、遺族基礎・厚生年金は年金停止の対象となりません。

これを踏まえたうえで、押さえるべき知識は2つ。

  • 特老厚の受給権発生前から基本手当をもらっている場合、特老厚の受給権発生月の「翌月分から特老厚は止まる
  • 自己都合退職の場合に基本手当が出ない期間も特老厚は止まる

常連の2つの知識を押さえます。

ちなみに、

2022秋は「全部または一部」停止という肢が出題されましたが、一部の停止というのはありません。完全に止まりますので注意です。

停止事由が生じたら翌月分以降が停止

前者は、特老厚は停止の事由が生じたらその「翌月分から停止です。

”停止事由が生じた月の翌月から停止事由の終了月まで”

基本手当を受け取りつつ、年金権が生じたわけですから年金を止める事由が生じた。

だから、翌月分からの特老厚を止めるわけです。

単純に年金支給の基本ルールの話です。

つまり、こういう場合は特老厚はしょっぱなから出ないってことですね。

自己都合退職だと基本手当も特老厚も出ない

自己都合退職の場合は基本手当も特老厚も出ないという知識は要注意です。

なぜなら、

似たような次の肢と混乱する可能性があるからです。

基本手当の受給期間内であっても、基本手当が1日も支給されない月の年金は支給される。

この知識は”正しい”です。

どちらも言っていることは、

基本手当が支給されていないんだから特老厚が出るんじゃないのか?

ということです。

結論、

  • 自己都合退職による給付制限で基本手当が1日も出ない → それでも特老厚止める
  • (失業の認定を受けなかったので)基本手当が1日も出ない → それなら特老厚あげる

という関係を理解です。

前者は、

自己都合退職の場合の給付制限期間は全て”基本手当を受けた日に準ずる日となります。

結局のところ、”もらっているのと同じ日だから特老厚はあげない”ということになるんです。

結果、

基本手当の”支給を受けた日”も”これに準ずる日”も無い月については特老厚を支給する。

ただし、

”これに準ずる日”は現実として基本手当はもらっていない。

そこで、

事後精算の仕組みで遡って解除して、つじつまを合わせます。

文字通り”事後”に。

求職の申込をしたら、”取り敢えず”受け取り終えるまでは特老厚を停めて、事後精算の結果、直近の停止月から解除するわけです。

自己都合退職による給付制限期間中も特老厚は止まり続けます。

ここは混乱が生じやすいところ。

2019春はこの点がズバリ正解。2020秋、2023春も肢の1つで並んでいました。

65歳以降であれば基本手当も年金も併給される

2021春、2022秋は知る人ぞ知るという知識が問われました。

原則として、基本手当と老齢厚生年金は併給されないのは上で説明したとおり。

では、基本手当をもらっている最中に65歳をまたぐとどうなるか?

結論、65歳に達した月の翌月から本来の老齢厚生年金が支給されます。

つまり、基本手当も年金も両方もらえるのです。

基本手当と年金との調整は、あくまで65歳前半に受け取る特別支給の老齢厚生年金(特老厚)だけの話です。

65歳から支給される本来支給の老齢厚生年金とは無関係。

この話は私がコラムでまとめたことがあるので、一度ご覧になってください。

失業給付と年金が同時にもらえる?シモムーが遭遇した恐怖の体験とは|みんなのねんきん

メモ このコラムは2015年12月に執筆したものを大幅に加筆修正したものです どんな事例?簡単に言うと・・ 雇用保険制度の失業給付(基本手当)と60歳台前半の老後の年金は同時に受け取ることができません ...

続きを見る

今回はこれが答えになる!

2回連続出題がない状態で迎えた2022秋。

シモムー
シモムー
出題があることを前提に対策をたてましょう

と、予想しておいて良かったです。

シモムー
シモムー
今後は基本手当と高年齢求職者給付金を混ぜた出題になるのではないかと考えています

このように予想して、以後は予想通りに出題されています。

雇用保険と年金の関係雇用保険制度そのものの知識、それぞれに注意が必要です。

どちらが正解になってもいいように準備しましょう。

  • 雇用保険制度そのものの知識
    • 65歳に達する日の前日までに要離職
    • 所定給付日数(10から20年:120日、20年以上150日)を要暗記、自己都合退職なら全年齢共通
    • 求職の申込みは住所地を管轄するハローワークへ
    • 基本手当の日額の上限は1万円いかない
    • 高年齢求職者給付金は要6ヶ月以上の被保険者期間、1年以上50日、1年未満30日
  • 基本手当と老厚との調整
    • 翌月分から特老厚年金停止
    • 自己都合による給付制限中も年金は止まる
    • 65歳からの本来老厚と基本手当は併給される

最近の傾向から前者が重要なので、これらを重点的に理解しておくことが大事です。



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