秋の臨時国会開催!今回の年金法案の目玉はアレです!|みんなのねんきん

国会

シモムー

みんなのねんきん主任講師

どんなニュース?簡単に言うと

2016年9月26日。臨時国会が召集されました。今回の国会で提出された年金関係の法律案についてまとめてみます。今回の目玉はそう、年金受け取りのための必要加入期間が10年に短縮されるもの。他の法案と合わせて具体的にどういう中身か解説してみます。

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どんなニュース?もう少し詳しく!

秋の臨時国会が招集されました。

11月30日までの予定でTPPを始め重要議案が目白押し。

そんななかで、みんなのねんきんとしては気になる年金関係の法律案を取り上げます。

3つの法律案が提出されています。

  1. 年金受け取りのための必要加入期間が10年に短縮
  2. マクロ経済スライドの仕組みを改める、500人以下の企業にも短時間労働者の社会保険拡大
  3. 歳入庁を設置して税と社会保険料を一体的に徴収する

今回の目玉はもちろん「1」。

一体いつから始まり、どう変わるのかを法律案から探ってみます。

消費増税せずに25年から10年へ

発端は夏に起きていた!

そもそも、

年金受け取りのための必要加入期間(受給資格期間)の短縮は消費増税を前提に既に決まっていたことでした。

2012年(平成24年)の法律の内容です。

ただ、10%への消費増税が延期されたので、受給資格期間の短縮は宙に浮いたままでした。

「消費税がいつ増税されるかわからないんだから、10年への短縮もいつになることやら・・」

と思っていた矢先。

2016年7月に首相が短縮を表明。その時にブログでまとめたことがあります。

なんと!来年から25から10になるってほんと?|みんなのねんきん

どんな事例?簡単に言うと・・ 2016年7月11日。安倍首相が年金を受け取るための最低期間を2017年度から10年に短縮すると言い出しました。従来は25年。消費税増税が前提だったはずなんですが・・。今 ...

さらに、

2016年8月2日に「未来への投資を実現する経済対策」なるものが閣議決定されました。

その中に、

(3)社会全体の所得と消費の底上げ
力強さに欠ける消費の底上げを図り、内需をしっかりと拡大するためには、社会全体の所得の底上げを図ることが重要。そのため、以下の施策を講ずる。

(略)

②年金受給資格期間の短縮
無年金の問題は喫緊の課題であり、年金受給資格期間を 25 年から 10 年に短縮することについて、平成 29 年度(2017 年度)中に確実に実施できるよう、所要の法案を提出する。

(以下略)

(出典:内閣府 「未来への投資を実現する経済対策」 7ページ)

とあり、急遽厚労省は法案をまとめたというわけです。

結局のところ、

消費増税とは関係なく、受給資格期間を短縮させることになりました。

2017年8月1日に権利が生じて9月分から支給

では年金加入歴が10年以上25年未満の人はいつから受け取りができるのか。

それは2017年の9月分からとなります。

年金は権利が生じた月の翌月分から受け取ることができる。

法律の施行は法案によれば2017年8月1日。

この8月1日で該当する人は一斉に権利が生じることになります。

年金は権利が生じた月の翌月分から支払いが始まる

(タップで拡大)

年金は偶数月にその前月分までのものを受け取ります。

ですので、

2017年10月15日(この日が土日なら直近の金曜日)が最初の支給日ということになりますね。

年金は2ヶ月分を偶数月に受け取れる

(タップで拡大)

 

マクロ経済スライドの改正や短時間労働者の社会保険加入拡大の改正

2つ目の法案は前回の国会でも提出されたものの、時間切れとなったもの。

これも提出時にブログで紹介したことがあります。

あの法案は今・・。年金関連法案の行方を追え! 2016年6月|みんなのねんきん

どんなニュース?簡単に言うと 2016年6月1日。第190回通常国会が閉会しました。このブログでも取り上げてきた年金関連の法案は成立したんでしょうか。衆議院のウェブサイトの情報を参照しながらその行方を ...

2016通常国会 年金改正案提出!年金はこう変わる 現役世代編|みんなのねんきん

出典記事が発表された日:2016年03月11日 どんなニュース?簡単に言うと 2016年1月から開会している通常国会に年金制度改正の法律案が提出されました。その具体的な中身を噛み砕いて説明してみます。 ...

2016通常国会 年金改正案提出!年金はこう変わる 年金受取世代編|みんなのねんきん

どんなニュース?簡単に言うと 2016年1月から開会している通常国会に年金制度改正の法律案が提出されました。その具体的な中身を噛み砕いて説明してみます。思った以上に大きな影響がありそうな改正案。今回は ...

簡単に説明すると

  • 500人以下の企業でも短時間労働者の社会保険拡大を可能とする
  • 自営業者の国民年金の保険料を産前産後期間は免除する
  • マクロ経済スライドを繰り越し制にする

というもの。

それぞれの解説は以前のブログ記事に任せることにして、改正されれば大きな影響が出ます。

歳入庁を設置して税金と社会保険料を一元的に徴収

これは旧民主党が政権を取ったときから主張していたものですね。

民進党の議員が法案を提出しています。

内容を見てみるとこんなことが書いてあります。

  1. 内閣府の外局として歳入庁を平成28年度中に設置する
  2. 税の徴収、労災や雇用の労働保険の徴収、公的年金の保険料の徴収を一元的に行う
  3. 標準報酬月額の上限の廃止を含めたその在り方の見直しを検討する

1についてはそりゃ、時間が無いでしょ。

3については将来もらえる年金も上限がなくなるけどいいのか?という疑問が生じます。

この法案は毎回提出されているみたい。

自民党が3分の2の勢力を握っていますから、まぁ・・成立は無理そうな感じですね。

今回のニュースまとめ

今回のニュースをまとめると以下のとおり。

  • 2017年8月施行で受給資格期間が25年から10年に短縮される法案提出
  • マクロ経済スライドを繰り越し制にする法案が引き続き審議される
  • 民主党時代からの歳入庁法案が今回も提出

国会が始まると気になる年金関連法案。

衆議院のウェブサイトで確認しているのですが、「歳入庁」を見つけたときはハッキリ言ってびっくりしました。

「まだ言ってたのか・・」

しかし、

法案の中身をみると、税と社会保険料を一元的に徴収する。

とてもまともなことを言っていると思います。

単純にいろいろな省庁が各自で経費を掛けて徴収するよりも効率化するんじゃないかと思うんですけど・・。

それはおいておいて、

25年が10年になるというのはいよいよなんだなと思うと感慨深い。

ずーっと、25年が常識になっていましたから。

個人的には25年でも構わないと思います。

老後は長い期間かけて準備するものと考えれば、20歳からの25年、中年の45歳で最低ラインをクリアするというのは妥当じゃないかと。

問題は・・・、

力強さに欠ける消費の底上げを図り、内需をしっかりと拡大するためには、社会全体の所得の底上げを図る

無年金者を減らせば内需が拡大するとはとても思えない点です。

出典・参考にした情報源

国会提出法案|厚生労働省

「未来への投資を実現する経済対策」 内閣府



最後までコラムをお読みいただきありがとうございました

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シモムー

日本年金機構の年金相談コールセンターにて新人研修講師を担当しながら社労士試験予備校にて講師を経験。2014年より公的年金の情報を初心者目線で解説する「みんなのねんきん」サイトで情報提供開始。登録者数2000人超のYouTubeチャンネル「シモムーシェフの年金論点4分クッキング」では年金の論点を4分で解説中。具体例やイメージで理解できる情報提供を心がけている。2020年3月、障害年金手続き代行に特化した「みんなのねんきん社会保険労務士法人」設立。2021年6月から障害年金手続きのノウハウを提供する「障害年金カウンセラー養成講座」で講師としても活躍する。

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